第32話 お休み中みたいです
「ワイバーンって、空飛ぶ飛竜の事だよね?」
「そう!そのワイバーン!ドラゴンには獣竜と神竜がいるの知ってるか?」
ドラゴン族には大きく分けると、2種類いる。
それが獣竜と神竜だ。
獣竜は黒い体をしていて、時々古城や迷宮なんかを住み処にして、人と遭遇して襲ってくることがある。
知能はそれほど高くなく、文字通り獣のようなドラゴン族の事を獣竜と人は呼んでいる。
神竜は人が立ち入れないような高地や極寒の地に住んでいて、一説によると知能が高く、人語も話せて、群れて生活をしているらしい。
何十年に一度か、人の生活圏に降りてくる事もあるらしいが、見た人はほとんどいないので、神話の中の存在のように語り継がれている。
ワイバーンもドラゴンの一種で、ドラゴンの中では小型の部類だが、ワイバーンの獣竜が人里に現れて、家畜や人を襲った、なんて言う話はたまに聞く事があった。
そんな記憶を思い出しながら、バスクさんに聞く。
「うん。知ってるけど、ワイバーンがどうしたの?」
「なんと、この何日か、モーネサウラの近くで目撃者が何人もいるんだよ!しかも体の色がグリーンだったらしいから、神竜のワイバーンじゃないかって話で持ちきりなんだよ」
「神竜?嘘でしょ?見間違いじゃないの?」
「一人、二人ならともかく、十人以上の人間が、しかも真っ昼間に見たって奴もいるんだよ!」
「へー。それはちょっと信用できるかも」
「だろ?もちろん討伐のクエストなんて出るわけないんだが、見つけて鱗の一枚でも持って帰りたいんだよ!」
「う、鱗なんてどうするの?」
「ラフィーネ。神竜の鱗はめちゃくちゃ高値で売れるんだぜ。そんな事も知らねえのか?」
「えっ?そうなの?アイシャ?」
私はアイシャに振り返り、聞くと、ふいに話を振られたが、アイシャは落ち着いて答えてくれた。
「そうですよ。装飾品として同じ重さのルビーなどの宝石よりも高値で取引される超貴重な品物です」
「ま、鱗一枚で俺だったら五年は仕事せずに暮らせるぐらいの金になるぜ」
そう言ってバスクさんは手に持ったグラスのお酒をぐいっと飲み干した。
お金はともかく、もし神竜だったら、一度見てみたいな。
本当に人語も話せるんだったら、一度お話もしてみたいな。
「ラフィーネ達も万全になったら、ワイバーン探し協力してみないか?ラフィーネのスキルはワイバーン捕まえるのに役立ちそうだし」
「結局、それが目当てなのー?」
「ははは、そうだな!でもラフィーネが捕まえたら取り分が減るから止めといた方が良さそうだな」
お酒も入ってご機嫌なバスクさんはそのまま席を立って、別のテーブルの方に歩いて行った。
すると、バスクさんと入れ替わりでジーノさんが私達の席にやって来た。
「皆さん、お食事の方はいかがですか?」
「あ、ジーノさん。とても美味しくいただいています。お招きいただき、ありがとうございます」
「いやいや、そんな堅苦しいのは無しですよ、ラフィーネ嬢」
「でも、本当に美味しくいただいてます。ね、クウネ!」
「うん、とっても美味しいです!」
「それは良かった。ところでお三方はまた、冒険者ギルドでクエストされるんですか?」
「はい。まだクウネの怪我が完治してないので、治ってからになりますが」
「あまり無理しないようにしてください。そうそう、近日中に姉がモーネサウラに来る予定になってますんで、来たら会ってくれますか?」
「え?ロザミーさんが来るんですか?」
「ええ、今回の転移ゲート建築の視察も兼ねて…というのは表向きで、ラフィーネ嬢に会いたいみたいなんで」
「もちろんです!是非!」
「ありがとうございます。姉も喜ぶと思いますんで、また連絡させてもらいますね」
トサレタ商会の打ち上げ会は、その後も楽しませてもらった。
他にも色んな人とお話できて、楽しかった。
中でもザージンさんが私達のテーブルにこっそり来て、これまたこっそりアイシャに何やらプレゼントらしき物を渡して、私とクウネがニヤニヤしていると、
「お嬢様、クウネ。その締まりの無い顔を止めてもらえますか?それと貴方も!もっと堂々とそういう物は渡してください!」
と、ザージンさんはアイシャに怒られていたが、ザージンさんは何故か、とても嬉しそうだった。
打ち上げ会はお開きになり、私達はジーノさんが用意してくれた馬車で帰路についた。
家の前に着いた私達は、馬車を降りて
「あー、楽しかったねー」
「クウネ、いっぱい食べてもうお腹いっぱいー」
「だねー。私もいっぱい食べちゃったよー。さあ、クウネ。一緒にお風呂の用意して、一緒に入ろっか?」
「うん!お風呂!」
そして家に入ろうとした時、アイシャが立ち止まった。
「んっ?アイシャ、どうしたの?」
「裏庭に何か気配を感じます」
「えっ?まさか泥棒?」
「分かりません。二人とも家に入る前に裏庭に付いてきてください」
私達は身を屈めて、家の裏庭に回り込んだ。
裏庭のすぐ後ろにはモーネサウラの外壁があり、その壁と庭の間に一本の大きな木が植えてあるのだが、木の根元の所に大きな影が見えた。
その大きな影からは、寝息のような音が聞こえてくる。
どうやら何か大きな生き物が寝ているようだ。
音を立てないように、私達は慎重にその影に近付いていく。
月明かりに照らされて、その影の全体が見てとれた。
「……あれって…、まさかワイバーン?」
鮮やかなグリーンの体のワイバーンが我が家の庭で、すやすやと寝息をたてて眠っているのが、見えた。
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