マヨヒガ
「お、おい、本当にこっちであってるんだろうな?」
充が心配そうに聞いてくる
亜科もかなり不気味そうにキョロキョロしている
まあ、無理もない
俺が進んでいる道はかなり薄暗い森の道なき道を進んでいるのだから
「平気だよ、俺はただあいつに早く文句を言いたくて最短ルートで行っているだけだ」
充を呼ぶならまだしも、なんで俺や亜科を巻き込む必要があったんだ?
そんなこと考えてもあいつのむかつく微笑が頭の中に再生されるだけだった
「な、なあ、風月。お前が言うアイツって八雲紫のことか?」
やっぱ充の知っている紫と俺の知っている紫は同一人物のようだ
「幻想万華鏡だっけか?それでも紫はこっちの世界に人をさらっているのか?」
充はコクンとうなずき
「めちゃくちゃ攫っているわけではないけど、それでも『スキマ』を使って気まぐれに人をこっちにさらってきてたりしたらしいよ」
やっぱり
あいつもなんでこんなことをしているのか
俺にはさっぱり見当もつかない
俺はそんな事を考えながら道無き道を進んでいくと見えてきた
ーー八雲紫が住む『マヨヒガ』が
〜※〜※〜※〜※〜※〜※〜
「おーい!!!出てきやがれ紫!!!!お前が犯人ってことぐらいわかってんだよ!!!!!!!」
俺はマヨヒガーー八雲邸について早々大声で紫を呼んだ
しばらく待つと九つの尻尾を持つ九尾であり、紫の式神、八雲藍が出てきた
「どちら様ですか?今紫様は不在で.......す........?」
どうやら俺のことに気づいたようだ
しばらく目をパチクリさせた後、ズカズカと俺に詰め寄ってきた
「なんで、なんで風月がいるんだ?!お前は3年前にここを去ったはずじゃ........」
「去ったよ。でもな、紫に呼び出されたんだよ、しかも俺の友達を巻き込んで」
「そ、そうだったのか...............そちらにいるのが風月のご友人か?」
俺の背後に立っている二人に目を向ける
亜科と充はポカーンとしている
亜科はいきなり九尾が現れたことに驚いているのだろうか
充に至っては何か言いたいのか必死に口をパクパクしているが声が出ていない
「ああ、紹介するよ、斎藤亜科と木頭充だ」
俺の名前を出すとふと、我に帰ったのか亜科がぎこちなく
「さ、斎藤亜科と言います............よ、よろしくお願いします..........?」
充に至ってはまだ口をパクパクしている
俺が充の足を踏んづけてやると我に帰って喋り出した
「痛って!.........!お、お、俺の名前は木頭みちゅると言いましゅ!よ、よろちくお願いしまちゅ!!」
見事なまでに舌を噛みまくっていた
かなり緊張しているのか軽く震えている
充の緊張を悟ったのか藍がこんなことを言い出した
「まあまあ、そんなに緊張せずにしてくれ。そうだ、せっかくここにまた来たんだ、ゆっくりしていくといい。橙も喜ぶぞ」
久しぶりに会うな、橙とは
どうしているだろうか、まあ、元気でやっているだろう
「じゃあ、お言葉に甘えて紫が帰ってくるまでゆっくりさせてもらうよ。亜科、充、それでいいよな?」
よく状況を理解できていない充と亜科は首を縦に振ることしかできなかった




