表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2022年3月29日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#29 アルバム


 サクソフォン奏者八巻和行(やまきかずゆき)さんのラジオ番組

 こうのすFM フラワーラジオ

 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)

   八巻和行の七転び八巻

 

 というラジオ番組の投稿コーナー

  妄想【愛の劇場】

 毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。


 小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。

 そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。


 妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!! 

 こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです! 

 《番組への参加方法》

 ①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioリスラジのアプリをダウンロード

 フラワーラジオを選局して、お気に入り登録

 ②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー

 ③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表

 ④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿

 ※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。

 ※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。


 小説の書き方を意識しながら文字おこしをしています。

 文章はできるだけ、投稿当時のままにしています。

 言葉が二重になるのが気になるところは、手直しをしています。


 サイト投稿回数 第27回目の今回は………

 2022年3月29日放送。

 妄想【愛の劇場】#29 アルバム

 八巻と杏シリーズ最終回。


 八巻(やまき)が死んだ。

 八巻は山吹(やまぶき)(あん)との結婚式の当日に、突然に姿を消した。

 それから7年の月日が過ぎ、八巻は死んだ事になった。


 杏は八巻の実家に顔を出した。

「辛い思いをさせたね。ずっと、息子の事を待ってくれてありがとう」

 八巻の父からそう言葉をかけられ、杏は抑えていた感情が一気に溢れ出してきた。

 結婚式当日に花婿に逃げられた女。

 そうレッテルを貼られ続けた7年間。慰めてくれた友人達も、杏の元から少しづつ距離を置くようになった。

 杏の辛い思いを理解しているからこそ八巻の父はことあるごとに、息子に拘らず自分の幸せを考えてほしいと杏に話してきた。しかし、杏は頑なに八巻との未来を見ることを忘れなかった。

 それが2人にとっての幸せだと疑わなかったからだ。

 失踪宣告されたのを機に、杏は八巻との婚姻関係が終了した。

「これからは、あなただけの幸せを考えてね」

 柔らかく語りかける八巻の母の言葉を、杏は有り難くもあり悲しくもあった。


 家に帰った杏は八巻の荷物を片付ける気持ちにならなかった。

 結婚を機に購入したマンション。

 2人で色々と話し合って決めたインテリアの数々。

 一度も帰ることのなかった(あるじ)を待ち続けていたのは杏だけでない。マンションもインテリアも、杏と共に主である八巻の帰りを待ち続けていた。

 しかし、それは叶わなかった。


 ふと、小学生時代の卒業アルバムが目についた。

 八巻がいたクラスのページを開く。

「え?」

 杏は、違和感を感じた。

 八巻の姿がない。どんなに探しても、八巻の写真が無いのだ。

 杏は急いで八巻の中学生時代、高校生時代の卒業アルバムを開く。やはり、八巻の姿が無い。

 杏は八巻の両親が子供の頃の八巻の表情を撮りためていた青いアルバムを引っ張り出し、写真を確認する。

 しかし、そこにも八巻の姿は無い。まるで、今まで存在していなかったかのように、きれいに八巻の存在だけが消えていたのだ。

 杏は恐怖した。

 私が愛した男は、存在していなかったのか?と。

 杏は震えた。

 私は誰を愛していたのか?と。


 しかし、八巻との思い出はまだ杏の心を鮮やかに埋めている。

 いつまでこのままでいられるのだろうか。不安がよぎる。

「私だけは、八巻くんを忘れちゃいけない!」

 杏は拳を握りしめながら、胸元に静かに添えた。


 八巻は死んだ。

 そして、八巻は存在しなかったかのように、杏の心の中からもいつかはきれいに消えるのだろう。


 八巻とは何者だったのか。

 その正体を知る者は、いないのかもしれない。


 ありがとうございました。

 次回もラジオ番組の投稿コーナー

 妄想【愛の劇場】へ投稿した作品の投稿になります。


 妄想【愛の劇場】#30「雨宿り」

         #31「オムライス」

         #32「山小屋」

         #33「おり紙」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