表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星使いの勇者  作者: 星宮 燦
第二章 幻帝戴天
101/246

2ー84 理由

「優人くんに褒めて欲しかったの。あの時助けて貰ったから今度は紗夜が助けたいなあって。まあ、今のままじゃ助けどころか足手纏いだけど」


「そうだな。まだ足手纏いだ」


「そこは慰めるべきだよ。女心が分かってない。もうちょっと勉強したら?ばーかばーか」


「やかましい。これでいいんだよ、僕は」


 こんなに素直な気持ちで女性と話せる時が再び来るとは思わなかった。

 ましてやこんな軽口を言い合えるようになるとは。

 昔だったら真っ先に下心疑ってただろうからな。


 ホントに成長した。

 純恋に感謝だな。

 ついでに遥香にも。


「今日はもういいよ。助けてくれたのが優人くんって分かったからいい。紗夜はいつか優人くんの役に立てるようになるからね。期待しててよ」


「ああ、期待しとく」


 そう言ってソファーから立ち上がる。

 体重でソファーが少し軋んだ。


 コイツなら無理にでも添い寝しようとするかもとか思ってたからちょっと拍子抜けだった。

 肩透かしを食らった気分だ。


「小見山。この戦いが終わった後も僕らと一緒に行くか?まあ、予定なんて何も立ってないし、死なない保証なんてないけどさ」


「行っていいの?」


「どうなるかは分からんけどな。行きたいならできるだけそうなるようにするから」


 そう言うと小見山は再び満面の笑みを浮かべた。


「行きたい」


「じゃあそうしとく」


 そう言ってドアに手をかけた時、再び声がかかった。


「これからは紗夜って呼んで。小見山はちょっと他人行儀だから」


「え?いやだけど」


せっかくいい感じの雰囲気で終われそうだったのになぜこんな話を始めるんだお前は。

この馬鹿め。


「あーあ、残念。朝には痴漢の噂で持ちきりかもなあー。誰だろな、痴漢って。ね、優人くん?」


「きいっっっっっっっしょ」


「残念だなあーこんな話を純恋ちゃんと遥香ちゃんにしないといけないなんて。2人が聞いたらどう思うだろうなあ」


「ドン引きっすわー」


「ドン引きはこっちだよ!」


「大丈夫。証拠はない」


「あれ?紗夜便利なスキル持ってるんだけど?」


ついさっきの浅はかな行動を深く後悔した。

あのとき全力でしらばっくれていれば何とかなったのにっ……誤魔化せたはずなのにっ……


ガン見自体に後悔はない。

問題はその後なのだ。


ちっ、仕方ねえ。


「いいよ。紗夜って呼べばいいんだろ」


 そう言うと紗夜は少し驚いた表情を浮かべた。

 そのことが気になってどうしたと聞くと、


「本気で噂流す気はなかったんだけど……」


「やっぱ今のナシで」


「もう遅いに決まってるじゃん。それに証拠あるから拒否権ないし」


ま、いいさ。

純恋のこともあるから今更だ。


はいはいと適当に返事を返して、今度こそ出て行こうと思ってドアノブに手をかけ、そこでふと思った。


「今日から僕の名前も名前呼びしていいぞ。正式に許可する」


 ついでに僕の名前呼びについても言っておこうと思った。

 どうせいずれ言われることだ。

 拒否権がない以上、もう許可してもいいだろう。


 じゃあ、と言って廊下に出る。


「おやすみ優人くん」


「ああ、おやすみ」


 そう言いあって、ドアを完全に閉めてからふう、と息を吐いた。

 らしくないことをしてしまった。


 アイツがいいならいいかなとも思いつつ、ちょっとだけ後悔した。


ネタバレになりますが、ハーレムの予定はありません。作者がハーレム苦手なので。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