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ポンコツ貴族令嬢が最強スキルをゲットしたので、自由を求めて家出する。~家出令嬢の冒険譚?~  作者: 十目 イチ
大都市で新生活編

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第22話 襲撃からの初戦闘

 洞窟の入口辺りで作業員の採掘作業を監督していた商会従業員のマクダさんが洞窟の中に向かって叫んだ。



「グレイベアが出ました!作業員の方はすぐに作業を中断して入口まで来て下さい!」



 私は冒険者の声のした方へ走りだした。

 森の手前の所にはすでにアイシャとクウネも来ていた。


 すると、また森の中から、さっきの冒険者の叫ぶ声が聞こえた。



「二匹いる!俺一人じゃ対処できないから、そっちに誘導する!」



 森の中に配置されていた他の冒険者が森から出て来て、こちらの方にやって来た。



「どうなってる?」

「どうやら、この先に二匹現れたみたいだ」



 冒険者たちと私達は、今の状況を確認していると、後ろからマクダさんの叫ぶ声が聞こえた。


「今、作業員を転移ゲートから避難させています!冒険者の皆さん!グレイベアの足止めをお願いします!」



 私とアイシャ、クウネはお互いを見合って


「どうする?アイシャ」


「森の中で迎え撃つのはあまり良くないでしょう。このままヤツらが森からこちらに出てきた所を討ちましょう」



 私とクウネは頷いて、森の方に目をやる。

 すると木を掻き分けて、こちらに向かって全力で走る冒険者が見えた。


 私達の背後から来た数人の冒険者が私達に


「嬢ちゃん達はここで待機しててくれ。俺達が森の中に入ってあいつを助けてながら、ベアの足止めをする」


「分かりました。気をつけて」



 そう言って、冒険者達は森の中に入って行った。


 私は袋から矢とバックラー、そしてアイシャが用意してくれた三日月型のナイフ(私はそれを三日月と名付けた)を出して、念動で周りに浮かせ、備えた。


 アイシャは剣を構え、クウネもしっかりと手甲を手にはめて身構えている。


 森の中から激しい戦闘の音が聞こえてきた。


 グレイベアの咆哮、冒険者の叫ぶ声、悲鳴。


 その音を聞いているだけで、冒険者側が押されているのがわかった。



 森の中から数人の冒険者が飛び出して私達の所まで来た。


 皆、軽傷だが手傷を負っていた。

 その内の一人が私達に話す。


「全部で三匹いやがった。すまねえ、大して足止めできなかった」



 洞窟の方からマクダさんの叫び声がする。


「作業員の避難は終わりました!冒険者の皆さんも転移ゲートに来て下さい!」



 それを聞いたその冒険者は


「来て下さいっつっても、ベアがそこまで来てるのにどうすりいいんだよ?」



 私とアイシャは目を合わせ、私はその冒険者に言った。


「私達が殿を務め、ベアを食い止めます。その間に怪我をした冒険者と転移ゲートから避難してください」


「嬢ちゃん達が?」


「はい。早くしないとグレイベアが森からこっちに来てしまいます。急いでください!」



 冒険者達は顔を見合せ、戸惑っているとアイシャが


「聞こえないのですか?ここは私達が引き受けると言ってるんです!怪我人はとっとと避難してくださいっ!」



 アイシャに一喝された冒険者達は、びくっとして転移ゲートに向かって走って行った。



 ただ一人、おじさんの冒険者は私達の横で剣を身構えていた。


「俺は怪我してねえから、嬢ちゃん達とヤツらを食い止めるぜ。構わんだろ?」


「ええ、よろしくお願いします」




 森の中からグレイベアはなかなか出て来なかった。

 だが、ここにいる私達には分かる。

 すぐそこにいて、向こうも木の間からこちらの様子を伺っているという事を。



 そして私はアイシャに言う。


「一匹でも出てきたら、すぐ射撃するよ」

「分かりました」


 すると一匹のグレイベアが森から出てきた。


 私達を見回しながら警戒はしているようだが、その動きには余裕が感じられ、思ったよりもゆっくりと現れた。


「いくよ!アイシャ!クウネ!おじさん!」



