プロローグ
自分の好きなように書きました。
「疲れた……」
俺はいつも通り仕事から帰宅すると、紺色のビジネスバッグから自宅の鍵を取り出した。
疲れと空腹の中、一軒家のシリンダー錠を開けると、ガチャっと手応えを感じる。
俺は欠伸をしながら玄関に上がると、リビングから「おかえりなさい」と若い女性の声が聞こえた。
「え……?」
思わず声が漏れる。一人暮らしの生活を送っていた男の家に聞こえないはずの返事が耳に入り、恐怖を感じ、思わずドアノブに手を差し述べた。
俺はあまりの出来事に先程までの眠気や疲れに空腹をもぶっ飛び、一旦整理する為、一度家を出る。
(俺は……独身だよな。知り合いを呼んだつもりも無いし、かと言ってネットサービスを頼んだ覚えが無い)
ドアの前に佇みながら、思考回路をフル稼働する。
いくら考えても結論が浮かばない。やはり深夜テンションである為、謎の考察まで浮かんだ。
(もしかして、ペット……?いや、飼ってないぞ、あれは明らかに人の声だったよな……)
考えても終わりにそうに無かったため、手っ取り早い話、家の表札を見れば良い。
そう考えた俺は、インターホン上の表札に目をやる。
『 』
何も書いてなかった。男はかなりのめんどくさがりのものだから、表札などの手間隙がかかる物は絶対にやらない主義だった。
だが、表札を覗いた事で、ある一つの答えが男を導く。
男は、ポンと手のひらを叩くと、一つ一つ確証のある物が脳内によぎる。
『一人暮らしだと思い込んでいた家に女性の声』『何も書かれていない表札』『昨日までアパート暮らし』
(これだけの確証があれば!!以上です、裁判長!!)と、誰も居ない入り口で妄想する二十四歳会社員。
一人で茶番劇をやっていると、玄関の奥から人影が見えた。
ガチャっと静かにドアが開くと、美しい顔立ちの女性がヒョコっと顔見せ、
「何をしてらっしゃるんですか、川口さん?」
心配しているのか不審に思ったのか、一応身を案じにきてくれた。
「あー、少し考えごとを……….あはは」
俺は、ある事情があり今日から一軒家に同居する事を完全に忘れていた。
ある事情とは、先日まで住んでいたアパートに火事が起きた。原因は放火らしい、未だ身元は判明してないが、一時的に住まいが無くなった俺たちに大家が家を貸してくれた、なぜかアパートでは無いが。
そのため、一つ屋根の下で次の住まいが見つかるまで同居する形となった、俺と彼女たち。
今後の展開が気になるやら。