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装甲お嬢様

ヒナコ、誕生日プレゼントありがとう。男性型半思考同期型装甲巨兵(ジャケット)、”水無月”、出陣。

 トールは、ワイバーンの巣が沢山ある渓谷に、ワイバーンを狩りに来ている。

 最近、妹に誕生日のプレゼントとして贈られた、装甲巨兵用の頭部の試験も兼ねていた。


 男性型半思考同期型装甲巨兵ジャケット、”水無月ミナヅキ


 トールの愛機である。

 特徴的なのは、色んな機体のパーツを寄せ集めて作られている所だ。

 例えば、最近、野良、完全思考同期型装甲巨兵スーツから奪った。三日月の前立てつきの頭部とか。

 完全思考同期型では真似のできない代物である。


 全高7メートルくらいの機体。

 ”水無月”の胸部装甲が上に開いている。

 スイッチやレバー、機械式のメーターに囲まれたコックピットに座った。


「ヒナコ。 適当な所で下ろしてくれ」

 無線で話しかける。

 コックピットのハッチを手動で閉じた。

 パチパチとスイッチを押していく。

 モニターに、妹の女性型完全思考同期型装甲巨兵ドレスが横座りの形で置かれているのが映った。

 下に開かれた胸部装甲の中のコックピットはシンプルな椅子一つである。


 ヒナコは、イナバ製、装甲移動格納庫ガレージを適当な所に移動させる。

 イナバ製、装甲移動格納庫ガレージは、格納庫を装備した小型の輸送機だ。


「ここでよろしくって。 お兄様」

 重力制御装置で、ホバリングさせる。


「行ってくる」

 ガラガラと音を立て、ガレージのシャッターを開けた。


「お兄様。 私の”百目鬼(トドメキ)”の射線を意識して、動いてくださいましね」

 対移動装甲建築物用のスナイパーライフル”ピラルクー”で火力支援するのだ。


「分かった、分かった」

 フットペダルを軽く踏み込む。

 ”水無月”が数歩前進した後、ガレージから飛び出していった。


 トールは高度計の針がクルクルと回るのを見る。


「そろそろだ」


 右手でスロットルを調節しながら、機体各所に装備されたバーニアを、フットペダルで吹かした。


 バシュウウウウ、ズン


 地面に着地する。


 もうすでに上空には、縄張りを荒らされた、ワイバーンが一匹近づいてきていた。

 大きさは”水無月”より少し小さいくらいか。


 ギャアアアアア


 ワイバーンは急降下して、尻尾を叩きつけてくる。

 ”水無月”は、左手に装備した方形の盾で攻撃を防ぐ。

 レバーやペダルをせわしなく操作した。


 ガッ、ガッ


 二度、防いだ。


 バガアアアアン


 オレンジ色の弾丸がワイバーンの片翼に穴を空けた。


「ヒットですわっ」

 無線からヒナコの声がした。

 ”ピラルクー”の一撃だ。


「今だっ」

 片翼に穴を開けられ、体勢を大きく崩されたワイバーンに、盾の裏に装備されたワイヤーアンカーを射出する。

 ワイヤーに絡まれ、地上に引きずり落とされたワイバーンに、右手に持った片手斧で攻撃した。


「くっ」

 

 ワイバーンが一瞬の隙をついて、右肩の”袖”を噛みちぎる。


「ワイヤーカットッ」

 ワイヤーを、思考同期操作でカット。


「ここっ」

 ワイバーンの腹に盾の先を向け、裏に装備された、”パイルバンカー”を射出。

 

 ドンッ、ドンッ、ドンッ


 操作レバーを三度動かした。


 ギャアア


 パイルバンカーを三度腹に受け、身動きの取れ無くなったワイバーンに片手斧で、とどめを刺した。


 バガアアアアン


 バガアアアアン


 上空で”ピラルクー”の射撃音がする。


「お兄様、他のワイバーンが集まり始めましたわっ」


「わかった。 回収して帰ろう」


 ワイバーンを、ガレージの下部にワイヤーで括り付け、自宅に帰った。


 ワイバーンの肉は、高級食材である。

 ご近所におすそ分けして喜ばれることだろう。


「誕生日プレゼントはとても調子がいいよ。 ありがとう」

 トールが笑いながら言う。


「……どういたしまして……」

 ヒナコは顔を赤く染めた。



装甲お嬢様シリーズ第五弾。

男主人公登場。

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