表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/26

卒業論文

車内で無言のまま、一時間ほど走って、アルバートに我慢の限界がきた。


「これから、どこへ?何をする気だ?」


スミスは、情報パッドを差し出し、アルバートに手渡した。


「ドクター。質問が違いますよ。『どこへ連れていくんだ?何をさせるつもりだ?』でしょ?」

「ドクター?」


手渡されたパッドを見て、アルバートは目を見開く。

そこに表示されていたのは、アルバートの卒業論文だった。

そして、第三者的評価と改善点、実施の為の考察と設計。

試作品の写真すらある。


「これをやっているのか?いったい、なんの目的で?」


思わず口にしたが、こんな組織が、最終目的をネタバレするのは、コミックの中だけだ。


「画期的技術の実現に協力していただきます。逃亡しなければ、貴方をグループリーダーにしていたのですが、今回は協力者として、参加していただきます。しかし、1.5倍とは素晴らしい」

「1.41だ!」


アルバートは正確な論理値を言い返した。

論文は、『熱核反応の効率化』として、水爆の変換効率を1.41倍にする物だ。

つまり、破壊力の増強だ。

卒業論文に、水爆を選んだのは、国際法で禁止されている上に、影響規模が大きすぎて、地球上の何処で使っても、世界中に影響が出る事。そして、技術的に実現が困難である事だ。

論文としては成り立つが、所詮は夢物語で、平和的な物だからだ。


しかし、報告書によると、多くの問題点を克服しており、外部協力者は二十名を越えている。

こんな物を作る意味がない。第一、実験出来る場所が無い。


ウランやプルトニウムによる原爆同様、水爆にも最低限のラインが存分する。

プルトニウム原爆を起爆剤とする水爆ならば、尚更だ。

『原爆の小型化』等は夢物語に過ぎない。

当然、規模も小さくは出来ない。


「まさか、世界滅亡を目論む宗教団体か?」


アルバートの呟きに、スミスは、笑いをこらえきれずに、腹を押え、車内で、もんどり打った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