第51話 初めての味
馬車はゆっくりと丘を降りて町に近付いて行く。
私とクウネとイスネリは初めて見る海を馬車から眺めていると、ジーノさんが声を描けてきた。
「皆さん、海も素晴らしいんですが、見えますか? 町の向こう側です」
そう言われて見ると、私達の馬車の位置から町を挟んだ反対側の少し高くなった所に大きな建物が見えた。
「あっ! お城だ!」
「そうです。あれがこのプルメイを以前統治していた領主の古城です。今は誰も住んでいませんので、一般にも公開されています。中も見れるんですよ。このプルメイの観光名所の一つです」
「中に入れるんですか?」
「ええ、入れますよ。後で行きましょう。あの古城からの景色も絶景ですよ」
クウネが興奮し過ぎて、尻尾がバタバタ私の体に当たる…。
馬車は街道に入り、そのまま町の中に入って行く。
モーネサウラとは違う活気がプルメイの町にはあった。
馬車は海の方に向かう街道に入り、海が近づくにつれて、通りの両側には露店が多くなってきた。
馬車はゆっくりと速度を落とし、その通り沿いに停まった。
ジーノさんが私達に声を掛ける。
「では、ここからは歩きになります。ちょっとお店を見ながら行きましょうか」
私達は馬車の扉を開け、外に降りた。
すると今まで嗅いだ事のない匂いを感じて、思わず声が出た。
「うわ! 何ですか? この匂い」
ロザミーさんが微笑みながら答える。
「これが海の匂いですよ。ラフィーネお嬢様。風に乗って潮の香りがするんですよ」
生まれて初めての匂いに新鮮な気持ちになった。
これもまた、家出をしたから出来る体験かもしれないな。
そして通り沿いに並ぶ露店に目をやると、たくさんの海産物が売られていて、威勢の良い店員さんの声が色んな店から聞こえてくる。
私達は海の方に歩きながら、ゆっくりとその露店を眺めていた。
歩きながら、ジーノさんが説明してくれる。
「この通りに出ている魚や海産物のほとんどは昨日、今日獲れた新鮮な物ばかりですよ。今から行くお店もそんな新鮮な物ばかりですから、期待していてください」
「この先にお店があるんですか?」
「ええ、海のすぐ側にあるんですよ。絶対に皆さん、その店の料理の虜になりますよ」
そしてロザミーさんが話す。
「ジーノは仕事をほったらかして、美味しいお店を探すのが得意ですから、そこは本当に期待しても大丈夫ですよ」
「姉さん…」
ジーノさんは苦笑いを浮かべているが、間もなく目的の店に着いた。
本当に海のすぐ側にそのお店があり、私達が案内された席からも海を眺める事が出来た。
私達は魚の知識が全くないので、注文は全てジーノさんにおまかせした。
料理が来るまでの間、クウネとイスネリの二人はずっと身を乗り出して海を眺めていた。
そして料理が運ばれてくると、私達は見たことのない料理の一つ一つに歓声を上げて、どんどん食べていった。
楽しみでもあったんだけど、一番驚いたのが、刺身と呼ばれた生の魚だ。
今まで食べた事のない味と食感に、人生で初めて食事で感動したかもしれないって思った。
クウネとイスネリも、アイシャも初めて食べる刺身には感動したようだった。
食事を終えて、皆で食後のお茶を飲んで、ロザミーさんが私達に話し掛ける。
「皆さんは今日はこちらに一泊される予定ですか?」
そう聞かれて、アイシャが答える。
「いえ、特に決めてなくて、ロザミー様とジーノ様にお任せしようとお嬢様と話していたのですが…」
「それでしたら、是非泊まっていってください。宿の方は言っていただければすぐに手配できますし、私とジーノの事は気にせず、好きなだけ滞在してもらっても構いませんから」
「えっ? いいんですか?」
「ええ、もちろんです。ジーノ。忘れないうちにお渡しして」
そう言われたジーノさんが、懐から一通の封筒を出した。
「これをさっきの転移ゲートの所にいた従業員に見せれば、すぐにゲートを使ってモーネサウラまで帰れますので、いつでも使ってください」
その封筒をアイシャが受け取り、私がロザミーさんに尋ねる。
「ありがとうございます。でもロザミーさん達はいつまでこちらに滞在するんですか?」
「私とジーノはこのあと皆さんと古城を観光したら、モーネサウラまで戻りますが、私達の事は気にせず、好きなだけ観光してください」
「えー! もう帰っちゃうの?」
「ごめんね。クウネちゃん。私もジーノも仕事があってね。だからこの後はラフィーネお嬢様達といっぱい楽しんでいってね」
私がロザミーさんとジーノさんに話す。
「二人ともお忙しいのに、ありがとうございました。また今度ゆっくり一緒に観光してくださいね」
「まあ! そう言っていただけると、お誘いした甲斐がありますわ。是非また一緒に来ましょう」
ジーノさんも笑顔で
「いえ、こちらこそ突然お誘いしたのに、あまりご一緒出来ず、申し訳ないです。この後、先ほどの古城は一緒に行かせていただきますので、他の場所をご一緒するのはまた次の機会にお願いします」
「そうですね。次の機会に是非お願いします」
私達はお店を出ると、馬車を停めてある所まで行き、古城に向かう為、馬車に乗り込んだ。
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