第70話 気合い、入れました
マドハイエナを退けた後、キャラバン隊は快調に進んでいく。
周りの景色も草原地帯から段々と草木が減っていき、山岳地帯が近付いて来ているのを感じた。
そしてキャラバン隊の馬車は夕方前頃に夜営予定の地点に到着することができた。
少し先の方にはゴツゴツとした岩山が見えており、明日はこの岩山に囲まれた山岳地帯を抜ける予定だ。
今日少し早めに夜営するのは、暗くなってから山岳地帯に入ったり、山岳地帯での夜営は危険なので、その前に夜営をして明日、日の出と共に山岳地帯に入るためだ。
昨日と同じようにキャラバンの人達が、手際よくテントを設営していく。
アルメダさんが護衛担当全員を呼び寄せて、キャラバンの人達がテント設営作業をしている所から少し離れて、話し出した。
「他のメンバーが聞くと、不安がるかもしれないから、お前らだけに伝えるぞ」
そう言ってアルメダさんは私達の顔を見回す。
私達は頷き、アルメダさんが話を続ける。
「最近、この山岳地帯は集団の野盗が頻繁に出ているそうだ」
私は無言で頷く。
「あっしらは少人数な上、女ばっかりだ。遭遇したら、狙われる確率はかなり高いと思っている」
ジャーバさんが答える。
「そうでしょうね。大規模なキャラバン隊なら素通りさせてくれるかもしれないっすけど、ウチは見つかったらすんなり通してはくれないでしょうね。野盗がこの辺りに出るって情報はオレも聞いてたっすけど、何か策があるんすか? キャプテン?」
アルメダさんは私の方を向いて、ニヤッと笑い話し出す。
「あっしが聞いた情報だと、奴らは崖の陰とか上から矢で狙って、足を止めてくる手口らしいんだが…。ラフィーネ。野盗が放った矢も操れんのか?」
私は親指を立てて答える。
「見えれば、余裕で動かせます!」
「よし。じゃあ、明日はラフィーネはアイシャと馬車の上とか見晴らしの良い位置で待機して、野盗が放つ矢を防いでくれ」
するとアイシャが手を挙げて、アルメダさんに話す。
「アルメダさん。それでしたら、私ではなくイスネリをお嬢様の横に配置しても良いでしょうか?」
「別に構わないけど、何でだ?」
「私よりイスネリの方がかなり目がいいんです。索敵するには私よりイスネリの方が適任だと思いますので」
「なるほどな。分かった。じゃあ、そうしてくれ。イスネリはそれでいいんだな?」
「もちろんですの。全力で索敵して、ラフィーネさんとキャラバン隊をお守りしますの」
「じゃあ、明日はよろしくね。イスネリ」
護衛担当の打ち合わせが終わり、私達はテント設営のお手伝いに行った。
テントの設営が終わり、皆が夕飯の用意をしている時に私はアイシャとクウネとイスネリを呼び、少し離れた所で話をする。
「ねえねえ、ちょっと思いついたんだけど、この先の山岳地帯に野盗が出るんだったら、今のうちに私達で先回りして、先に倒した方が早くない?」
アイシャが答える。
「たしかにそれはそうですけど、どうやって先回りして見つけて倒すんですか?」
「イスネリに不可視を使って飛んでもらって、私が野盗を見つけたら、攻撃して叩くって感じなんだけど、どうかな?」
クウネがそれを聞いて声を上げる。
「あー、それなら確かに先回りできるねー」
アイシャが顎に手を当て、私のその作戦について答えた。
「実は私もお嬢様と同じようにその作戦は思いついていたのですが…」
「…が?」
「それだと、アルメダさんにイスネリがワイバーンである事を説明しないといけません。あまり勝手に離れてはまずいでしょう。それにキャラバン隊が山岳地帯を通るのは明日です。すでに野盗が待ち構えていれば良いですが、明日の朝まで誰もいないという可能性もあります」
「ああー、そうかー。そうだね。せっかく今から行って倒しても、明日には別の野盗がいるかもしれないもんね」
私はアイシャの意見に納得して、今回は先回り作戦はしない事にした。
でもアイシャが、
「お嬢様がキャラバン隊に安全に進んでもらいたいという気持ちは伝わりました。なので明日、もし野盗が襲ってきても、皆で全力でキャラバン隊を護衛いたしましょう」
そう言って、私達はおーっ! と返事をして気合いを入れた。
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