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神域展開!って言ってみたい。

はい、昨晩でろでろにされた上に起きたらそこそこいいお時間で。ゼロさんはいなくなってたけどお世話しに来てくれたアリア達にキスマークとかがっつり見られて瀕死なリンさんだよオハヨウゴザイマス。ノックされて起きて、寝ぼけてて自分の状態確認してなかったんだよ…。


慌てて回復魔法で全部消したよ。慌てすぎて出力がばがばだったらしくて、後からゼロさんに言われて崩れ落ちたよ。事情を知らない避難者さん達に称賛されて羞恥が限界突破したぉ。リンは二度死ぬ。


「でも、素敵ですわ…。」


「わかります!聖女様と騎士様なんてまるでおとぎ話ですもの…。」


お化粧を施されながら、アリア達がきゃっきゃうふふし始めた。今日のお洋服は露出が限界までない。まだ神殿周り浄化してなくて冷気が来てるからね。防寒です…早く雪消さなきゃなぁ。ハイネックシャツにフロントボタンがずらり。手首周りはなんだろう…こう、中華服みたいに袖口が広がって中からレースがこんにちわしてる。友達のコスプレ服で見たことあるぞ?名称思い出せないけど。そのワンピースの上からエプロンドレス重ね着してる感じ…。なんだけど私が詳しくないから割愛しよう。


髪も編み込まれてサイドテールにされて、ともかく大変可愛い仕上がりである。なんでかって?皆のご意見で可愛い系が似合うって言われたんじゃ。似合うらしい理由に見当がついてますが(童顔的な意味で。)誉められてるには違いないからね…!拒否できないよね…!


「アリア達はパートナーがいるの?」


「いいえ、私達は神官ですので…。」


「え。」


一瞬、処女性に神聖価値ないってアルたんが言ってたよ?と言いかけて止める。これは私が言うとどこかから反感を買いそうだし、あとでアルたんに言わせようそうしよう。これから長い付き合いになる気がするから恋バナできる年の近い友達ほしいもん!あわよくばゼロさんの部下あたりから見繕っていただきたい…。いや、お三方が幸せならなんでもいいんですがね!


「さ、これでおしまいです。そろそろ時間かしら?」


「はい、ちょうどよろしいかと。」


「ひ、一人でいくから、大丈夫だからね!」


なにがって、朝食だよ。昨日の夕食をいただいた部屋…会議室?で朝御飯なんだけど、そのまま連絡会になるって侍女さんからご連絡が来たのだ。そのまま待機してくれてるから、アリア達はここにいてください。あ、いじめじゃないよ?誘ったけど位が違うから一緒に食べられないんだって言われたのじゃ…。しょんもり。まぁそれとは別に、ゼロさんが来たらあらあらうふふって絶対によによされるのが目に見えてるんだもん…っ!ぐぬぬ。


「ふふ、では、いってらっしゃいませ。」


にこにこ笑顔の三人に見送られて、侍女さん先導で会議室へ移動したらまた重役出勤してしまった。


「うぐ…おはようございます。遅れてすみません。」


「おはようございます。何も問題ありませんので、お気になさらず。」


「僭越ながら…聖女様、聖女様は貴い身であらせられますので、こういった場でのご入室は最後になるのです。」


デュオさんのお出迎えに挨拶しつつちょっと落ち込んでいたら案内してくれた侍女さんが耳打ちしてくれた。にゃるほど!皆が集まらないと私入れないってことか。教えてくれてありがとう!小声でお礼を言ったら優しく微笑まれたでござる。美人の笑顔尊い!


