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ポンコツ貴族令嬢が最強スキルをゲットしたので、自由を求めて家出する。~家出令嬢の冒険譚?~  作者: 十目 イチ
キャラバン編

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第82話 交渉

 リズシーレさんの部屋にしばし沈黙が流れる。


 沈黙を破ったのはアイシャだった。


「リズシーレさん。このナヴィの何が封印されているのでしょうか?」


「結論から言うと、精霊獣としての能力(ちから)すべてと言っていいだろうね」



 私がリズシーレさんに尋ねる。


「そのナヴィの封印されている能力(ちから)って、どんな物なんですか?」


「それは私にも分からないね。そのナヴィちゃんに能力(ちから)が戻ってみないとね」



 私はそれを聞いて、イスネリに聞いてみる。


「イスネリは精霊獣って見た事はないの?」


「精霊獣という存在は聞いた事がありますが、実際に見た事はありませんの」


 うーんと考えこむ私達を見て、リズシーレさんが私達に話し掛ける。


「ナヴィちゃんの目を見てごらん。今、この子の目は両目とも黒目でしょ?」



 そう言われて、私達はナヴィの目を覗きこむと、確かに黒目だった。


「これは本来の精霊獣の目の色ではないのよ。本来であれば黒以外の鮮やかな色をしているはず。それが今は黒いという事は彼女の能力(ちから)が今の体には宿っていないっていう事だね」


「それが封印されているっていう事ですか?」


「そういうこと」


 リズシーレさんが更に続ける。


「今のままで何も変化がないのなら、そのままでもいいと思うけど、このままの封印された状態では時間の経過と共にこの子の体に何か変化が起こるかもしれないし、それは私にも分からないわね」



 私は少し不安そうにしているナヴィに尋ねる。


「ナヴィは封印を解きたいと思う?」


「んー、正直、分からないにゃ。ずっとこのままだったら、別にいいんだけど、どうなるか分からないって言われると、解いた方がいいのかにゃ…」



 私はリズシーレさんに尋ねる。


「封印を解く方法はあるんですか?」


 リズシーレさんは椅子にもたれ、腕組みをして答える。


「あるには…有る」


「どうやったら、解けるんですか?」


「私が呪法を施せば、おそらくナヴィちゃんの封印は解ける…が、それには材料が足りない」


「材料ですか? ちなみにそれはどんな材料なんですか?」


「聖樹と呼ばれる木だ」



 聖樹…。これも初めて聞いた。



 リズシーレさんが続ける。


「聖樹とはその名の通り、聖なる力が宿った特別な樹木で、精霊が宿る森の中に生える木の事だよ」


「それはどこで手に入れる事が出来ますか?」


「それはもちろん、精霊が宿る森なんだけど、ここからではかなり距離がある…けど、それは貴方達にはあまり問題ではないか。神竜がいるしね」


「だったら、私達がそれを取ってきたら、リズシーレさんはナヴィの封印を解いてくれますか?」



 リズシーレさんはふっと微笑み、私達に言う。


「ただでは出来ないね」


「代金はおいくらぐらいでしょうか…」



 私が恐る恐る尋ねた。


 するとリズシーレさんは振り返り、テーブルの横にある棚から大きめの革袋を一つ取り出し、私達に言った。


「彼女の封印を解くには聖樹の枝が一本あれば、それで足りる。この革袋一杯の聖樹を取って来てくれれば、それで呪法を施してあげるよ」


「つまりその袋一杯に聖樹を詰めてリズシーレさんに渡せば、その中の一本を使って、封印を解いてくれて、代金は残った聖樹って事でいいんですか?」


「まあ、結論から言うと、そういう事だね」



 私はナヴィに聞く。


「どう?ナヴィ。封印…解く?」


 ナヴィは困った顔をして私達に言う。


「それを取りに行くのはラフィーネ達が大変じゃないの? 私は別に今のままでもいいんだにゃ」


「でも、いつまでもこのままかどうか分からないんだよ」


 ナヴィはまた困った顔をして私に尋ねた。


「封印を解きたいって言ったら、迷惑じゃないかにゃ?」


「そんな事ないよ。ナヴィ。遠慮はダメだよ!」



 ナヴィは決心したように私に言った。


「じゃあ、お願いしてもいいかにゃ? ラフィーネ」


「もちろん! みんなでナヴィの封印を解いて、ナヴィの能力(ちから)を取り戻そっ!」



 リズシーレさんが革袋を差し出して私に言った。


「交渉成立だね」


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