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星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第二章 幻帝戴天
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2ー85 暇っ!

閑話にしようかと思っていたエピソードなんですが、間違えて普通に予約してしまったのでそのまま出すことにしました。

 時間は数日飛ぶ。



 いつもの優人達のメンバーに紗夜と蒼弥を加えた4人は帝都に向けて步を進めていた。


 途中にいくつか街や村があったが、基本的に避け、戦闘はしない方針を採っていた。


 到底1日でつける距離ではないので本来なら寝泊まりできる場所が欲しいところだが、残念なことにロルニタ帝国民は基本的に他国の人間を積極的に攻撃する。

 当然、そう言う気質があるのではなく、洗脳のせいだ。


 国民の排除は今回の目的に沿ってないため、できるだけ回避する必要がある。



 今回の僕らの最大の目的は洗脳の魔術具の破壊、もしくは停止だ。

 できれば破壊が望ましいが、少なくとも停止ができればあとは何とでもなる。



 そんなことで、僕らは徒歩で移動していた。

 馬を使わない理由は単純。

 乗れないのだ。


 日本での乗馬経験は当然なく、ここでも騎乗訓練なんてしていない。

 もしかしたら後々そういうことをする予定はあったのかもしれないが、とにかく、僕らはまだ乗れない。



 それに、徒歩の方がスキル行使に都合がいいということもある。

 馬がいると、足場が悪い場所は通れないし、転移するにしても負担が増えるだけ。

 負担の割に利点が少ないのだ。



 ダメ押しに僕らはそれなりにレベルがある。

 紗夜も蒼弥も他の勇者と比べれば頭ひとつ飛び抜けている。

 因みに、紗夜の方が高い。


 真獣種には至ってないものの、原獣種上位には入っている。

 紗夜なんてもう一回誰かと戦ったらもう真獣種になるだろう。

 なんせLV998なんだから。



「もう一回戦いますか?」


「紗夜もいつからそんな戦闘狂になったんだ」


 本当に残念だ。

 ウチのメンバーになった女子が片っ端から戦闘狂になっていく。

 最後に残っているのが一番それ(戦闘狂)っぽい遥香だというのが不思議だ。


「そんなことよりも、もっとのんびりしたら?どうせすぐ戦いになるんだからさ」


 昨日の夜だってあんなに星が綺麗だったのに誰もそんなことおくびにも出さずに戦いの計画立てるし。


「もっと楽しいことしようぜ。人生楽しまないと」


「一番戦いのこと考えてそうな人に言われるなんてな」


 蒼弥が言われた。

 心外だ。


「紗夜ちゃ〜んなんか面白い話して〜」


「そう言う遥香ちゃんがやってよ。遥香ちゃんがやることだったらみんな笑ってくれるよ」


「失笑だけどな」


「なんでそんなこと言うんですか。もう少しでその気になってたはずなのに」


「じゃあ苦笑くらいなら頑張って作るよ」


「笑顔は作るものじゃないんですけどねえ」


 そう。

 こう言う会話がしたかったんだよ。

 こう言う平和な会話が欲しかった。


 何が嬉しくて一日中計画を立てないといけないんだ。


「会話途切れてるよ」


「誰か何か話せよ。ほら、優人が今までで一番辛かったこと。言ってみろ」


「なんでシリアスなネタ挟むんだよ。ハッピーなヤツ入れろよ」


「じゃあ純恋ちゃんの初恋とか!」


「誰だと思います?当ててみてください。因みに近くにいますよ」


「どう考えても優人だろ」


「こんなので間違う奴がどこに居んだよ」


「知ってたんですか!?いつから分かってたんですか?っていうか優人くんも知ってたんですか!?」


「当たり前だろ。寧ろなんでバレてないと思ったんだ」


 流石にわざと言ってるのかと思った。

 まさか本気でバレてないと思っていたとは。


「じゃあ梶原の好きな人は?」


 当然姉さんだよねとがんを飛ばす。

 一者択一問題じゃん。


「……純恋?」


「もしかして疑問符つけた?」


「……付けてないです?」


「あ゛?」


「なんでシリアスにすんだよお前は!もっと明るい話題提供しろよ!」


「あ!この前……って言うか日本にいた時に遥香が絵を描いてたんですよ。遥香って絵を描くのが趣味なんです」


「紗夜知らないよ?聞いたことないけど」


「ちょっと待って姉さん!」


「隠れ趣味なんですけど、その絵が面白いんですよ」


「姉さん!」


「いいじゃないですか。どうせ見えないんですから」


 良いわけがない。

 なぜなら……


「我願う 我が手に遥香さんの自作絵画を」


「お前ぇえええええええええええええええええええええええええええ」


ほらな。

バカめ。


 泣きそうな顔で奏に飛びつく。

 そして出てきた絵を全部ひったくる。

 そして全部破り捨てて細切れにするとそこらじゅうにばら撒く。


「【空間転移】」


 バラバラになったものが転移されたのを見て自信満々に唇を釣り上げる遥香。


「我願う 再生の加護をこの身に与えよ」


「おいお前えぇええええええええええ!!」


 そして現れた絵は、それはもうひどいものであった。


「これ………誰?」


「………姉さん」


「お前……本当は姉が嫌いなのか?」


 幼稚園児のクレヨン絵画と言われても信じるかもしれない。

 いや、幼稚園児よりも酷いかもしれない。


 目は信じられないようなサイズで鼻は不自然に曲がっている。

 と言うより折れてしまっている。


 頭と体のサイズ比はドラ◯もんよりも酷く、エイリアンと言われた方がまだ納得できる。



「お前……優等生っぽさあったけどこういうことはさっぱりなんだな」


「うっ、うるさいっ!!」


「恥ずかしがるなよ。誰にだって苦手なことはあるさ」


「そんな嫌な顔で言うことじゃないと思うけど。いくら酷くてももっとオブラートに言ってあげないと」


「小見山さんも大概だと俺は思うけどね」


 斯く言う奏も今にも吹き出しそうな顔をしている。


「これさあ……美術の課題とか授業とかどうだったの?」


 ここまでセンスが壊滅的だと先生もさぞ驚いたことだろう。


「課題については私がちょこっと手直しを加えてましたね。授業に関しては……」


 そこまで言ってからちらっと遥香に目をやる。

 うずくまってそっぽを向いていた子猫は拗ねたようにして言った。


「出来るだけ頑張って描いて、一番最後にこっそり出した」


「美術の先生もびっくりだろうなあ」


「初めの頃はびっくりしてましたけど、最後らへんはもう慣れてましたよねえ」


「頑張ったねって言われた」


「もう諦められてるね」






 今日の発見……遥香は絵が壊滅的。


遥香の提出した絵は大体7割が純恋製作です。

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