促されて席につくと朝御飯が運ばれてきて。あ、これ荷馬車に積んでた果物とかかな?くる途中で炊き出しのいい匂いもしていたし、避難者さん達もご飯食べたかな…。さて、みんなで朝食をとると、さっそく本題ですよ。


「聖龍は現在王城を監視するように、城下にある時計塔を寝床にしております。」


「中央広場の奴ですね。」


デュオさんと元部下の皆さんが周りに集まってきて、目の前に広げられた地図を見つめる。これは王都のもので結構詳細に作られているおかげで大変わかりやすい。チェスのルークを聖龍に見立てて時計塔の描かれている上に乗せられる。王城に置かれてる黒のキングとクイーンは少年王と聖女ちゃんかな。


「じゃあ今日は時計塔にいって、聖龍とお話し合い?」


ビショップをルークの前に置いたら、隣にナイトがやって来た。おお、ゼロさんノリがいいね。デュオさんがにまにましてるのは見なかったことにしよう。


「…そもそも、なんですが。話が通じるんスか?」


アルトくんの発言に、地図を囲むように立っている皆の視線がルークへ向く。


「え、通じるんじゃない?」


聖龍のことでしょ?問題ないと思うよ。そう言えば、デュオさんが首をかしげて。


「聖女様は聖龍についてなにかご存じで…?」


「ううん、初対面。でも大丈夫だと思う。」


聖女の勘!と言いきると、なるほど!っと笑顔で納得されてしまった。え、ツッコミ無し…だと…。いや、聞かれても説明に困るけど…、でもちょっと虚しいよね…。


「あっ」


「どうした?」


地図を見つめつつ、王都とか服屋のおばちゃんと娘さんしか覚えてないわ。なんて考えていたら、大変なことを思い出してしまった。


「た、大変だゼロさん!ヴォイスさん、ヴォイスさんってご無事なんですか?!」


ガタンと勢いがよすぎて椅子が鳴ったけど許していただきたいそれどころではないのだ!ヴォイスさんの魔法のお家はライハ国内に在った。もしお家の中に取り残されでもしていたらと思うとぞっとする。私の慌てぶりに半眼のゼロさんとは逆に首を傾げているのはダズで。


「ああ?ヴォイスならとっくにライハから出国したぞ。」


「良かったぁあああ!!あの美貌に霜焼けの一つでもついたら世界の損失ですよ!」


引っ越し手伝わされたからな。と愚痴るダズは置いておいてその情報が齎されたことには心底感謝するよ!麗しの褐色美女ですからね。


「…おいロックス。嬢ちゃんはヴォイスの中身知ってて言ってんだよな?」


「ああ。こらリン、安心したのなら話を戻すぞ。」


「ひゃい。」


わっふるわっふるしていたらゼロさんに教育的指導を発動(両頬を伸ば)されたため大人しく席に着き直す。


「とりあえず聖龍はおいておくとして、」


「置いとくのか…」


「え、一番ヤベェ部分じゃねぇのか…?」


「ばっか黙ってろ!」


元部下くん達…いや言い辛いなこれ。護衛さん達?ダズと愉快な仲間達?ううん…


「稲妻イレ◯ン。」


「リン?」


「ごへんにゃひゃい。」


キリッと格好つけて言ったら元ネタを知らないはずのゼロさんに察知されたでござる。だって11人いるんだもん!ぐぬぬ…。こっそり心のなかで呼ぼう。


「王都までの道を浄化したら、聖龍が気付いてこっちに来ないかなぁ…私がいるのはわかってるんだよね?」


「そうですね…。可能性はあるかと。ただ、現在も王都を監視し偽の聖女と見抜けない辺り精度は甘いようですが。」


う、うん。そんなに怒らなくていいよデュオさん。二ッコニコ笑顔なのに黒いもやもや出てるよ。お顔の入れ墨で圧が倍くらいになってますやん。


「んん、とりあえず王都までは浄化しながらいこう。サスラが起きたら神殿の周辺一帯…(リンド)ごと浄化するね。寒いし。」


「も、申し訳ありません!すぐ暖かいものを…、」


仕切り直して今日の予定をお知らせすると侍女さん達が慌て出したのですぐさま止める。


「大丈夫大丈夫。そろそろ起きる時間だから、すぐ暖かくなるもん。」


「…サスラは自動人形だよな?睡眠なんて必要なのか?」


「必要性はないみたいだけど、寝てる間は全機能オフにして()でダンくんとお勉強中なんだ。だから正確には起きてると言うか…睡眠学習?お昼と夜に寝てるよ。」


「ほぉー。」


話題を変えてくれたダズにサムズアップしつつ、質問に答えておく。私も同じ疑問が出てサスラに聞いたんだよね。


「あ、サスラ…イイコだからなにもないとは思うけど悪いことしてたら叱るから教えてね。」


ついでにお知らせしておく。特に私関係の話しになると止めてくれる筈のダンくんも率先して攻撃的になるらしいからね。(ゼロさん談)存在意義的にしょうがないところもあるけど、共存大事!最強聖物サスラたんだけど、お話の分かるいい子だからね。


