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ポンコツ貴族令嬢が最強スキルをゲットしたので、自由を求めて家出する。~家出令嬢の冒険譚?~  作者: 十目 イチ
キャラバン編 ~聖樹の森~

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第92話 ノユンの願い

 私達は地面に座る精霊ノユンに近付いて、私がノユンに話し掛ける。


「さっきは助けてくれて、ありがとうね」


「いや、僕の方こそ。僕がちゃんとあのゴーレム達を制御できていればこんな事にならなかったし…」


 そう言って、ノユンの表情が暗くなる。


 私が更にノユンに話し掛ける。


「じゃあ、あのゴーレム達はああやって、すぐに攻撃してくるの? ノユンにも?」



 ノユンは視線を落としたまま、答える。


「うん…。もう僕にはあのゴーレム達を操る事が出来ない…。その力がもう僕には残っていないんだ…」



 それを聞いたアイシャがノユンに尋ねる。


「それで見境なく攻撃してくるんですね。それで、あのゴーレム達を止めたり、制御する方法は他にはないんですか?」


「僕の力が完全に尽きれば、止まるかもしれない…。あのゴーレム達は僕が産み出した物だから。他の方法は僕には分からないな…」


 そう言ったノユンは更に暗い表情になり、私はアイシャ達と顔を見合わせた。



 ノユンが顔を上げて、私達に尋ねてくる。


「君達はリズちゃんと知り合いだから、この森に聖樹を取りに来たんだよね?」


「うん。そうなんだけど…、聖樹の周りにはゴーレムが多いんだよね?」


「そうだね。たぶんもう誰も聖樹には近付けないぐらいゴーレム達がいると思う…」



 それを聞いて、私は考えこんだ。

 さて、どうしようか?



 一体、二体のゴーレムでもあの強さと硬さだ。

 空から近付くにしても、またあの鞭が飛んできたら、結局地上に落とされてしまう。



 また私はアイシャ達と目が合った。

 アイシャ達も良い考えが浮かばないようだ。



 するとその様子を見ていたノユンが私達に話し掛ける。


「ほんの少ししかないけど…。もし良かったらこれを持って帰って」


 そう言ってノユンは懐からほのかに光る木の枝を数本取り出し、私達に差し出した。



 私がノユンに尋ねる。


「それは…、聖樹?」


「そう、聖樹の枝。僕の手元にはこれしか残ってないけど」


「えっ? 貰っていいの?」


「うん。君達はリズちゃんに頼まれて、ここまで来たんだよね?」


「うん。まあ、頼まれてというか、私達も聖樹が必要だったから…。ナヴィ。ちょっと顔を見せてくれる?」


 私はクウネの鞄の中にいるナヴィを呼んだ。

 ナヴィは鞄から出てきて、私の隣に来た。


「私達の仲間のナヴィだよ。精霊獣なんだけど、力が封印されてて、それを解くのに聖樹が必要なんだよ」



 ナヴィはノユンに挨拶して、ノユンがナヴィをじっと見て、私達に話し出す。


「なるほど…。確かに精霊の力は僅かに感じるけど、ほとんど封印された状態なんだね。でも、リズちゃんなら何とかしてくれるよ」


 そう言ってノユンはナヴィの頭を撫でた。



 そして聖樹の枝を無理矢理、私の手に握らせて、話す。


「これを持って早く、君達はリズちゃんの所に帰るんだ」


 私は戸惑って、ノユンに答える。


「えっ? でもノユンは?」


 ノユンは私達一人一人の顔を見ながら言った。


「僕は大丈夫。もうすぐ僕は力を失って消える存在だ。だけど、リズちゃんの友達の君達をこれ以上、この森で危険な目に遭わせるわけにはいかない。だから早くそれを持って、この森から立ち去ってくれ。お願いだ」



 ノユンの悲痛な願いに私達は顔を見合わせる。



 確かに今、この聖樹の枝をリズシーレさんの所に持って帰れば、ナヴィの封印を解いてくれるかもしれない…。



 だけど…。本当にそれでいいの?



 優しく、だけど力なく微笑むノユンが私達に話す。


「リズちゃんに、ノユンは元気だったと伝えてくれればいいよ」



 ノユンのその顔を見た私は決心して、ノユンの両肩を握り、彼に伝える。


「…分かった。聖樹はありがたく使わせてもらうね。だけど、諦めちゃダメだよ! 私達とリズシーレさんで君を何とかするから! またすぐここに戻って来るから、絶対に!」



 私は振り返り、イスネリにすぐにランシーアに帰るから、飛んで欲しいとお願いした。


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