第43話 魔界のモンスター
まだ朝靄のかかる中、私は一人裏庭で『万物念動』を使い、剣を振っていた。
グレイベアボスの討伐以来、私は剣を扱いたい思いが強くなり、この朝の鍛練を日課にしている。
ただ戦うだけなら、三日月や矢を使って、私は離れた位置でこれらを使う方が、有利だっていうのは分かってるけど…。
念動を使っている時は、体は動かさなくても、物を動かせるんだけど、朝の鍛練の時は剣を私の右手の少し前に浮かせて、手にその剣の柄を握っているイメージで体も動かして剣を振っている。
私が上手く剣を扱えなかったのは、体が非力すぎる事が原因だという事は分かっていた。
いくら体を鍛えてもダメだったんだよなー。
軽い木剣ですら、その重さに振り回されるぐらいだった。
そんな情けない姿を晒していたから、陰でポンコツって言われてたんだけどね。
それが今はこの念動のお陰で、自分がイメージしている形で剣が振れている。
アイシャには生き物に触れると、この念動が効かなくなるから、剣は向かないって言われたけど、こないだのグレイベアボスとの一戦で思ったんだよね。
一撃で決めればいい。
触れた瞬間に動かせなくなるんだったら、触れた瞬間に決めれば…。その一撃で終わらせればいいって事に。
そう私は頭で渾身の一撃をイメージしながら、剣を振っていた。
「おはようございます。お嬢様。今朝もしっかり鍛練されてますね」
「あ、おはよー。アイシャ。うん。一応、家にいた頃もしてたし、昔からの日課みたいな感じだからねー」
アイシャに声を掛けられて振り返ると、アイシャとまだ少し眠そうなクウネがいた。
「おはよー。ラフィーネ」
「おはよっ!クウネ。どうしたの?珍しいね。こんな朝早くから」
「なんかアイシャちゃんがラフィーネと訓練?するから付き合ってって」
「アイシャ、相手してくれるの?」
「ええ、久し振りに手合わせしませんか?お嬢様」
そう言ったアイシャの手には二本の木剣が握られていた。
「おおー。用意がいいねー。やろう、やろう!久し振りだね。アイシャが相手してくれるって」
「そうですね。グレリオンの屋敷にいた頃は私以外にもたくさん相手がいましたし、ハッキリ言ってお嬢様は私の相手にもなりませんでしたし」
「言うねー。知らないよ。後で後悔しても」
「大丈夫ですよ。お嬢様も相手がいない鍛練ばかりだとつまらないでしょ?思いっきり来て下さい」
こうして私達は三人で朝の鍛練を始めた。
ー◇◇◇◇◇◇ー
朝の鍛練の後、朝食を終えて私とアイシャは冒険者ギルドに来た。
最近は連日のように顔を出しているので、受付のお姉さんともすっかり顔馴染みのように挨拶して、クエストボードの方に向かった。
すると、そこにバスクさんがいるのが見えた。
「あ、バスクさん!おはよー!」
「おう!ラフィーネ!調子はどうよ?」
「うーん。まあまあかな?何かいいクエストある?」
「ああ、まあ、見てみろよ。珍しくフリークエストが出てるぜ」
「フリークエスト?」
フリークエストとは依頼主が特定の品物の収集を依頼するクエストの事だ。
通常はクエストを受注した冒険者だけが、その品物を採取して依頼完了となるのだが、フリークエストはその名の通り品物を持ち帰れば、誰でも報酬を出してくれるクエストの事だ。
冒険者同士の奪い合いとか起きる可能性があるから、あまりこういうフリークエストがギルドで承認される事はないらしい。
「どっかの金持ちがギルドに金を積んだか知らねえけど、こんな物を欲しがる奴は間違いなく変わり者だな」
バスクさんはそう言いながら、クエストボードに貼られた依頼書を顎で差した。
そこに書かれていたフリークエストの内容は
『ヘルバッファローの角の採取』
ヘルバッファロー?
聞いた事ないモンスターの名前だった。
「ねえ、バスクさん。ヘルバッファローって?」
「ヘルバッファローってのは、魔界の生き物らしいぜ。最近になって、今までこの大陸で生息してなかった魔界のモンスターが各地で目撃されているらしいからな。噂ではどこかで魔界と繋がっている道でも出来たんじゃねえかって話だ」
「魔界って、おとぎ話とか神話に出てくる悪魔とかが住む世界の事?」
「そうだ。おとぎ話じゃなくて、実際に魔界ってのは存在してるんだぜ。ラフィーネ」
え?そうなんだ。
知らなかった…。
バスクさんは真剣な顔をして私に話した。
「魔界のモンスターはヤバいぞ。マジで半端なく強いからな」
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