一、雨の降る日は(大輔×サキ)
美咲高校は都内でも最近できた私立校である。そのため学校もまだ綺麗であり学校方針も寛容であったので受験者が多いのであった。さらには美咲高校の特色として勉強だけでなく部活動にも力をいれており、一人からでも同好会という形で、できるようになっていた。部・同好会の数は計り知れなく50もの種類があると噂されていた。
美咲高校演劇部部室一人の少女がノートを閉じため息をついた。小女の名は麻野サキ今年の4月高校2年になったばかりである。サキの横にはそんなこと気にせず持ってきたお茶を飲みながら分厚い本を広げている城碕葵がいた。彼女も同じく2年生で、サキの幼馴染でもある。それはさておきサキのノートは勉強をしていた後…というのではなく事細かに書かれた部費の使い分けを書いている部誌であった。
「葵。かわりにやって♥」
「がんばれ」
葵は目線を上げようともせずどうでもいいというように感情のこもらない言葉で返す。部誌を書くのはサキを初め代々会計係の仕事である。
「いっくらやってもお金が足りないんですけど・・・。ってか文科系はお金たくさん使うのにさあ」
「そんな事私にいってもどうにもならない。」
葵の読んでいた本をむりやり閉じた。
「私たち友達だよね?」
手伝って?笑顔で訴える
「私は演劇部部長。私に命令するのはいい事かしらね?」
「う〜鬼!」
「・・・わざわざ残って待ってるのに酷いわ」
「も〜いいです。帰って考える!」
数分後、校門前でサヤはボーゼンしていた。
「・・・どうしよう」
外はドシャ降りの雨がふっており空が暗くなっている。サキは傘を忘れたようだ。
「こうゆう時に限って葵は用事で一緒に帰れないっていうんだよな」
床をけりまたどうしようかと呟いた。
「サキ。今かえり?」
少年の声にサキは笑顔になる。
「うん!大輔、カサ持ってる?」
少年ー城崎大輔はその言葉でわかったというように笑った。葵の双子の弟、そしてサキの幼馴染兼恋人である。
「傘もってるよ。一緒にかえろうか」
大輔とサキは一緒の傘に並んで歩く。二人は会話することもなく無言になる。サキは何やら緊張気味のようだ。
「周りから見るとカップルにみえるかな?」
「ま、カップルですしねえ」
サキは顔が照れて赤くなってるのを隠し横を向く。口で冷静でも顔は素直に出るのだった。それをみ大輔は「かわいい」といいさらにサキは顔を赤くする。
「・・・一緒に帰らないほうがよかった」
「素直じゃないなあ。サキこっち向いて」
「・・・何?」
サキが振り向くと大輔と唇を合わせた。
「・・・先に帰る!」
恥ずかしさに耐えられなくなり濡れるのを覚悟で傘を出た。
「サキ〜。先に行かないでよ〜」
「つまらないダジャレ言ってんじゃないわよ!バカ」
こうして雨の中二人は帰っていった。
さあ、雨の降る日はあの人と一緒にかえりましょう?