第71話 三日月が気に入ったみたいです
私達は二日目の夜を迎え、夜間の見張りは昨日と同じ順番でする事になった。
クウネは自分の番の時に寝ないように、今のうちにしっかり寝ると言って、夕食後に一番でテントに入って行った。
私とミレニアさんは昨日と同じように、それぞれの持ち場の方に移動する。
昨日と違って、キャラバン隊が夜営をしている場所の近くには山岳地帯があるので、私は見晴らしの良い草原側で、ミレニアさんは山岳地帯が見える位置にそれぞれ配置して見張りを行った。
私は地面に座って、鞄から三日月とバックラーを出して、それらを目の前で飛ばしたり、回したりしながら、見張りをしていた。
そんな風に見張りをしていると、あっという間に交代の時間になり、ミレニアさんとアイシャが私の所にやって来て、声を掛けた。
「…ラフィーネさん。交代の時間です」
「あ、ミレニアさん。もう時間か」
私の近くで飛び回ってる三日月を見て、ミレニアさんが呟いた。
「…楽しそう…。月明かりに照らされて、三日月が踊ってるみたいだね」
はっ! なんてロマンチックな事を言うんだ、この人は!
私は三日月を武器としてしか認識していなかったので、見る人によってはそういう風にも見えるんだと感心した。
アイシャがミレニアさんに声を掛ける。
「ミレニアさんは素敵な感性をお持ちですね」
すると、ミレニアさんは顔を赤くして顔を伏せた。
「…い、いや、そんな事は…」
「ウチの粗野なお嬢様とは大違いですよ」
それは余計な一言だと思います…。
ミレニアさんは私の方に向かって声を掛ける。
「…と、とにかく、ラフィーネさん。交代の時間なので、私達はテントで休みましょう」
私はミレニアさんにそう言われて三日月を鞄に直して、立ち上がった。
「それじゃ、あとはよろしくね。アイシャ」
「はい。お二人ともゆっくりお休みください」
私とミレニアさんはアイシャと入れ替わると、テントに向かって歩いて行った。
私達はテントに入ると、ミレニアさんと隣同士で横になった。
ミレニアさんが少し恥ずかしそうに聞いてきた。
「…ラフィーネさん。さっきの三日月型のナイフ、ちょっと見せてもらってもいいかな?」
「えっ? うん。いいけど…」
そう言って私は鞄から専用ケースに入った三日月をケースごとミレニアさんに渡した。
ミレニアさんはケースの中から一枚取り出した。
「持つ所がなくて、危ないから気をつけてね」
「…うん。ありがとう」
ミレニアさんは手に持ったその三日月を色んな角度で眺めている。
そして、また恥ずかしそうに聞いてきた。
「…ラフィーネさん。一枚だけ朝まで借りててもいいかな?」
「うん。別にいいよ」
ちょっと嬉しそうに微笑んだミレニアさんは三日月を持って眺めたまま、寝転んだ。
…えっ? 三日月眺めながら、寝るの?
変わった人だなぁと思ったけど、ミレニアさん、なんか可愛いなと思って、私も眠りについた。
翌朝…といっても日の出の少し前に私達は起きて、テントから出た。
キャラバン隊の人達の大半は起きてきていて、朝食の準備と馬車の荷台の確認や整理をしていた。
朝食の準備を手伝っていたアイシャを見つけて声を掛ける。
「おはよー。アイシャ」
「おはようございます。お嬢様。ミレニアさん」
「今からクウネとイスネリの所に行くけど、アイシャはどうする?」
「私はここで朝食の手伝いをしますので、お嬢様だけ行っていただいてもいいですか?」
「うん。分かったよ。朝食準備ありがとね。行って来るね」
私とミレニアさんはクウネとイスネリの所に順に声を掛けに行った。
イスネリはもちろん、クウネもバッチリ起きていたみたいで、私にこっそりちゃんと起きてたよとナヴィが報告してくれた。
私達は朝食を用意している所に行き、全員で朝食をとっていると、ちょうど辺りが明るくなり始めた。
朝食が終わると、すぐに後片付けとテントの撤収作業に入っていく。
アルメダさんが護衛担当に集まるように声を掛ける。
私達が集まると、アルメダさんが今日の護衛の段取りを私達に話し出した。
「今日はいよいよ山岳地帯を抜けて、ペグナットに入る。で、山岳地帯の野盗対策で、昨日までとは違う配置で今日は馬車に乗ってもらうからな」
護衛担当の私達に少し緊張感が走った。
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