「最強聖物は聖女様では…?」


「シーッ黙っとけって!」


なんかこしょこしょされてる気がするけど気にしないお!ノンストレス聖女になるのだ。なんてふんすふんすしていたら、


「失礼いたします。大聖女様、サスラ様がお目覚めになりました為お連れいたしました。」


「ますたぁ~!おはよーございます!」


「おはようサスラ、ダンくんも。」


『おはようございますマスター。』


はぁあああッ、サスラたんは今日も最高に可愛いね!今朝はちびちゃんなんだねと胸に飛び込んできたサスラを撫でながら飴ちゃんをあげつつ今日の予定をお知らせすると、ダンくんが頷きながら補完してくれた。


『この辺りの魔力や魔法は聖龍のものですので、この場から循環するのがよろしいかと。』


「え、なんか危ない?」


『マスターに危険はありませんよ。』


「私以外が危ないって聞こえるよ…。詳しく。」


『ふむ…、水清ければ魚すまず。というものです。』


「なるほろ…腐海の森か。」


ダンくんの私以外に危険が及ぶ発言で一瞬にして周りがピリついて、真剣な面持ちに変わる。…ゼロさんだけ通常運転なんだけどね。私とダンくんに慣れてきてるのかい?


「リン、ちゃんと説明しろ。お前が中心で動くのは変わりないが、人数が多いからな。」


ゼロさんに促されたでござる。うん、いつもは二人だから予定あわせるの簡単だもんね。あとゼロさん私が極力人様に危害を加えないって信用してくれてる気がする。ふふふん。…説明って苦手なんだけど大丈夫かな?ちらっとダンくんを見たら、任せてくださいと頷かれた。ゆ、有能!


「報連相だいじ!んんと、聖龍の魔法で出来た雪と冷気は恐らく魔力の残滓で、それを循環するとここら辺一帯が神聖力の濃度がすごいあがる。聖龍の魔法濃度が高いから比例してね。」


『高濃度の神聖力のみで不純物の一切ない空間を『神域』と呼びます。神域は神にのみ許された空間。神以外が入れば3分ほどで呼吸もままならなくなり死に至ります。』


淡々と告げるダンくんに、神官さん達が静かにざわめく。神域については知ってたような反応だけど死んじゃうのは知らなかったのかな?まぁ私も初耳なんだけどね!にしても本当に腐海の森みたいだな神域。


「で、濃度調節をね、しないとなんだけど。聖龍の魔法濃度高いから調節大変で…。」


「そうなんスか?来るときに聖女様がやってたバーン!って奴じゃダメなんです?」


アルトくんの素朴な疑問に苦笑いで返すしかできぬ。めっちゃ濃いの(聖龍の魔法)に対抗するのは問題ないんだけども、皆が死なない薄さを保って(リンド)全体に広げるのがね…。やったことないからさ…とちったら死んじゃうとか笑えない。


『此処までの道でマスターの行った方法は、通り道のみの循環です。周囲から魔力が流れ込み中和されていたので人体に影響はありませんでした。』


「でも私今この神殿のある(リンド)まるごと浄化する気だったから。自然に濃度調節されるのたぶん街の端っこだけだよね。」


『ちょうど残っている人間達はこの建物の中のみですから、そちらは(わたくし)がサスラと中和いたします。』


ダンくんの補足に付けたしつつ説明すると納得いただけたようだ。中和してくれるとか器用の極み。そうなんじゃよ中心になるところ…私のいるところが自然に中和されるのに三分以上かかるし、かと言って薄く広げるの大変だし。ダンくんに中和してもらってぶっ放した方が早いんだよね。


