この『世界』での帰宅
とりあえず、人里で亜科と充と別れた後、俺はこの『世界』にある自宅へ足を運んでいた
実にこの家帰るのは久方ぶりである、多分、三年ぶりぐらいだろうか
三年間放置していたが、俺が帰ってくるまでこの家の権利を譲渡したやつが住んでいるので綺麗であろう
..............多分
そんな不安を抱えながら村はずれにある家にたどり着く
見た目は俺がここをで行った時と何も変わらない
家のドアをノックする
コンコン
弾みのある響く音がしたと思えば、ドタドタと音が聞こえてくる
ガチャリ、とドアが開けば
「.........どちらさ............ま?」
ーー俺は生涯、こいつのこの顔を忘れないだろう
いつもは感情どころか表情すらあまり顔に出さないのに、いかにも『私今驚いています』という典型的な表情をしながら口を半開きにさせながらフリーズしているのだ
俺はいつもどうりに
「ただいま」
と元同居人であり現家主である秦こころに挨拶したのだった
〜※〜※〜※〜※〜※〜※〜※〜
「結構掃除は行き届いてるんだな」
こころは最初、全然掃除とかしなかったから部屋が散らばりまくっていた
流石に、この家に一人で住むことになったら掃除せざるを得なくなったのだろう
「別に、ここには私一人で住んでいるわけではない」
「え、そうなの?」
「基本的に妖精たちや妖怪がここによく遊びに来たり、ご飯食べに来たりする」
「あいつらかよ...............」
妖精たち、とは大体チルノや大妖精、サニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイアのことだろう
ていうか、それ以上いたら困る
妖怪たちというと心当たりがあるのは、リグルとミスティアぐらいだが
「今は誰かいるのか?」
「今はいない、でも、そろそろ誰か来てもいい時間のはず」
こころがそういった瞬間、ガチャリとドアが開く音がした
ノックもせずに人様の家に上がり込んでくるやつといえばあいつらしかいない
ドタドタと騒がしい足音を立てながらリビングに来る
ガチャッと勢いよくドアが開いたと思えば、予想どうりのやつがきた
「こころー!あたいたちが遊びに来てや...............」
自称最強の妖精ことチルノがドアを開け、元気よく来たと思えば、俺を見て固まった
「いつもすみません........チルノちゃん!!人の家に上がったらお邪魔しますって言わなきゃ..........」
チルノがいるならだいたいセットでついてくる妖精たちの良心、大妖精もチルノを注意してる最中に俺を見てチルノ同様に固まった
とりあえず、こいつらに俺が言えることは
「久しぶり、チルノ、大妖精」
挨拶をするぐらいだ
〜※〜※〜※〜※〜※〜※〜※〜
「おーい、チルノー?」
「何?かずき」
「..................離れてくれない?ずっとくっついてるところがちょっと凍傷になりそうだから」
「............もうちょっとだけ」
さっきからずっと右腕にくっついてくるチルノをなんとかどかそうとするが、涙目で抱きついてくるため、あまり強く出ることができない
「大丈夫ですか?風月さん」
俺を心配してくれている大妖精もさっき泣いた後だからか少し目が赤い
俺が挨拶したあと、2人が同時に泣き出すもんだから大変だった
チルノのなんか大声で泣きながら俺に思いっきり抱きついてきた
2人を宥めた後、ゆっくり夕食でもしようとこころがいったためこころの夕食を待っているところだ
「風月さんはどうやって再びここへ来れたのですか?」
「紫の野郎に呼ばれた.........ツーか友達が呼ばれたのに巻き込まれた感じだ」
「風月さんは、また、元の世界に戻るんですか?」
「............まあな、俺の居場所はここじゃない」
俺は大妖精の頭を撫でながら
「でも、元の世界に戻ったところで、どうせまた呼ばれる気がするんだけどな。ーー紫はなぜか俺に、ずっと執着しているからな」