 私は浮かせている矢のすべてを全速力でベアに向けて放った。


 狙いはそのグレイベアの顔。


 十数本の矢のすべてがその一匹に命中する。


 宙に浮いている矢が急に飛んでくるとは思っていなかったグレイベアは反応が遅れ、前足で止められたのは数本。


「グボァァァー!」


 その顔面には数本の矢が刺さり、ベアは苦痛で咆哮を上げながら、その場でのたうちまわる。



 その声を聞いて森の中から、更に二匹のグレイベアが姿を現した。

 その二匹は私達を威嚇して、体を大きく見せるように立ち上がり、吠えた。


「ゴァァァーッ!!」



 それを見たアイシャが


「愚鈍でマヌケな獣ですね。お嬢様!ヤツらの足を狙ってください」


「了解!」



 私は三日月とバックラー、更に短剣を高速回転させながら、立ち上がっている二匹のグレイベアの後ろ足を狙った。


 ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!…バキィッ!


 両足に三日月とバックラーが風切り音と鈍い音を立て、何度も命中し、一匹のベアが身を屈める。


「クウネ!上からです!」


「分かったっ!」


 アイシャが叫ぶと、クウネは飛び上がり、足元に気をとられたベアの頭上から全体重を乗せて、脳天から殴り落とした。


 ドゴォン!!!


 ガッッ!ブシューー!


 そのクウネの動きに気を取られたもう一匹は、一瞬で距離を詰めたアイシャに片腕を切り落とされた。


 そして私はバックラーを宙に固定すると、それに向かってクウネが跳び、バックラーを蹴って反動をつけて、その片腕になったベアの顔面を殴る。


 ゴォツンッ!


 クウネに殴られて、ふらついている二匹のベアにアイシャが続けざまに首元に剣を刺して、二匹の巨体はその場で崩れ落ちた。



 残り一匹は最初に顔に矢を刺したヤツだけど、そいつはおじさんがとどめを刺していてくれた。


「ベアの両目が潰れてたからな、楽勝だったわ」


 おじさんはそう言って私達にお礼を言ってきた。

 更におじさんは続けて


「これでとりあえずは片付いたか?」


「ええ、おそらく。大丈夫でしたか?お嬢様、クウネ」


「うん、大丈夫だよ」


「クウネも大丈夫だけど、この武器、へこんじゃった」



 見ると、手甲の拳部分がべっこりとへこんでいた。


「あらら、これは修理しなきゃだねー」


「いえ、修理してもクウネが殴ったら、またすぐにへこむでしょう。新しくもっと丈夫な物に買い換えましょう」


「ホント?次はもっとかわいいヤツがいいな」



 かわいい手甲なんて売ってるの?




 そんな事を話していると、安全を確認したのか、マクダさんが駆け寄ってきた。


「皆さんで撃退されたのですか?」


「いや、俺は一匹おいしいとこを貰っただけで、ほとんどこの娘たちだけで倒しちまった」


「ええ?グレイベアを三匹とも?」


「ああ、とんでもねえよ。この嬢ちゃん達。皆、可愛い顔してウソみてえに刺すわ、跳ぶわ、殴るわ、斬るわ」


「おじさん。可愛い顔以外、誉め言葉になってないよ」


「お、すまねえな。だったら俺もおじさんじゃなくて、バスクだ」


「私はラフィーネ。こっちがアイシャでこの娘はクウネ。よろしくね。バスクさん」


「ああ、よろしくな。それにしてもあの矢とかバックラーを飛ばしたのはラフィーネか?」


「そうだよ。『万物念動』っていうスキルで動かしてるの」


「そいつはまた、凄いスキルを授かったな」




 マクダさんが三匹のグレイベアが絶命しているのを確認して戻ってくると、


「皆さん、採掘作業も中断していますので、一度転移ゲートでお店に戻りましょう」




 私達は一度、店に戻る事になった。



 こうして私達の初クエストでの初戦闘は、全員無事に無傷で終える事が出来た。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


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よろしくお願いします!(。-人-。)

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