第95話 ナヴィの記憶
扉から出てきたナヴィはフワフワと浮かんで、私達の前までやって来た。
クウネが興奮して、ナヴィに話し掛ける。
「すごいっ! ナヴィ、飛べるようになったのー?」
「んー、なんかそうみたいにゃ」
リズシーレさんがその様子を見て、私達に話す。
「本来、精霊は飛べるからね。ナヴィちゃんの能力が戻ったから、それぐらいはすぐに出来るようになっても不思議はないよ」
私がリズシーレさんの方を向いて尋ねる。
「ナヴィの能力って、結局なんだったんですか?」
「それはまだ分からないよ。長い間封印されてたみたいだからね、これから徐々に能力は戻ってくるから、心配しなくていいよ」
「そうですか。ありがとうございます。それで、ナヴィは封印が解けて何か思い出した?」
ナヴィは首を傾げて考えると、私に答える。
「それが何も思い出せないの。あのお城にとじ込もっていた時の記憶はあるんだけど、それより前の記憶はやっぱり思い出さないの…」
その答えを聞いてリズシーレさんが話し出す。
「ナヴィちゃんはこの封印にかかっている間、日中は自我を失って、自分は怪物になってると思い込んでいたんでしょ?」
「うん、そう思ってたにゃ。実際はただの白猫みたいだったけど」
ふぅん、と考えたリズシーレさんが話す。
「おそらく、だけど、ナヴィちゃんはそうやって自我があったり無かったりを繰り返した事で、どんどん記憶を失っていったんじゃないかな?」
私がリズシーレさんに尋ねる。
「じゃあ、記憶を封印されたんじゃなくて、勝手に記憶が無くなっていったって事ですか?」
「結論から言うと、私はそう思う。ナヴィちゃんに掛けられた封印はナヴィちゃんの精霊の能力にだけ作用していたからね」
「だったら、ナヴィにもう記憶は戻らないですか?」
「うーん、それも分からないね。何かのきっかけで思い出すかもしれないしね」
「そうですよね。色々聞いてすみません」
「いや、構わないよ。何しろ自分が精霊だって記憶もないんだから、私に解る事なら答えさせてもらうよ」
「ありがとうございます」
そしてリズシーレさんが、私達に尋ねてくる。
「それで、すぐに聖樹の森に向かうのかい?」
私はアイシャ達の顔を見て、頷くとリズシーレさんに話す。
「ええ、ちょっと準備があるので、それが終わればすぐに向かおうと思ってます」
「そう。まあ、君達がそう言うならいいと思うけど、昨日の夜は夜通し飛んでいたんだろう? 若くても休息も必要だよ?」
「はい、ありがとうございます。でも大丈夫です。ナヴィの事、ホントにありがとうございました。聖樹は必ずこの袋一杯にして持ってきます」
リズシーレさんは少し考えるような表情をして、
「うん、お願いするよ。それでちょっと待ってくれるかい?」
そう言って、リズシーレさんは隣の部屋に行って、手に収まるぐらいの黒くて丸い石のような物を持ってきた。
「君達にお願いがあるんだ。これをノユンに渡して欲しいんだ」
リズシーレさんはその石を同じ大きさぐらいの革袋に入れて、私に差し出した。
私はそれを受け取り、リズシーレさんに聞く。
「分かりました。でも、これは何なんですか? さっきリズシーレさんは、ノユンはもうすぐ消えるって…」
「ああ、彼の精霊の力はもうすぐ尽きると思う…。それは私の願いと、彼へのお土産みたいな物だ」
「お土産ですか…」
私は何故、リズシーレさんがそれをノユンに渡そうとしているのか分からなかったが、ナヴィの封印を解いてもらったということもあったので、それ以上は聞かずに鞄にそれを入れた。
窓から外を見ると、だいぶ日が傾いてきていた。
私はリズシーレさんの方を向いて、
「これは必ずノユンに渡します。それじゃあ、行ってきます」
リズシーレさんは優しく微笑み、手を振って私達を送り出してくれた。
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