腹ペコと大喰らい。
「デートなう!」
翌日、教えて貰った大通りにやってきたでござる!この間マジックポーチを手に入れたので、必要最低限の荷物以外も入るのじゃ。と、いうことで、アリアさん達と買った普通の服もあるんだよ。今日は冒険者服じゃなくて、ちょっと可愛い。アレ、錯乱坊絶殺服に似てる。紺色ハイウェストスカートとブラウス。あとデザイン可愛いから買ったブーツ。
「…そう、なのか?」
ゼロさんが心底不思議そうに首を傾げて、一言。ちょっとお洒落してドヤ顔キメたポーズのまま、思わず固まった。
「はぁー…。はい、今日はデートじゃありませんでした。解散。」
スンッ(´_ゝ`)てなったわ。スンって。駄々下がりになったテンションに、笑いながら手を叩く。ほれ、ギル先生に預けたサスラを迎えに行って、帰るぞい。
「ま、待て。違う、そういうことでは…!」
焦ったように手を掴まれて、しどろもどろで取り繕うゼロさん。あ、服似合ってますか?ありがとうございます。
「冗談です。お買い物に行きましょう。」
「…ッ、デート、だろう。」
意地悪を言って笑いかけたら、真剣な顔で訂正が入った。…耳赤くなってますよ?照れてるんですか。ふふ、初回なので許します。
「朝ご飯何にしようかな?」
「まだ余裕があるなら、見てから決めるか。」
捕まえられた手を繋ぎ直され、軽く引いて促された。
「さんせい!」
よっしゃあ、仕切り直しじゃ!
今いる国、コールはかなり自由な国らしく。色んな種族に権利を与えて、商人だろうと貴族だろうと完全叩き上げ主義だそう。つまり親の仕事に、能力のない子供がそのまま継ぐ様な事は出来ないのだとか。
代わりに、貴族の子供でも、商人の才能があれば商人になれる。ある意味、夢を追いやすい環境。と、言うのはまぁ置いといて。
「ぜ、ゼロさんゼロさん!耳がッ、お耳と尻尾が生えていらっしゃるよ?!」
「獣人だからな。…あぁ、リンは見るのは初めてか。ライハも、昔は沢山の種族が居たんだがな…。」
ふわんふわんの尻尾に、ピンと立った凛々しいお耳。恐らく狐だろうそれを、店主のおばあさんはゆらゆらさせながら接客をしていた。他にも、猫、犬、あ、あれは兎…お、おおう。凄い大男さんだ。
早朝でもそこそこの人波がある中、色とりどりのお耳や尻尾がちらリズムしていて。なんとも、なんとも素晴らしい光景ではないかね!
「異世界来てよかった…ッ。」
「そんなにか。」
おもわず感嘆の声を上げて震える。いや、街中だから大人しく表現してるけどね。宿だったらもう身悶えて飛鳥文化アタック決めてるかんね。はぁあ、たまんないぜ…おっと、涎が。自然と上がる口角に、あちこちに視線が吸い込まれてしまう。そうなると、どうなるかわかるな?
「わッ、」
疎かな足元を掬われるわけだ。やぁ地面、久しぶりだね!まった?ええ、十八話ぶりくらいかしら。
「こら、ちゃんと前を見ろ。」
なんてことにはならず。ゼロさんに手を引かれて受け止められた。ひゅー!あぶねッ。母なる大地と熱い包容をかわすところだったぜ!
「ゼロさんありがとう!」
「まったく…。」
仕方ないな。といわんばかりの物言いなのに、目線が甘くていたたまれないでござる。…あれ?でもこれ、初対面の時からこんな感じだったような?最近好きだって知ったからそう感じているけれど、前からこんな風に見られていた気がする。
「ゼロさんって、いつから私が好きなんだい?」
「…は?」
一瞬、鳩が豆鉄砲を食らったかのように動きが止まって。じわじわ耳が赤くなったと思ったら、頬にも赤みが差してきた。繋いだ手も心なしか体温が高い。…おお、こんな感じに赤面するのか。珍しいもん見た。
「なん、…ッ、黙秘する。」
「えええッ!なんで?やましい事でもあるまいし!」
ぐっと、目線強めで睨まれたけれど、顔紅いし若干涙目だからぜんぜん怖くないよ。ほれほれ、さっさと吐きたまえよ。言った方が楽になるぞ!
