第99話 話し相手
ノユンの手から出た光はナヴィの体を包んだ。
私は思わず、ノユンに声を掛ける。
「ノユン。ナヴィに何をしてるの?」
私の方を向いたノユンが私に優しく答える。
「ナヴィちゃんに僕の精霊の力を注いでいるんだ。少しだけ待ってて」
緑色の光に包まれたナヴィは私の方に振り返り、私に話す。
「ラフィーネ。私は大丈夫だよ」
やがてノユンの手から光が失くなり、ナヴィの体はまだ緑色の光に包まれている。
次の瞬間、ノユンの体がノユンの持つ黒い石に吸い込まれていくように消え、ボトンとその場に黒い石が落ちた。
「ノユン!」
私達はナヴィと黒い石の所に駆け寄った。
私はナヴィを抱いて、問い掛ける。
「ナヴィ。大丈夫なの? ノユンは?」
ナヴィの体を包んでいた光も消え、ナヴィが私の方を向いて答える。
「ノユンは私に、残った精霊の力の一部を注いだの」
「それでノユンは? 消えちゃったの?」
ナヴィは地面に落ちている黒い石を見て、
「たぶんあの中にいるにゃ」
「えっ?」
アイシャが黒い石を拾い上げ、私の所に持って来て、全員でその黒い石を見た。
すると、だんだんその黒い石は透明な水晶に変化していった。
中には小さいけど、ノユンの姿が見えた。
「えっ? ノユンなの?」
水晶の中にいるノユンは私達に気付き、私達に答える。
「そうだよ。今、僕はこの石の中に封印されているんだよ」
「封印? 何でノユンが封印されてるの?」
「それはね…」
私達にノユンが説明してくれた。
リズシーレさんが渡したあの黒い石には、ノユンに分かるようにメッセージが込められていたそうだ。
それは『残った精霊の力をナヴィに託して、貴方はこの石に封印されなさい』というリズシーレさんからのメッセージだった。
つまりそれは、ゴーレム達を制御する力もナヴィに託すという事になるそうだ。
「じゃあ、今はノユンじゃなくて、ナヴィがあのゴーレム達を制御したり出来るの?」
私が水晶の中にいるノユンに尋ねる。
「そうなんだけど、今はまだナヴィちゃんに制御は出来ないんだ。ナヴィちゃんは今、どんどん精霊の力を取り戻している最中だから、僕が託した力がナヴィちゃんの中で増幅されるまではあのゴーレム達全てを制御する事までは出来ないと思う」
「それはどのくらい時間がかかるの?」
「それは分からないな。だけど、ある程度のゴーレムなら、もう動きを止めたりするぐらいなら出来ると思う」
ナヴィは自分の手(前足)を不思議そうに見て、呟いた。
「私があのゴーレムを…」
私はノユンに尋ねる。
「でも力をナヴィに託して、何でリズシーレさんはノユンをこの水晶に封印したの?」
ノユンは微笑みながら、答えた。
「リズちゃんは僕と話がしたいんだって。この水晶に封印されて、君達にリズちゃんの所に運んでもらえって、そういうメッセージが込められてたよ」
「つまりリズシーレさんはノユンと話がしたいから、ノユンを水晶に封印したの?」
「そういう事らしいよ。まったくワガママで意地悪な事を考えるよ…」
そう言って、またノユンは微笑んだ。
そして私に話し掛ける。
「それで、申し訳ないんだけど、僕をリズちゃんの所まで持って行ってくれないかな?」
「それは全然構わないんだけど、ノユンはいいの?」
「なにが?」
「森の精霊だから、この森から出られないとかない?」
「それは大丈夫だよ。僕は確かにこの森で生まれた精霊だけど、好きで聖樹の側にいただけだし。封印されたから少しは延びたと思うけど、精霊としての寿命も残り少ないのは変わらないしね」
「そう…。分かった。じゃあ、私達が聖樹を取ったら一緒にランシーアに行こう」
「うん。お願いするよ。でも、気を付けてね。聖樹の近くには僕が全く制御出来なかったゴーレム達が今も暴走状態で聖樹を守っているから」
私は振り返って、皆の顔を見て、ミレニアさんの顔を見てノユンに答える。
「うん。大丈夫。その為に助っ人も呼んだんだから! じゃあ、ちょっと狭いけど、ここに入れるね」
私はノユンの入った水晶を鞄に入れ、皆と立ち上がった。
「よしっ! じゃあ、聖樹を取りに行くよ!」
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