第81話 ナヴィの正体
アルメダさんはジャーバさんから革袋を受け取り、リズシーレさんに差し出す。
「これ、おたくがおじ様に依頼してたヘルバッファローの角だよ」
ちょっと驚いた顔をしたリズシーレさんが革袋から角を取り出し、角を確認する。
「驚いたね。もう採取してきた冒険者がいたんだね」
アルメダさんが私達の方を向いて、リズシーレさんに話す。
「採取してきたのは、ここにいるラフィーネ達だよ」
またちょっと驚いた顔をしたリズシーレさんが私達の方を見て、声を出す。
「ああ、そういう事か。なるほど…」
不思議そうな顔をしたアルメダさんがリズシーレさんに聞く。
「どうしたんだい? ばあさん。ラフィーネ達がどうかしたのか?」
「だから、ばあさんじゃないって言ってるだろ、アルメダ。何にも無いよ。それよりアンタ、今日からこの町で行商の店を出すんだろ?」
「ああ、そうだよ」
「しっかりやんなよ。ラドズはアンタを信じて甘やかしてるんだから、それにちゃんと答えてやんないと」
「ばあさんに言われなくても、分かってるよ。じゃあ、あっしは用が済んだから、もう行くよ。また七日後の帰りの護衛をよろしく頼むよ。ラフィーネ」
「はい。分かりました。よろしくお願いします」
アルメダさんとジャーバさんがリズシーレさんの家から出ていくので、私達はそれを見送った後、またリズシーレさんの部屋に戻ってきた。
そして椅子に座って腕組みをしたリズシーレさんが振り返り、私達に話し掛けてくる。
「さて…、部屋に案内する前にちょっと話をしたいんだけど、いいかい?」
「はい。別に大丈夫ですけど…」
「まあ、その神竜の娘は何故一緒にいてるのかは、特に聞かないけど、その白猫ちゃんは…」
イスネリの正体はすぐに見抜かれていたようだ。
そして私達はクウネの頭の上に乗っているナヴィを見た。
私がリズシーレさんに聞く。
「え、ナヴィがどうかしましたか?」
「どうして、あなた達と一緒にいてるのかな?」
私達はリズシーレさんがどうしてと聞いてきた理由が分からず、私はプルメイの古城で、私達がナヴィと出会った時の話をした。
その話を聞いたリズシーレさんが何度も頷きながら、私達に話し出した。
「という事はこのナヴィちゃん自身も自分がどこの誰なのか、覚えていないって事なんだね」
「はい。そうだにゃ」
ナヴィが人語を話せる事には全く驚いていないリズシーレさんが話す。
「結論から言うと、そのナヴィちゃんは人間の姿にはおそらく戻れないよ。というか、その白猫の姿がその子の本来の姿だよ」
えっ?そうなの?
今の姿が本来の姿って…。
驚く私達を見ながら、リズシーレさんが話を続ける。
「そのナヴィちゃんは精霊獣だよ」
精霊獣…。
何それ?
私達とナヴィは顔を見合せて、リズシーレさんの方に振り返る。
「私も精霊獣に会ったのは、数十年ぶりだね。今ではもうほとんど見なくなってしまったからね」
「あの、リズシーレさん。精霊獣って?」
「その名の通り、獣の姿をした精霊の事だよ。だからナヴィちゃんは白猫に似た今の姿が本来の姿だよ」
私がリズシーレさんに尋ねる。
「今の姿が本来の姿だったら、ナヴィの呪いは完全に解けているっていう事ですか?」
リズシーレさんは椅子から立ち上がり、目の前にあるテーブルの上を指差してナヴィを呼んだ。
「ナヴィちゃん。ちょっとここに座って、顔をよく見せてくれるかい?」
ナヴィは言われたまま、テーブルの上に移動して座ると、その顔をリズシーレさんがまじまじと覗きこんだ。
そしてふんふんと頷きながら、また椅子に座ると私達に話し出した。
「結論から言うと、ナヴィちゃんにかけられていたのは呪いじゃないよ」
…呪いじゃない?
私がリズシーレさんに尋ねる。
「呪いじゃないって、じゃあ、何がかかってたんですか?」
リズシーレさんが私達を見据えて、答える。
「このナヴィちゃんにかけられていたのは、封印だよ」
封印…。
私達は一斉にナヴィの方を見た。
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