なんて囃し立てたのも、速足で進むゼロさんにひかれて、小走りになったところでもう、息も絶え絶えだよぉ!そんなに言いたくないんか。なら仕方ないねっ。これ以上走らされたら明日筋肉痛になるからね…。
「あ、ゼロさん、この辺食べ物屋さん地帯では?ごはん探そう!」
ありがとう神!あ、アルたんか。アルたんナイスタイミング!私の主張はゼロさんに認可され、筋肉痛さんのアポイントメントは消失した。
「謎肉、なぞにく、ナゾニク。」
「アッシュラビット、レッドワーム、ブルフルだ。」
串焼きから鉄板焼きのようなもの、サンドウィッチ、いろいろあるけど原材料も味も見当がつかぬ。私が指差すたび、ゼロさんから訂正が入って面白い。と、いうか、
「聞き捨てならんのだが、今ワームっていった?え、虫食べるの?」
「レッドワームは海蛇のような魔物だぞ。」
「じゃあセーフ!」
気が付かないうちに昆虫食させられるかと思った。怖っ。背筋に悪寒が走り抜けたのを、そっと蓋を閉じて見ないことにした。そっとじは偉大。
「ううん、多すぎて悩む。ゼロさんのオススメはある?」
「そうだな…。アレは西国の端の民族が造っている香辛料だ。辛いぞ。あっちは南の小島の果物だからまだ酸味が強いだろう。甘い物なら…、これか。」
サクッと買って渡されたのは、見た目がドーナツ?の食べ物。茶色でふかふかで焼いてある。上に謎の粉がかかって、マラサダっぽい。
「いただきまーす。…お、?」
サクッとした食感の後、食物繊維のようなふかふか感。え、これお菓子じゃ無いのか。味はメープルに似てる。凄く美味しいけど、なんだろうこれ。
「おいひい!でも何なのかわからぬ!」
もぐもぐ咀嚼がとまらんぜよ。
「ドリュアスの実だ。癖があるから、好き嫌いは分かれるな。」
「ドリュアス?ドリュアス…。あ、ドライアド?!」
ドライアドって人型植物だよね?実って子供じゃ無いの?いいの?さっと血の気が引いて、手にある実の置き場に惑う。
「だ、大丈夫なの?人型植物なのに…。」
「なにが…ああ、ドリュアスは毎月大量の実をつける。春の物は繁殖用だが、それ以外は中身が無い。エルフ達が管理していて、今は低価格帯で大量に流通しているな。それから、精霊の宿ったドリュアス以外は、植物だぞ。」
「植物×精霊=ドリュアスで、植物のみは食用ドングリってこと?ええ…。鶏の無精卵みたいなものなのかな。」
管理されてるなら、ウズラみたいに生まれてきたりはしないのだろうけれど。うーん、美味しい。ふと、顔を上げて辺りを見回す。視界を過るのは、ドリュアスの実を食べる親子、恋人と楽しそうに歩く人達、悔しそうな声をあげて、仲間に励まされている冒険者。行き交う沢山の人。
…この世界、ダンジョンで街を興して、魔物やモンスターを当然に食べているから、全部を全部浄化したら、それら全てが消えてしまって、立ち行かなくなるんだろうな。
「難しいなぁ。」
全て浄化すれば恨まれて、浄化しなければ、いずれこの世界の人間は死ぬ。手間でも、常に適量をはかり、間引き、生かすしか無い。恨まれればそれだけ敵が増えて、最悪命を狙われる。神の意向だろうと、民意には敵わないだろう。
なんせ、アルヘイラがこの世界に直接手出しできない事は、聖女召喚を人間に頼ってる時点で明らかだ。だからと言って、逃げ出すことも出来ない。アルヘイラの監視がついて回り、何かに触れれば、私は妖精王に殺されるのだろう。
「…不味かったか?」
気が付けばじっと足元を見つめていた私を、心配そうに覗き込んでくるゼロさんに、美味しいよ。と笑って誤魔化した。…多分、誤魔化しきれていないだろうけれど。ゼロさんは聞かないでいてくれる。ごめんね。
「ふふ、ゼロさん大好き。」
「…そうか。俺も、リンが好きだ。」
困ったように笑うゼロさん。ほんとだよ。ゼロさんが、私を好きだって言ってくれるから。逃げないで、頑張るからね。
選べない立場だと、嘆きたくない。自分の意志で立っていたい。生きるために、殺すことになっても。…するべき事がある。その為の準備をしなくては。先ずは、
「甘いモノと美味しい物をたくさん買って、お土産にしよう!」