「ごめんね、ありがとうダンくん。サスラ。」


『いえいえ、マスターに心地好く過ごしていただくその手助けになれるのであれば、これ以上の喜びはありません。』


「んぅ?」


『サスラには私から説明いたしますね。』


ぱりぱりしゃくしゃくと一心不乱に飴ちゃんを食べていたサスラが呼ばれて首を傾げている。かんわいい…。大きくなれる様になったからか前より凄い食べるんだよね。神聖力。前は小皿に三個位を一日三回って感じだったけど、今はバスケット一個分は食べる。咀嚼音がASMRみたいだよね。


「という事で、サスラが食べ終わったら浄化しよう。」


「こ、この場でですか?」


「え。な、なんかまずいかな…?」


タスクは手の付けやすい所から終わらせるのが吉!と意気込んだらデュオさんに待ったをかけられた。んぉ?なんだねなんだね。周りの神官さん達も不安気というか、そわそわ落ち着かないでこちらを見守ってる。


「いえ、ええと…。よろしければ礼拝堂にて行いませんか?」


「…あッ!そっかそっか。いいよ。準備とかあれば整えて貰っていいかな?」


「っありがとうございます!すぐに整えますので!」


困り顔で言われた言葉の意味が分からずに一瞬『???』ってなった。いや、大丈夫だよすぐ気が付いたからね!私『大聖女様』でここは『神殿』なんだから街一つ浄化するってイベントっていうか大事って言うか…要はアルたんへの感謝の祈り獲得チャンスなんだよね。神殿内の避難者が街全体からみて少ないとはいえ、人が真剣に神に感謝した時の力ってすごいらしい。髪と肌がちゅるんちゅるんになるって言ってた。アルたんが。


私がここでお茶片手に浄化して終わらせるより、しっかり神がかりなモノとして行って良質なお祈りエネルギー貰おうぜ!ついでにこれからもアルたんに祈ってね!って宣伝付けた方がお得だわな。


「TPOだね。人間見た目が九割。」


「聖女様、こちらへお手を…、はい、ありがとうございます。」


「こちらとこちら…、どちらも捨てがたいですね…。」


「神具は金で統一されていますしやはり藍色が…、」


はい。恒例のお着換えタイムです。そうだよね…場の準備があるんだから私はドレスコードあるよね…。にしても今日は凄いな。こんなこともあろうかと準備してましたって感じに颯爽と転送陣からドサドサ荷物が送られてきて、アリアちゃん達だけじゃなく侍女さん達も来て私を着飾っている。…私にできるのは、言われた通りに手足を差し出すことだけさ。


準備が出来たら呼んでね!なんて言ってたのは誰だい?私だ…。実際こんなに時間かけて整えられるとは思わなかったから…。午前中に浄化して旅程整えて王都へ向かおうかと思ってたら、お着換えだけで午前中潰れたよ…。なにお清めって。神聖力使うのに必要ないよそんなもの…。身体を清められてオイルマッサージされてとぅるとぅるお肌に肌触りの良い下着を付けられて。清楚なモスリンのシュミーズドレスみたいな柔らかいドレスを着ると、上から刺繍とか装飾でゴテゴテなのに荘厳さでまとめられてるマント?を装着された。…これ、重いのかと思ったら浮いてますやん。どういう事だってばよ。


「こちらは『青のコープ』です。」


「青のコープ?」


「女神アルヘイラ様にお仕えする聖女様。その下に五人の教皇様がいらっしゃいます。これは教会創設時に――…。」


お化粧中に教えて貰ったお話を要約すると、一番最初の聖女が使っていた杖・冠・指輪・コープ・ペンダントを五人の神官に渡して教皇にしたらしい。そのときそれぞれについていた宝石をその教皇の色に定めたんだって。…何というか異世界だからか文化とか宗教混ざってる感覚になっちゃうな。カトリックなのかプロテスタントなのか東方なのかわからん!いや、そもそもアルたんが神様なんだし、いい加減元の世界の常識はわすれないとな…。


「ふふ、そう伝えられている。というお話ですわ。」


「本物は恐らくもう…。」


「途方もなく昔のお話ですから。」


つまりこれはそれをイメージしたレプリカかぁ。それでこんなに装飾が多いんだね。大きい祭事にウォンカさんが使う以外はしまってあるらしく、聖女が着るには重すぎるから動きを阻害しないように浮いてるそうだ。


