第28話 初討伐の帰り道
ザージンさんが先頭を歩き、バスクさんがクウネをおんぶして、その後ろに私とアイシャが歩いて、マクダさんの待つ転移ゲートに向かった。
「ねえ、アイシャ。肩は大丈夫なの?」
「ええ、まだちょっと痛みはありますが、もう大丈夫ですよ」
するとクウネがバスクさんの背中で意識を取り戻したようだ。
「あれっ?もう終わったの?」
「おう、もう終わって、今帰ってる途中だ」
「群れのボスは倒せたの?」
「ああ、バッチリ倒せたぜ。前、見てみ」
ザージンさんが振り向いて、グレイベアボスの首をクウネに見せた。
後ろから見てる私達は、クウネがグレイベアボスの首を見た瞬間に、ひゃあっと驚いて尻尾がびーんって伸びたのを見て、思わず笑った。
「ビックリしたー。く、首を持って帰るのー?」
「ああ、でないと倒したって証明できないだろ?」
私はクウネを背負うバスクさんの横に移動して
「クウネ。お疲れ様。腕は大丈夫?」
「あ、ラフィーネ。腕?わっ!」
クウネは手甲を外して、肘から手首が真っ青になっている自分の腕を見て驚いた。
「また手甲が壊れちゃったから、外してアイシャが持ってるからね。腕は痛くない?」
「うーん、ちょっと痛い…」
クウネは手を握ったり、開いたりして確かめた後、しょんぼりしながら言った。
するとバスクさんが
「あのボスの一撃を受けて、それだけで済んだんだから、大したもんだよ。アイシャちゃんもしっかり受け止めたしな」
するとクウネは、みるみる涙目になって後ろを振り返り、アイシャの方を見て
「ごめん…。アイシャ。クウネ、迷惑かけたね…」
「な、何を言ってるんですか。クウネ。迷惑なんかじゃないですよ。ほら、私もお嬢様もあなたがいたから、こうやって元気に歩けてますから」
「そうだよ。クウネ。ありがとうね。大丈夫だよ」
そう言って私はクウネの頭を撫でてあげた。
するとクウネはバスクさんの背中を飛び下りて、私に抱きついて、わんわん泣き出した。
私とアイシャはクウネの頭を撫でながら、大丈夫大丈夫となだめた。
そしてクウネは顔を上げて
「クウネ、役に立てた?追い出したりしない?」
「そんな事する訳ないよ!クウネは強いし、可愛いもん!もっといっぱい私達と一緒にいてくれなきゃ、私困るよ」
「ホント?」
「ホントだよ!ほら、今日は皆で頑張ったから、家に帰ったら、皆でお風呂入ってゆっくりしよっ!」
「うん。クウネ、ラフィーネとアイシャとお風呂入る!」
なんて!なんて可愛いんだ!この娘は!
そして私はクウネを抱き締めた。
バスクさんがほっとした顔をして、
「よし。クウネちゃんはもう一人で歩けるか?」
「うん。もう大丈夫」
「転移ゲートまではあとちょっとだ。さっさと帰って風呂でも酒でもいいから、のんびりしようぜ」
「うん!…あ、おじさんもクウネ達と一緒にお風呂入る?」
「ば、ば、な、何を言ってるの?クウネ!ば、バスクさんは一緒に入らないよっ!」
バスクさんは思いっきり取り乱した私を笑った後、転移ゲートの方へ歩き出した。
ザージンさんはそのやり取りを顔を赤くしながら、聞いていて、ちょっと居心地が悪そうだった。
間もなく森を抜けた私達はマクダさんが待機している転移ゲートの所までやって来た。
マクダさんもグレイベアボスの首を見て、すごく驚いていた。
そして私達は転移ゲートをくぐり、ジーノさんの商店に戻って来た。
転移ゲートのある部屋に男性の従業員さんがいて、私達が戻って来た事をジーノさんに知らせに行くので、ここで待っているように言われた。
しばらくすると、ジーノさんが息を切らしながら部屋に入ってきた。
そしてグレイベアボスの首を確認すると
「ありがとうございます!まさか半日で仕留めてくれるなんて思ってもいませんでしたよ!」
バスクさんはソファに腰掛けながら、私の方を目をやって
「仕留めたのはラフィーネですよ。ジーノさん。彼女らは強いよ、ホント」
「な、ラフィーネ嬢が!」
驚いたジーノさんが私の方に振り返る。
「ラフィーネ嬢。お怪我などはありませんか?」
「はい。私は大丈夫ですけど、アイシャとクウネがちょっと怪我しました」
「私は怪我などしてませんよ。お嬢様」
「クウネも、もう大丈夫だよ」
何で二人とも否定する…。
「とにかく、無事で良かったです。後の事後調査は私達の方でいたしますから、皆さん今日はもうゆっくり休んでください」
バスクさんは立ち上がり、
「じゃあ、討伐完了と言うことでいいっすかね?」
「もちろんです!報酬は明日、ギルドで受け取れるように手配しておきますので」
バスクさんとザージンさんは部屋を出ようと扉まで来ると、
「それじゃ、ラフィーネ、アイシャちゃん、クウネ。今日はお疲れさん!先に失礼するわ」
「うん。ありがとう。バスクさん。ザージンさん」
するとザージンさんがすっとアイシャの前まで来て、
「あの、これ、打撲とかに効く塗り薬っす。ア、アイシャさんとクウネちゃんにも…」
腰に下げた革袋から小瓶を出して、アイシャに差し出した。
アイシャはそれを受け取ると
「ありがとうございます。使わせていただきますね」
ザージンさんは満面の笑みを浮かべて、バスクさんの方へ走って行った。
二人が部屋から出た後、私達も部屋から出る為に立ち上がった。
するとジーノさんが私達に声を掛けた。
「皆さん、良かったらこのあと私と一緒に昼食などどうですか?」
「ええ?いいんですか?」
「皆さんが良ければなのですが、いかがですか?」
「クウネ、お腹空いてる…」
「こらっ!クウネ!はしたないですよ!」
「はははっ、そうだね。僕もお腹が空いてるんだ。一緒に行こうか?」
「すいません。ジーノさん」
「全然構いませんよ。前とは違うお店で、美味しい店が近くにあるんですよ。案内しますから、皆で行きましょう」
私達はジーノさんと一緒に昼食を食べに行った。
案内してくれたお店はこれまた美味しかった。
両手を痛めているクウネは終始食べにくそうだったが、必死に食べている姿は最高に可愛かった。
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