「サスラにか?」
「あと、ギル先生とクラージュさんにも。」
ゼロさんと楽しくデートだ!生きる気力、大事!それから、あの二人にも。今日の午後は女子会だな!…殺されないように、立ち回らなければ。やるしか無いんだ。
「おぉ!凄いこれ、ガラスの林檎の中に謎の液体が入ってる!」
デートって、そう言えば初めてだなぁ。そもそも、お付き合い自体が初めてで、何をどうして良いかわからない。
ちょっと浮き足立つこの感じも、ふわふわする気持ちも、ゼロさんの手が大きいなぁとか、手を繋いでくれるのが嬉しいなぁとか、普通で当たり前のことが、特別良いモノに感じる。
「あ、ゼロさんは、甘いものが好きなのかい?おすすめしてくれたドリュアスの実、甘くておいしかった。」
「いや、リンが好きそうだったからな。」
「そっか。んへへ、…そっかぁ。」
確かにね!この世界にしか無い物というか、異世界って感じのものは気になっちゃうし、真っ先に確認するよね。甘い物も好き。辛い物も何でも平気な方だけれど、美味しい物が一番かなぁ。ドリュアスの実は、私の中でめっちゃ美味しいドングリという認識になりました。
私の好みを考えておススメしてくれたのかと思うと、こう、くすぐったい感覚と、嬉しいのと、満たされてる気分がごちゃ混ぜになって、照れる。へっへっへ。
「ゼロさんは割とがっつりしたの好きだね。具体的には肉。」
繋いだ手を振りながら、断言した。いや、移動中とかご飯担当していたけど、胸焼けしないのかな?ってくらいお肉食べるし量も食べるよね。私の三倍は軽く食べる。…熊かな?
「ああ、身体を動かすと腹が減るしな。…肉は単純にうまい。」
「それはわかる。赤身肉がいいなぁ。」
「完全に同意する。」
肉によって絆が深まってしまったぜ…。罪な奴だ。肉。
「あ、アレ美味しそうではないかね?あのドネルケバブみたいなの。もう、話していたから口の中が肉の気分。受け入れ万全。肉食べよう肉。」
指差した場所には、棒に突き刺さったお肉を回転させて、下から炙り焼いてはそぎ落としているお店。これでもかとパンに挟んで、お客さんに渡しているのが見える。
「ああ、あれは魔羊の肉で癖があるんだが…リンは大丈夫そうだな。味付けがすでにされていて、足りなければ塩を振る。地方によってスパイスが違うんだ。ここはパンに挟むみたいだな。」
完全にドネルサンドだね!二つ注文したら、挟んでるパンの方に野菜とピンクのソースがかけられて渡された。出たな!ピンクソース!相変わらず甘酸っぱいけれど、魔羊のお肉に癖があるから逆にすごく合う。うんまい。
「ほぁあ、大変だ…美味しい。」
「ふ、今日は食べ歩きになりそうだな。」
「んんん、魅力的…!でもこれ量多いな…、向こうにあったタコっぽい串焼き気になってたけど、入らない予感。…いや、ギリいけるか?」
どうなんだ私のお腹。いけそうか?…なに?ドリュアスの実に圧迫されて、そもそもこれを食べきるのが無理だと?甘えるな!クソっ、せめてもう少しお腹周りが楽な服にすればよかったものを!隊長、それは流石にどうかと思います!ええい、黙れ黙れぃ。
うんうん悩んでいたら、ドネルサンドを持っていた手をひょい、と掴まれて、
「欲しい物全部買って、少しずつ食べればいいんじゃないか?」
そのままムシャムシャと、ゼロさんが残りを食べてしまった。……、おおう。
「ゼロさん、天才か…?」
「くッ…ふふ、小食の食いしん坊は大変だな。」
思わず感心して褒めて遣わすと、笑いながら頭を撫でられたでござる。よく考えたら私と同じのだけ食べたら、ゼロさん足りな過ぎてお腹すくよね。あと、私が小食なんじゃなくて、君が大食いなんやで。なんて、思いつつ。
頭の隅の方で、私が口付けたの普通に食べちゃうんですね。とか、いやぁ野営中とか一つの皿から食べてるから気にしないだけじゃん?とか、勿体無い精神だとか、会議が踊りまくってる。うん、…ゼロさん、罪な奴だな。
まぁ、そんなこと態度におくびにも出さず乗っかっちゃうんだけどね!だって未知なる食べ物が私を待っているからな!乙女心より食い気が勝っちゃう!