「たしか、ウォンカ様のお弟子様が魔法を付与なさっているそうですわ。」


「へぇ~、凄いね。」


ウォンカさん教皇様だもんね。世界各地に優秀な弟子がいそうではある。『大聖女様』が完成するころにはお昼を過ぎていて。着替え中に軽食を取ったからお腹は空いてないけど、凄いな…五時間半くらいかかったわい。礼拝堂は一時間前には準備が終わった連絡が来ていたのでそこまで待たせてはいない…と思いたい。


「おおおおッ?!」


「…そんなにか。」


準備できたからそろそろ礼拝堂行きますかって言っていたらお迎えが来たんですが。ぜ、ゼロさんが正装?してる!ノックで注視していたらイケメン入ってくるものだから驚いた侍女さん達がいろめき立ってたよ!


「ゼロさんかっこいいね!威圧感凄いな…。」


「…それは、褒めてるのか?」


「褒めてる褒めてる!触って良い?!」


「ッああ、かまわんが…。」


全体的にカラーリングは同じで真っ白に金で縁取りされたシャツにクラバットっとスラックスなんだろうけれど…白ベストに金刺繍細かいしベルトから通ってる腰マントみたいなのどうなってるんだこれ?でも上から青色のマントみたいな襟のある上着(ジュストコール)着てるしマント留める宝飾は金に青い宝石なんだね。ロングブーツも黒で全体的に黒・白・青がバランスよくて金色で締まってる。綺麗。


「お前に合わせて正装するようにと…、」


「あ、聖女がイベントするからお付きの騎士も対象か。なるほろ。」


役得!折角だからちょろちょろ周りをまわってマント部分を持ってみたり装飾見たりして堪能なう。


「おおー…、マント凄い。重くない?私のみたいに浮いてるの?」


「いや、浮いてないぞ。鎧に比べれば重くもないが。」


「そうなんだ。ふ~ん…。」


近くで見たから次は離れて鑑賞しようとニ歩ほど後ろへ下がったらぱしっと右手がゼロさんと仲良しになっていた。なにゆえ?とゼロさんを見たらちょっと眉間に皺が寄ってらっしゃる。お?なんか嫌な事でもあった?


「何故離れるんだ。」


「え、カッコイイから全体像もしっかり鑑賞しようかと思って。滅多に着ないから今見とかないと勿体無いでしょ。」


「…ッ、んん゛、」


なにをわかりきったことを言っているんだね君は。と、離された手をそのまま腰に当てて踏ん反り返ったら何とも言えない顔で目を逸らされた。…じんわり耳が赤くなってるの気が付いてるからね!


「はは~ん、さては自分の容姿が良い事を客観的に理解していないな?見たまえよこのいろめき立つ侍女さん達を。これが君への評価だぞ。」


小さくきゃわきゃわ盛り上がっている若いお嬢さん方をチラ見しつつ、ふふんってしたら微妙そうな顔でこっちを見てきた…なにが不満だというのだ?こんなに私の騎士が称賛されてるのに。遺憾の意(みかんのみ)


「いや、その。…そろそろ行くぞ。」


「うん?わかった。サスラ、おいで。」


「はぁい。」


お、今日の敵はクッションかね?呼べばベッドから変身しつつ降りて獅子になったサスラが横に着く。


「マスター綺麗だね。」


「ありがとう!サスラもかっこいいよ。」


折角なのでサスラの首にもライトブルーに金の蔦刺繡が施されたリボンを結んでみた。可愛くなるかと思ったけど獅子のサスラの勇ましさオーラ凄くてただカッコいいわ。モフモフに埋もれて顎下のループタイ状の部分しか見えぬ。いや、良いんだけどさ。ナイスもふもふ。


神官さんの先導で礼拝堂に向かう。…なんか言いたげなゼロさんが斜め後ろにおるんだが、聞いてもいい奴なのかなこれ。


「ゼロさん?どうしたの?」


「…ッ、いや、すまん。」


あ、これ進〇ゼミでやったことあるぞ。というか前回ここに来た時こんな感じだったね。申し訳ないがあの時程君に遠慮と配慮を持ち合わせてないよ私は。目を逸らして冷や汗をかいているゼロさんを正面から見る。いいだろう、そちらがその気なら打つ手はいくらでもあるんだからね!


