第55話 確かめようと思います
ナヴィはうつ向いたまま、黙り込んだ。
その目には涙が浮かんでいる。
私は壁に掛けられた絵の怪物に目をやった。
鋭い眼光と牙を持った白い怪物で、絵の中に比較する物が描かれていないので、その大きさまでは分からない。
するとアイシャがナヴィに尋ねる。
「今日、人を襲ったと言いましたが、どこで襲ったんでしょうか? 私達は昼間、プルメイの町にいましたが、そんな騒ぎなどは聞きませんでしたが?」
ナヴィは顔を上げて答える。
「わからない。太陽の光を浴びると、気を失ってしまって…。それで気がついたらこの部屋に戻っているの。自分がどこに行って何をしたかの記憶もないの」
「それで何故、自分が人を襲ったと分かるんでしょうか?」
ナヴィは自分の手の平を見ながら答える。
「この手と口に感触が残ってる…。今日も気がついたら、手と口に少し血がついてたから…」
目が覚めたら、口に血が付いてるって…
こわっ! …そんな…事ある?
ふーんと考えながら、アイシャは再びナヴィに尋ねる。
「太陽の光を浴びた所までは覚えていて、そこから全く何も覚えていないんですか?」
「うん。何も思い出せない…」
アイシャが考えているので、私はアイシャに聞いてみる。
「どうしたの、アイシャ。何か気になるの?」
アイシャは絵の怪物を見ながら、私に答える。
「お嬢様。この絵の怪物…。見覚えありませんか?」
私は改めて、その壁に掛けられた絵を見てみる。
クウネとイスネリも同じように絵を見た。
「「「あっ!」」」
三人は同時に声を上げた。
アイシャが私達に向かって話す。
「気がつきましたか? この絵に描かれた怪物の尻尾、五本あるんです」
迫力のある目や牙に目がいってしまってたけど、その怪物には長めの尻尾が五本、ハッキリと描かれていた。
私が思い出しながら、三人に話し出す。
「もしかして、私達が昼間に見たあの白い猫が…」
「はい。確信はありませんが、ここにいるナヴィだったかもしれません」
言われてみれば、この絵の怪物と昼間に見た白猫は、どことなく似ているように思った。
さらにアイシャが続ける。
「ただ、それをどうやって確かめるか…」
私は確かめる方法は一つしかないと思ったので、それをナヴィに聞く。
「ねえ、ナヴィちゃん。私達、今日ここで朝まで居ててもいいかな?」
「えっ? 何で」
「ナヴィちゃんが本当に怪物になるのか、確かめたいんだよ」
「で、でも、危ないよ。怪物になったら、襲うかもしれないのに…」
「大丈夫だよ。私達、こう見えても冒険者やってて、魔界のモンスターにも勝った事があるんだから」
…少しだけ話、盛りました。はい。
「で、でも…」
「それにこの娘はワイバーンなんだよ」
イスネリはそう言われて、私達から少し離れるとワイバーンの姿になってくれた。
部屋の天井近くまでの大きさがあるワイバーン姿のイスネリを見て、ナヴィが声を出す。
「ほ、本当にドラゴンなの?」
「ええ。正確には飛竜。ワイバーンですの」
そこはちゃんと訂正するのね…。
そして私はナヴィに声をかける。
「ね。私達は大丈夫だから、確かめさせてくれないかな?」
ナヴィはうつ向いて考えた後、私達に話し出す。
「うん。わかった。でも、一つだけお願いがあるの」
「なにかな?」
「怪物になって、私が人を襲いそうになったら止めてくれる?」
「もちろん! 私達が絶対にナヴィちゃんに人を襲わせない。必ず止めるから。約束するよ」
ナヴィはそれを聞いて、少し安心した表情になり、
「約束…。ありがとう。だったら今日、居てもいいよ」
「ありがとう。ナヴィちゃん。じゃあ、私達は一回宿に戻って、念のために武器とか取りに行くね。またすぐここに戻って来るから」
「うん。わかった」
そう言って、私は三人の方に振り返って話し出す。
「という事になっちゃって。ごめんね。協力してくれる?」
「もちろんです。お嬢様」
アイシャとクウネとイスネリ…ワイバーンの姿だからちょっと分かりにくいけど、みんな笑顔で快諾してくれた。
「イスネリ。もうひとっ飛び、お願いできる?」
「了解しましたですの」
こうして私達四人は一度古城を後にして、宿屋に向かって飛び立った。
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