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計算機科学

時計はアナログなのか?夜眠れないのでアナログとデジタルのことについてぼんやりと考えてみたら迷走した(2)

●時計はアナログなのか?夜眠れないのでアナログとデジタルのことについてぼんやりと考えてみたら迷走した(2)ー表示1


 ***


 第1仮説を検証しましょう。第1仮説とは、何かしらの数量を「数えたらデジタルで、量ったらアナログ」というものです。


 ***


 個数を「数えたら」デジタルで、(バネ秤などで)重さを「量ったら」アナログ。


 例えばネジ。ホームセンタに置いてある箱入りのネジは本数が同じとは限らない。重さを量って梱包しているのでしょう。アナログです。


 シャウエッセンは常に6本入りとは限らない。6本入と記載されていてもそれは「標準本数」だ。パッケージには「重量で管理しています。標準本数は目安です」と記載されている。これはアナログ。でも奇数個だと喧嘩になるよ!


 パスタなどの乾麺は販売時の表示は重さだよね。100gで1束になっていて、5束入り。あれ、これはデジタルか? で、でもパッケージには500gと記載されているし...。アナログでよろしくお願いします。


 お米も重さか。食べるときはカップで体積を量るけど。


 お米を2合だと、アナログなの? デジタルなの? これは、...。3合入るカップで目盛を頼りに2合のお米を量るならアナログ。1合のカップを使ってスリ切り2回分ならデジタル。これでいいかな? 少し不安。


 重さを量る場合ね、バネ秤なら重さとバネの延びた距離が相応していて、その目盛で示すのでアナログでよいの思うのだけど。


 天秤てんびんの場合は?


 天秤の片方の皿に量りたい対象を載せます。そして反対側の皿に分銅ぶんどうを順番に載せていくのです。10gや5g、2g、1gなどの分銅が各1個か2個あって、釣り合う分銅の合計が対象の重さとなるのです。例えば5g+2g+1gで8gとか。これはデジタルでは。


 分銅を1g、2g、4g、8g、16g、...と2べきの重さにすれば、分銅は各1個あればよくて、ますますデジタルに見えてきますよね。重さを量ったのにデジタルなのか。第1仮説がヤバイです。しばし保留しましょう。


 天秤と似ているけど「棒はかり」ならアナログですね! 1個の重りを支点からの距離を変えて釣り合う場所を探すから、距離と重さが相応する。


 ***


 常時ぼんやりと生きている私には3合のお米でも「あれ?今のが3カップ目だったかな」と分から無くなることがあります。みんな元気に生きるんだ!


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 例えば花粉。間もなくピークを向かえますが、皆様、対策は万全でしょうか。


 日本気象協会では顕微鏡を使って、目視で花粉をカウント(ダーラム法)しているんですって。しかも、スギ花粉とヒノキ花粉も目視で見分けているとのこと。ワセリンを塗ったプレパラートを屋外に24時間設置して、付着した花粉を数えるとのこと。


 記事中には「実にアナログな手法です!!」ってコメントがあって、クスっと笑いました(”花粉はどのように観測されているの?”, 2018.4.19, http://tenki.jp)。


 いや、これは笑っていい話ではないぞ。目視で1万個を超える花粉を数えるとは、どういうことだ。1個1秒としても何時間かかるのか。途中でトイレに行きたくなったらどうするのか!


 顕微鏡と電動XYステージとを組み合せて自動カウントするシステムも開発されていますけどさ。


 リアルタイムで測定できるシステムに、「はなこさん」(環境省の花粉飛散データの自動収集・公表システム、2002年に開始、2021年に事業廃止)や「ポールンロボ」(ウェザーニューズ社、2005年〜)がある。レーザー光を使って空間中の花粉を数えるらしい。


 職員さんがきつい仕事から開放されますように。


 閑話休題それはともかく


 花粉の個数の「測定」は目視で数えるとアナログで、自動計測ならデジタルなのか?


 結果は数値だし、手動であっても数えたならデジタルではないか。手動か自動かとアナログかデジタルかは関係しないと感じる。


 いやでも、人が見たときに結果が数値として表示されているか、結果はプレパラートに表示されていて、これを読み取る(数える)必要があるかは重要な違いではないか。これは悩ましい。


 ***

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 例えば時計。主に腕時計のことです。アナログとデジタルがあるよね。数値で表示するのがデジタルで、文字盤の上で針が回って時刻を示すのがアナログなのでしょう。


 でも秒針が1秒毎にカチカチ動くタイプの時計もあって、ステップ秒針と言うそうです。滑らかに動く方はスイープ秒針あるいは連続秒針と言うって。 


 ステップ秒針は、不連続なのですがアナログと言って良いのでしょうか?


