リウィアが良い!
「いや~良かったよ、本当に。リウィアが無事に聖女を続けられる事になって」
夕食を食べながらタルキウスはリウィアの続投を喜んだ。
今夜はリウィアの勝利を祝って祝宴を開いていた。
と言っても、リウィアが料理を用意してそれを一緒に食べるといういつもの流れだが。
「ふふふ。私が聖女でなくなったら、今のようにお食事を作る者がいなくなるからですか?」
自分の続投を素直に喜んでくれるタルキウスの言葉を嬉しく思う一方で、少し冗談を言ってからかってみたいと思う。
リウィアの悪い癖だ。
「ムッ! 違うよ! リウィアが傍にいてくれないとって話だよ」
「それは、私がいないと朝、御一人で起きられないからですか?」
「もー! そうじゃないって!」
怒ったタルキウスは手ぶり身振りでそれを表現する。
その様は何とも愛らしく、リウィアには何よりも愛おしく思えてならなかった。
タルキウスは突如、席から立ち上がるとリウィアの下まで駆け寄って彼女に抱き付いた。
「た、タルキウス様!?」
「元老院も神殿も皆、俺を悪者だと思ってる」
リウィアの大きな胸に顔を埋めたタルキウスは、今にも泣きそうな震えた声で呟く。
その声を聞いたリウィアは優しい手付きでタルキウスの頭を撫でた。
「お辛いのですか?」
リウィアは知っている。
傍若無人な王様を振る舞うのは、私利私欲を満たす事に躍起になる貴族達を抑え付けてエルトリアという国を建て直すための荒療治である事を。
「……好かれようと思ってやってるわけじゃない。それは分かってる。分かってるけど……」
タルキウスは言葉を詰まられる代わりに、リウィアの胸に顔を埋める。
そんなタルキウスをリウィアは、ギュッと力強く抱き締めた。
「リウィアは、ずっと俺の味方でいてくれる?」
タルキウスは、ゆっくりと顔を上げて涙をうっすらと浮かべた目で問う。
「はい! 勿論です!」
今更問われるまでもない。そうリウィアは思った。
「ありがとう、リウィア」
「ですからタルキウス様、泣きたい時は泣いて良いんですからね」
「うん! リウィアの胸は温かくて気持ち良いからね!」
「も、もう、止めてくださいよ!」
「えへへ。さっきのお返しだよ~」




