第50話 港町プルメイ
翌朝、私達は家でプルメイ観光に行く準備をしていた。
案の定、私は皆で観光に行けるのが楽しみ過ぎて、あまり眠れなかった…。
先に準備を終えたアイシャが話し掛けてきた。
「お嬢様。体調は大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫。転移ゲートで行くから、一瞬で着くし」
「楽しみ過ぎて、前の晩に眠れないって、ホントお子ちゃまですね」
「いいじゃん、別に。昔からそういう性格だし」
そんな事を言っていると、横からクウネが
「クウネもあんまり眠れなかったよー」
「わたくしもなかなか寝付けませんでしたの」
アイシャ以外の三人は今日が楽しみ過ぎて、あまり眠れなかったらしい…。
そんなお子ちゃま三人を見て、アイシャが軽くタメ息をついた。
準備を終えた私達はジーノさんのお店に出発した。
ー◇◇◇◇◇◇ー
お店に着くと、ジーノさんがお出迎えしてくれた。
「おはようございます。ジーノさん」
「おはようございます。ラフィーネ嬢。皆さんも」
皆、それぞれに挨拶した後、ジーノさんがお店の近くに停めてある馬車に案内してくれた。
「この馬車に乗って、転移ゲートのある場所まで行きますので、皆さん乗ってください」
私達が馬車に乗ると、中にはロザミーさんがいた。
「おはようございます。ラフィーネお嬢様」
「おはようございます。ロザミーさん。今日はよろしくお願いします」
「いいえ、こちらこそ。いい思い出が作れるといいですね」
「ありがとうございます」
そして皆乗り込んだ後、最後にジーノさんが馬車に乗って、馬車はゆっくりと走り出した。
ロザミーさんが私達に説明してくれる。
「このまま馬車に乗ったまま、転移ゲートに入りますので、あっという間に着きますよ」
「ホントに馬車が通れるぐらいのゲートなんですね」
するとジーノさんが少し自慢気に話す。
「ええ。この大きさの転移ゲートはこの大陸にはまだないですからね。道のりを楽しむという醍醐味はありませんが、その分疲れませんから、いっぱい見て回れますよ」
そんな話をしていると、馬車は街外れの少し広い柵で囲まれた牧場のような所に入って行った。
すると、更に奥に進んだ所に倉庫のような建物が見えてきて、その前にいる二人の男の人が建物の大きな扉を開けた。
馬車はその扉の前で停まった。
「ちょっとお待ちください」
そう言ってジーノさんが馬車から降りて、建物の中に入って行った。
私達が不思議そうに見ていると、ロザミーさんが説明をしてくれた。
「あの建物の中にゲートがあるんですが、厳重に警備していて、ゲートの鍵も私達の商会の中でも数人しか持ってないんですよ。今、ジーノがゲートの扉を開けてくれていますので、少しお待ちください」
そういえば前のクエストの時のゲートも商会の人じゃなくて、わざわざジーノさんが開けてたな。
それだけ転移ゲートっていうのは、しっかりと管理しなくちゃいけないんだな。
すると、馬車がゆっくりと前に進みだした。
馬車が建物に入って進むと馬車の前に、そのまま馬車がすっぽりと入れる大きさの転移ゲートの枠が見え、その横にジーノさんが立っていた。
馬車はその枠の前に停まり、ジーノさんが再び馬車に乗ってくる。
そして私達に声を掛けた。
「お待たせしました。さあ、あの扉の向こうはいよいよプルメイの町ですよ。行きましょうか」
馬車はゆっくりと進んで行く。
馬車の窓にへばりついたクウネとイスネリがキラキラした目で外を眺めていた。
クウネは尻尾を振りまくっていた。
馬車がゲートに入ると、何も見えない、聞こえない感覚になった。
次の瞬間、視界が開けて、入った時と同じような建物の中にいた。
「さあ、着きましたよ。もう一つ扉を出れば、そこはプルメイです」
ジーノさんがそう言っている間に馬車は建物の外に出る扉をくぐって行った。
建物を出るとモーネサウラにあった物と同じ牧場のような場所だったが、私達の目にまず飛び込んできた景色があった。
「わー! 海だぁー!」
クウネの声に釣られて外を見ると、その建物は小高い丘の上にあり、眼下にプルメイの大きな町並みとそれに面した港、そして海が広がっていた。
私も思わず、クウネとイスネリの横に移動して、窓からその大きな海を覗き込んだ。
そして、ロザミーさんが私達に話し掛ける。
「少し走ればプルメイの町に着きますよ。着いたら、まず皆で食事に行きましょう。新鮮な魚料理がいっぱいありますよ」
お子ちゃま三人がロザミーさんの方に振り返る。
「「「ありがとうございますっ!」」」
アイシャがそれを見て、軽くタメ息をついた。
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