また
よろしくお願いします!!!
「なあ、妖怪って信じるか?」
唐突に俺の友人が聞いてくる
そいつの名前は木頭充
俺の数少ない友人である
「妖怪?なんでいきなりそんなこと聞くのさ?」
横で訝しげな表情をしている女子は斎藤亜科
俺の幼なじみであり、唯一の女子友である
「いやあ、最近幻想万華鏡ってやつにどハマりしてな。それで思ったんだ、妖怪って実際にいるのかなって」
充は結構なオタクである
だが、基本的に飽き性なため、すぐに色々なアニメやゲームに飽きてしまうが今回は本当に熱中しているようだった
珍しい事もあるもんだなと思っていると、なんとなく察したのか不服そうな表情で
「おいおい、俺だってハマるときは結構ハマるんだぜ?」
「そう言ってたくさん買ったRPGの中で飽きずに中盤まで行ったのは何作品だったかな?」
充はうっと痛いところをつかれたという顔を作ると
「今回は絶対に飽きない自信がある!あれは面白すぎるから!!お前らも見てみろって!!」
「はいはい、気が向いたらね」
亜科は適当に充をあしらうと
「話が脱線しちゃったよ、それで妖怪って信じるかだっけ、私は見たことないから信じないかな〜こういうのって私は実際に見てみないと信じないタイプだからさ」
それで、と亜科が言うと
「風月はどう思うの?」
俺ーー一風月に聞いてきた
俺の答えはーー
「いるんじゃねえの?どっか別の世界にでも」
そう、答えておいた
〜※〜※〜※〜※〜※〜※〜
中間試験が終わり、一段落した後
俺は充の家に招待されていた
ちなみに俺らは全員高校二年生である
「いきなり呼び出して何の用だよ」
俺がそう充に言うと充は勝ち誇ったような顔で
「呼んだ理由は他でもない、君たちにとある事に同行して欲しいのだ」
「とある事って何?」
亜科が聞くと充は拳を空に掲げ
「よくぞ聞いてくれた!!君たちに同行して欲しいのはーー幻想入りする方法を探すために一緒に森に入って欲しいのだ!!!」
俺らは黙って家に帰る支度を整えた
「待て待て待て!!帰ろうとしないで!!」
「なんでそんなことに私たちが同行しなければいけないの?」
同じく同意見
充が大抵こういう意味不明なことをしだすと何かしらやばいことが起こる
前科は三犯じゃ済まず、例を挙げるのならば『山菜取りをしようぜ!!』って言った時は熊に襲われかけて『クルーズ船に乗ろう!!!』って言った時はそのクルーズ船が沈没するなど諸々、今回は何が起こるかわかったもんじゃない
「お願いだ!!一人じゃ寂しいんだよ!!頼む!!!!」
俺たちに土下座を決め込んでいる友人を見ながらはあ、と、ため息をつき
なんだかんだ言ってそれに同行することになった
ーーもちろん、何も起こらないはずがない
〜※〜※〜※〜※〜※〜※〜
「暗くなったし、そろそろ帰らない?」
俺たちは3時間くらい森をうろつき全く手がかりなんてつかめなかた
それでもこうやって付き合ってしまうのは俺が甘いからだろう
「あとちょっとだけ!!頼む!」
そしてあと三十分だけと決めてまた探そうとした瞬間ーー
ーー浮遊感が俺たちを襲った
俺にはその浮遊感がどこか知り合いのものだとすぐにわかり
誰にもわからないようなため息を一回、短く吐いた