第18話 初クエストに向けて
私が勢いよく宣言したので、ジーノさんはキョトンとした後、ハッと我に返ると
「いやいや、ダメですよ。ラフィーネ嬢!これは本当に危険かもしれないですから!」
「冒険者がクエストを受注した後で、依頼主はその冒険者の受注を拒否する事は出来るんですか?」
「うーん、一応適さないと判断した時は、拒否が出来るんですけどね…」
「でも、お願いします。ジーノさん!私、是非このクエストをやってみたいんです!」
「いや、ラフィーネ嬢。せめてアイシャさんと相談してから決めてください。ラフィーネ嬢にとっては初めてのクエストになるわけですから」
確かに勝手に決めたら、アイシャに怒られそう…。
しかもまだ冒険者登録もしてないし…。
「とにかく、この依頼がギルドに貼り出されるのは夕方になると思うので、それまでにアイシャさんとよく相談して、登録を済ませてから、決めてくださいね」
「うーん、分かりました。そうします」
「心臓止まるかと思いましたよ」
その後もジーノさんは私に話すんじゃなかったと後悔してたみたいだけど、私達はジーノさんの店を出て、新しい我が家となる、あの家に向かった。
家に着いて、クウネと片付けなどをしていると間もなく、アイシャがネーシャと共に帰って来た。
アイシャが買ってきた食器や食材などを家に入れて、アイシャが簡単な昼食を作ってくれた。
さすが優秀なメイドだ。
テキパキと動いてくれて本当に助かる。
食事も終えて、一息ついた所でアイシャが聞いてきた。
「それでジーノさんの所でのお仕事の方はどうなりましたか?」
「うん、その事なんだけど…」
私はさっきジーノさんのお店で聞いたクエストの話をして、それを受けようと思うという事をアイシャに言った。
すると、アイシャはふか~いタメ息をついて私に言った。
「なるほど、分かりました。それではお嬢様はそのグレイベアとどのように戦うか、考えていますか?」
「えっ?えっと、スキルで剣を使って…とか、そういう事?」
「お嬢様のスキルは、実戦での剣の扱いに不向きです」
「そうなの?何で?」
アイシャが言うには、私のスキルで動かした物は生き物に触れると動かせなくなる。
だから剣で切りつけても、当たった瞬間に動かせなくなるので、相手を両断する事が出来ないからという事らしい。
「でも、お父様と戦った時は大丈夫だったよね?」
「あれは木剣だからです。当たった瞬間に弾かれて体から離れるので、触れているのは一瞬です。もしモンスターが硬い皮膚や外皮を持っていれば、刃が食い込んでしまって、そこからお嬢様のスキルでは動かせなくなります」
「そうか。そういうことか」
私も気付いてなかったこの『万物念動』の欠点を見抜いていたなんて…。
このメイド恐るべし…。
「じゃあ、私はこのスキルでどうやって戦うのがいいかな?」
「やはり打撃、もしくは刺突が良いと思います」
「刺突っていうのは矢とか槍って事だよね」
「そうですね。それが一番効率的にお嬢様のスキルを生かせると思います」
なるほど、と私は納得した。
そうなると使う武器は剣ではなくて、矢とかの方が向いているって事か。
何とか剣でも戦えるようにしたいなー。
そのままアイシャが私に話し続ける。
「戦い方も良いですが、お嬢様はそのクエストを受けるんですよね?」
「うん、そうするつもり。アイシャも来てくれるよね?」
「もちろん、ラフィーネお嬢様を一人で行かせるわけにはいきませんから、私も行きます」
私とアイシャの会話を聞いていたクウネが身を乗り出して、割り込んで来る。
「クウネ!クウネも行くよ!」
「えっ?クウネは止めときな。危ないよ」
「大丈夫!クウネは弱くないし、グレイベアも見た事あるもん」
「そうなの?どんなモンスターだった?」
「大っきかった。その時は荷物持ってたから、クウネは逃げたけど、グレイベアは遅かった」
「でも、クウネは危ないしな~」
「えー、クウネは大丈夫だよ~。ラフィーネ、ダメ?」
クウネはだんだん涙目になり、耳が力なく垂れて、私に詰めよってきた。
だ、ダメだ!可愛いすぎる!
私にこれを断る事など不可能だっ!
「よし!クウネも行こう!みんなで初クエストだ!」
アイシャは完全に諦めた顔をしていたが、立ち上がって私達に言った。
「ではお二人とも。まだ夕方まで時間がありますので、クエストを受けるのであれば、今から装備品を買い揃えに行きましょう」
「そうだね。みんなの武器とか買いに行こう」
「買い物を済ませたら、そのままギルドに行って登録とそのクエストの受注をしましょうか」
私達は街の武器屋にそれぞれの武器を買いに行った。
そんなに予算もないので、高級な物は買えないけど私は短剣を数本と矢が数本ほど束になっている物を選んだ。
スキルで短剣を操って、矢で刺していく戦い方をする為だ。
今回は時間がないから、とりあえずこの戦法でいくことにした。
アイシャは今持っている物よりも少し大きめの剣を買って、武器屋のおじさんに何事かお願いをしているようだった。
問題はクウネだ。
剣はおろか、刃物もほとんど使った事がないので、何を買ったらいいのか分からない。
だけど、アイシャが選んだ武器がクウネも気に入ったようだ。
「これは手甲といって、こうやって手に装着する武器です。使い方はとりあえず殴る、です」
私は私よりも背の低いクウネを見て、ちょっと不思議に思い、アイシャに聞く。
「おおー、クウネは相手を殴り付けるのが合ってるの?アイシャ?」
「ええ、私はそう思います。身体能力はかなり高いですが、まだ体、特に骨が未熟なので、その力で逆に痛める危険性があります。なので保護する意味でもこれが今は一番合っていると思います」
クウネはその肘から拳にかけてすっぽりと覆った、鉄製の手甲を着けて、ぶんぶんと腕を振り回した。
「これでいっぱい殴ったらいいんだね!」
うーん、可愛いのにすごい怖い事言ってるなー。
それを見て、アイシャがクウネに言う。
「クウネはまだ戦闘経験がありません。だから、無理せずに何かあったら、必ず私か、ラフィーネお嬢様に任せてくださいね」
「うん、分かった!」
そうして買い物を終えた私達は冒険者ギルドに行った。
ギルドの中は人だかりができていて、何か騒然としていた。
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