 *


 時計には機械式とクオーツ式があって、どちらも時間を離散的に刻んでいる。機械式なら一定周期で振動する振り子やテンプのような部品があって、これをもとに秒を進める。クオーツ式は水晶振動子の振動を使う。


 テンプは1秒に 8 回とか 10 回、水晶振動子は 32768 回とか振動する(テンプは片道で1回と数えるらしい)。


 そして、テンプの振動の1回毎に 10 分の1秒分を進めるか(スイープ秒針)、10 カウントして秒針を1秒分を進める(ステップ秒針)。機械式でステップ秒針の腕時計は複雑になるため少ないとか。


 クォーツ式なら、32768 = 2^15 回なのでCMOS−ICで分周して、1秒毎にステップモータで秒針を1秒分進める。ステップ秒針はクォーツ式の腕時計で最初に採用された方式です。1969年のセイコー社の発明です。


 このような時計内部の仕組みを見てみれば、機械式、クォーツ式のいずれにしても振動を数えているのだから離散的でデジタルに感じます。


 ところが、1970年代に「デジタルウォッチ」が発売されました。これは時間を数字(23:59とか)で表示するデジタル表示式の腕時計です。従来からある、針で時刻を表示する時計はアナログ表示式と言うのです。


 これは第1仮説と反します。ですが表示に着目してアナログかデジタルかを決めるというのです。これならステップ秒針の時計でもアナログ式と言うことになりますけれど。モヤモヤします。


 ***


 原子時計と言って、原子の振動数を利用する時計もありますね。


 その原理は1945年のアメリカの物理学者イジドール・イザーク・ラービ(Isidor Isaac Rabi)による提案で、1949年1月にアンモニア分子を使った原子・・時計が開発されています。これが世界初らしい。原理を実証する程度のもので、時計としての精度はクオーツ式より劣るって。開発したのは Wiki によると、ハロルド・ライオンズ(Harold Lyons)さんです。この人、誰?


 1955年にイギリスの物理学者ルイ・エッセン(Louis Essen)らがセシウム133原子時計を開発して、1967年にはセシウム133原子時計が1秒を定義する基準になりました(1秒とは、セシウム133の超微細遷移周波数が 9,192,631,770Hz となる値)。


 時間は連続的なのかどうか誰か知りませんか?


 ***


 日時計ならアナログ式ですね。日時計にデジタル式なんて無いよね...、と探したらあった orz。


 他にアナログ式と言えそうなのは、線香時計(香盤時計)かな。お香の燃える時間が一定なのを利用した。延長しますか?お香代下さい。砂時計や水時計なども。時計というよりはタイマー的だけど。


 ***


 歴史の話です。


 クォーツ式の時計は1927年にアメリカのベル研究所のウオーレン W.マリソンが発明。当時の実装技術では極めて大きかったとのこと。


 セイコー社は、1958年に日本で最初の商業用のクオーツ時計を作成。真空管を使用。中部日本放送局向けの注文品。ロッカー並のサイズだった。


 セイコー社は、1969年12月25日にクォーツ式の腕時計「クオーツアストロン35SQ」を発売。45万円。用意できた20個が直ぐに完売(50個かも?)。クォーツ式の腕時計として世界初。腕時計にまで小型化できた点がポイント。トランジスタを使用。水晶振動子の振動数は8192Hz。表示はアナログ式(ステップ秒針)。クォーツ式の腕時計はスイスの伝統的な時計産業(職人さんたち)にショックを与えたとか、瀕死にまで追い込んだとも。


 セイコー社は、1971年1月にクォーツ式の腕時計で初めてCMOS-ICを採用した「35SQC」を発売。CMOS-ICはアメリカのインターシル社が製造。1971年12月の「セイコークオーツ V.F.A.38SQW」では自社製CMOS-ICを使用。


 シチズン時計は、1973年8月にクォーツ式の腕時計を発売。


 この後、国内各社がクォーツ式の腕時計に参入して競争状態となる。高精度、省電力、高機能の追求。それからソーラー電池や電波時計など。


 ***


 数字で表示する時計としては、ドイツのゼンパー・オーパー歌劇場(1841年に建設)に設置された「5分時計」が現存最古らしい。


 世界初のデジタル表示式の「腕時計」は1972年4月に発売されたアメリカのハミルトン社の「パルサー・タイム・コンピューターP1」。2100ドル。表示に発光ダイオード(LED)を使用。1970年5月に世界初のLEDデジタルウォッチとして発表されたものです。1970年代のアメリカではLED腕時計が熱狂的な人気を得たが、1980年には終焉した。


 セイコー社は、1973年10月に液晶(LCD)を使ったデジタルクオーツ腕時計「セイコークオーツLC V.F.A 06LC」を発売。数カ月後に「05LC」を発売。12万5千円。


 カシオ社は、1974年11月に「カシオトロン」を発売。6万5千円。CMOS−LSIを使用。オートカレンダー機能を搭載。1975年2月の新聞広告に「デジタルウォッチ」との記載あり。別の広告には「針表示から数表示の時代へ」とのフレーズも。


 ***


 「デジタル〜は、カシオ!(声:山口百恵、1978年1月)」のカシオの創業者は、樫尾カシオさん達4兄弟って知ってた?


 カシオトロンは(2024年の)学会誌の表紙に採用されていた! うちに毎月届くのだけど気が付いてなかった。日々ぼんやりと過ごしているからか?


 ***


 腕時計のアナログとデジタルは50年余の歴史があって定着しています。第1仮説では説明できない例が出て来ました。どう整理したらよいでしょうか。迷走が続きます。


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 間違いの指摘とか疑問とか、ご意見・ご感想とかありましたら、どうぞ感想欄に!


 ***


2024.2.26 少し加筆。大筋に影響ありません。

2024.2.29 年表などに少し追加。

2024.3.18 改稿しました!宜しくお願い致します。

2024.4.7 微推敲です。

2024.4.9 微妙な加筆。

2024.4.25 加筆と推敲です。少しだけです。

2024.8.11 推敲と微加筆。誰も読んでないけど。

2024.8.21 推敲。

2025.4.17 微推敲。



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