あれやこれやと、気になる物を本当に端から買って食べ歩く。ゼロさんが若干引く様なゲテモノは、珍味らしく量が少なかったから自分で食べた。ちなみに、さっき言っていたタコっぽいのの串焼きでござる。うーん、大味。
「当たりはずれはあるけど、個人の好みの範囲内かな。ほとんど美味しかった。満足!」
「国によって味の濃さも変わるからな。ここに出店している時点で、かなり売れているはずだ。」
どういう事かね?ああ、土地代が高いのか。店舗結構小さいのにね。大体お祭りの屋台くらいの範囲しかないよ?え、そんなに高いのかい?元取れるんだ。ほほう。確かにこれだけ人が居れば、ぜんぜん稼げるか。
「駆け出し商人の夢の場所でもあるな。高い土地代分を貯めて、こういったダンジョンで栄えている街に店を出す。当たれば店が構えるほど実入りがある。」
「おおー、ロマンですな!」
なんて話ながら、注文したデザートを受け取る。ゼロさんのお陰でお腹にゆとりがあるので、食後のデザートまで食べられるのだ。ありがたや。
小玉スイカみたいな果物をくり抜いて、皮を器に、中には三種類くらいの果物がカットされて入っていた。それが、ジュース?みたいなモノに浸っている。
「ゼロさんのお陰で満足した!ありがとうございます!」
「俺もちょうど良いくらいに食べられたから、気にしなくて良いぞ。」
本当に私一口しか食べなかったのに、残り全部食べてちょうど良いって…。肉食獣かな。エンゲル係数高そうだねぇ。この謎の果物も美味しいなう。ライチっぽいのと、ザクロもどきと、パイナップル?かな。美味しいし楽しいし、なんだかふわふわしてきたでござる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「んへへへへ…、」
「…?リン、どうした?」
「ふへへへへ…たのしいにゃあ…、」
デザートは別腹なのだと豪語して、大人しく食べていたと思えば…。何かおかしい。見れば楽しそうに笑っているが、ふにゃふにゃと気の抜けた笑い声を延々と上げ続けている。瞳は潤んでいるし、頬は薄らと上気している。
「リン、…ちょっと待て、これか?」
「あ~、なんてことを!それはわたしのだぞ!」
持っていた器を取り上げると、むくれてぽかぽかと胸を叩かれた。…、いや、本気で殴っていないのはわかるが。軽すぎる拳に心配になってくる。ひとまずリンを受け流しつつ、取り上げた器から一口食べると、甘い果肉と酒の味が口の中に広がる。
「…ああ、やっぱり酒じゃないか。…大丈夫か?」
「しかたないにゃあ…、たべたいならいえばいいのに。」
リンに酒で思い出されるのは初対面時の泥酔具合。酒自体そんなに好んでいないと言っていたが、飲めないわけではないらしく。酒の周りが早いのか、絶妙に会話が成り立っていない。…少し面白いが、どうしたものか。ただ笑って、呂律が回っていないが害はないな。
そのままどうなるのかと観察していると、俺の取り上げた器から匙で一口分掬い上げ、
「はい、ゼロさんあーん。」
「おま、…ッ、」
恥ずかしげもなく、口元に匙をあてがわれた。端に避けて座っているとはいえ、往来の増えてきた時間帯に…ッ。俺が口を開けるまで待つつもりなのか、にこにこ微笑みながら首を傾げている。…これは、この状態で待たれる方が居た堪れない…ッ!若干の人目を感じつつも、もうどうにでもなれと口を開けば、待ってましたと言わんばかり匙を突っ込まれた。
「おいしいねぇ?」