「ほほぉ、言わないつもりかね?そうとわかればこちらも手段は問わんぞぉ?…礼拝堂の避難民と神官さん達に向かってゼロさんの可愛い所トップ10を聞かせ」


「やめろ正気かッ!」


一瞬読み込み中で固まっていたゼロさんに再起動と同時で怒られたでござる。ふーんだ。私は全く恥ずかしくないが今既に赤面している辺り君は恥ずかしかろう!わかったら無駄な抵抗はやめるのだ。


「頗る正気ですよ。ほらほら、早く言いたまえ。」


「…その、……お前は、妬いたりしないのかと、思ってだな…。」


「…やきもち?私が?」


「ああ。」


ゼロさんに言われた言葉に今度は私が読み込み中になる番だった。…あ、もしかしてさっきの話?侍女さん達にゼロさん見せびらかしてた奴の事だよね?違ったらごめん。いや、そんなしょんぼりしないでよ何が気に障ってるんだい?私が皆に『私の彼氏よ!見てんじゃないわよ!』的な事を言った方がよかったのかな…。わからんけどもとりあえず、


「妬くよ?」


だいじな事だけお伝えしておこう。うむ。


「…は?…ッまてどこでだ?!」


「妬いてたけどあの場の皆私に『おめでとうございます憧れます!』ってスタンスなのに態度に出したりしたらお仕事無くなっちゃうでしょ。」


「…そうだな。」


大聖女の反感を買った侍女とか首になっちゃう気がするぞい。そんなとんでもない気の使われ方されてたまるか恐怖政治じゃないんだから。そう言えば納得したのかバツが悪そうに眼が泳ぎ出した。…だんだんゼロさんが何を所望してるかわかる様になってきた気がする。スキルでも上がってるのかな。


「だから何も言ってなかっただけだよ。あと『いいだろぉ私の恋人カッコイイだろぉ褒め称えてくれていいよ私のだけどな!』って思ってた。」


「………。」


サラっと思っていたことを伝えたらゼロさんが赤面して死にそうになってた。…ねぇいまどんな気持ち?どんな気持ち?ってしたら確実に制裁されるな。くそう。やるけどな。


「大丈夫?息してる?…回復魔法いる?」


「ッうるさい…。」


「はっはっは!朝に恥を掻いたのでね!仕返しじゃ!」


蚊の鳴くような声で反論してきたゼロさんに対し私は絶好調ですよ!やってやったぜ!朝とんでもなく恥かいたからね絶対やり返すって決めてたんだ。ナイスファイト私。ちなみにどの辺が仕返しかって言うと、


「いつまでイチャこいてんだお前らぁ。見せられるこっちの身にもなれ。」


「すこぶる愉快!痛快!大喝采!」


「嬢ちゃんは学習しろよどうなっても知らねぇからな。」


五月蠅いよダズは砂糖でも吐いてろ。実はゼロさんが『そうだな。』って言ったあたりからもう礼拝堂の扉の前についてたから元部下さん(イナイレ)三名とダズとデュオさんとお付きの神官さん二名に見られてるし聞かれてるって言うね。っていうか仕返しが怖くて報復できるかぁい!


「…あ゛ッ、ダメです尊い…ッ!今朝も幸せだったというのにこんな一日に何度も幸福が訪れるなんて私は明日死ぬのでしょうか…ッ!生きててよかった供給ありがとうございますッ!!」


デュオさんがまたいい声で喘いでいらっしゃる。いやぁ、マリカたん♂の声で凄い事言ってくれるのでむしろ同声優別作品にカテゴライズされてしまったんだよねデュオさん。…でも後でこっそりマリカたん♂のセリフ言って貰っちゃおうかな。ダメかな。


「おら、仕事の時間だぞ。」


「了解了解。任セロリ。」


お仕事タイム、始まるぜ!



こっそり?お月様が上がってます。

内容は前話と今話の間。よろしくどうぞ。


活動報告にも激短で没が上がってますのでお暇がありましたら読んでやってくださいー。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大聖女の反感をかった侍女とか首になるどころか首が飛ぶんじゃないかなぁ 物理的に
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