「そうだな…。」
満足げに笑っては自分で食べ始めたリンから目を晒し、口元に手を当てる。この程度の事で、笑えるくらい顔が熱くなっていた。
「んん゛…リン、水を飲んだ方が良い。」
なんとか平静を保とうと、リンに苦言してみる。が、むっと、頬を膨らますばかりで、一向に返事をしない。止めろ、そんな顔で俺を見るな。…我慢できなくなるだろうが。
「いらないもん…。それよりデートですよ?」
楽しみにしていたのだと見上げてくるリンに、心臓が高鳴る。様な、いやいや、落ち着け。そんなことを言っている場合か。あの泥酔具合を思い出せ。
「そ、うだが。それよりお前の体調が、」
なぜそんなに頑ななのか。水を飲むだけだぞ?なんとか説得して、酒が抜けやすい様にしなければ。と、言い聞かせようとするが、
「デート、イヤ?」
「ちが、そうではなくてな、」
微妙に会話が嚙み合わないせいで、リンが見たこともない程落ち込み始めた。じわじわと瞳に涙が溜まり、眉根を下げて下唇を噛んでいる。なんでそうなる…ッ!説得も碌に上手くいかず、焦るばかりで手は空を切る。
「イヤなんだ…、」
煮え切らない俺に、何を思ったのかリンは諦めたように目を逸らして。それに先ほどまでとは一転して、心臓がズキズキと痛みを主張していた。訝しむような人の目。今にも泣き出しそうなリン。
「嫌ではない!まて、泣くなッ、」
下を向いたら確実に落ちるであろう涙に、思わず両手でリンの顔を支える。きょとん、と不思議そうに、涙で潤み光る瞳に俺を映した。と、思えば、
「あ!ゼロさんみてみて、あそこに変な置物が!あやしい!這い寄る混沌の香りがするッ!」
ぱぁっ!と音がしそうな位に喜色満面の笑みを浮かべ、先ほどまでのやり取りはなんだったのかという程、悲しみのかの字もないリン。が、立ち上がって走り出そうとするのを、捕まえて止める。
「ッ、この、酔っ払い…ッ、」
「わぁ?!あれ?なんで前に進まない…?」
腹に腕を回し抱えれば、困り顔で首をひねっている。どれだけ人を、いや、俺を振り回せば気がすむのか。…まぁ、それは夜にでもじっくり聞くか。
「おい、酔っ払い。」
「ヒャッ?!…ぅええ?なんでゼロさん怒ってるの…?」
ご機嫌斜めかい?と聞いてくるリンに、どうしてくれようか。と腹の中から湧き上がってくる、なにか。を、飲み込んで。かわりに深いため息が出た。
「まったく…。酔っていた自覚はあるのか?体調は?」
「え、…ええと、酔ってた?体調…は、ちょっと倦怠感?気にならないくらい。」
なるほど。少量で酔うが、分解力は強いのか。記憶が飛ぶのは厄介だな。そもそも飲酒に入らないだろうこれは。
「…はぁ、とりあえず、なにが気になったんだ。見るんだろう。」
「うん…、いいの?」
状況がわからなくとも、何かしたと察したのだろう。悪戯がバレた犬の様に、恐々とこちらを窺ってくる様に笑ってしまう。
「ふ、…行きたいところがあるなら、付き合うぞ。」
「うん!ゼロさんも気になる物があったら言ってね!一緒に行こう!」
嬉しそうに笑い、ぎゅう、と強く握られた手に、仕方ない。と許してしまうのだから、大概俺は、リンに甘い。
ゼロさんは乙女心担当。
短くて申し訳なし。
連休中は所用があるので、更新が未定ですん。
頭の中の五月蠅いのを吐き出したら更新します。
あ、お月様に更新しました。もう一回書いたら追いつく程度に先のお話。
よろしければ、見てやってくださいませー。




