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夢へのクレッシェンド  作者: 赤井 空
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第1番 1楽章 「入学 Ⅰ」

「山崎隼人・・・・・・1年3組」


少し肌寒い入学式の日の朝、昇降口に張り出された名簿で自分のクラスを確認し、教室に向かった。


「隼人ー! 同じクラスじゃん!」


教室に着くと、槇川祐介が既に自席に座っていた。彼は小学校の時に同じ弦楽部に所属していた友達だ。隼人も教室の黒板に貼ってある座席表を確認して席に座った


「やったね、クラスに知ってる人いなかったらどうしようかと思ってたんだよ。マッキーが同じクラスにいてくれて良かったよ」


「ここの中学いろんなところから人が集まってるから多分知らない人も結構いるよね」


隼人達が入学した亜陵中学校は、千葉南小学校、千葉北小学校、千葉西小学校などいろいろな小学校の卒業生が入学しているため、他の学校と比べると生徒数もかなり多い。


「おはようございます」


大きな声の挨拶をしながらかなり怖そうな先生が入ってきたので、クラスは一瞬で静まった


「これからこのクラスの担任を持つことになりました。村上慎太郎です。1年間よろしくお願いします。」


「よろしくお願いします」


「それでは出席をとります____ 」







入学式も終わり初日の学校が終わった


「隼人は部活どうするの? やっぱり吹部?」


「まあ音楽以外やることないしそのつもり。でも楽器は何にしようか迷ってるんだよね。マッキーは?」


「俺はそのままコンバス続けるつもり」


「コンバスはいいよなぁ、弦楽器なのに吹奏楽にもあって」


「隼人も新しく楽器始めたらまたその楽器のことが好きになるよ」


「とりあえずここで話してても進まないから音楽室行こうか」


「そうだね」









「すごい人の数だね」


「それよりも音量がすごいよ。管楽器ってこんなに音が大きいんだ」


音楽室では合奏が行われていた。2人は弦楽部出身のため、管楽器の音の大きさを知らなかったのだ。


「ねぇ、あれうちのクラスの男子だよね?」


「そうだね。みんな吹部に入るのかな?」


「男子が多いと嬉しいけどね」


「みんなのところ行ってみるけど隼人も行く?」


「うん、行く!」










「みんな吹部に入るの?」


「一応みんな吹部に入るつもりだよ」


「そっか! 俺達も吹部だからこれからよろしくね。 俺は槇川祐介、小学校ではコンバスだったから中学でも続けるつもりだよ。で、こっちは山崎隼人、小学校ではバイオリンだったよ」


「なんでお前が俺の紹介までしてるんだよ」


「別にいいだろ、隼人は中学でどの楽器やるかはまだ決めてないんだよね?」


「うん、色々見てから決めようと思ってる」


2人で勝手に会話を続ける間、他の人達は黙って見ていた。会話が止まったのを確認してから


「じゃあ俺らも一応自己紹介しとくね。俺は水原悠馬、小学校ではラッパやってたから中学でも続けるつもり」


「片瀬蒼太、パーカッションです!」


「秋島裕翔です、楽器やった事ないから結構緊張してるんだよ」


「俺たちみんな北小だったんだよ」


「北小って吹部結構強かったよね?」


「上手い人は結構いたよ。まあ俺達はメンバー外だったけど」


吹奏楽での1番大きな大会は夏に行われる吹奏楽コンクールだ。吹奏楽の甲子園とも言われるこの大会は全国の吹奏楽部が参加する。この中で上の大会に進むことが出来るのは極僅かだ。北小学校は全国大会には進めていないものの、毎年東関東大会に進んでいる強豪校だ。


「東関東大会ねぇ……」



「ガラララ……」


後ろを振り返ると扉を開けた女の先生が立っていた


「新入生の皆さん、ようこそ。私は亜陵中学校吹奏楽部顧問の高橋望美です。今日は吹奏楽部の見学に来てくれてありがとう。廊下に溜まっていると邪魔になってしまうので、全員音楽室に入ってください」


いつの間にか廊下にはすごい数の1年生が立っていた。先生の指示に従って全員音楽室に入ると教室内が静かになった。


「みなさんこんにちは、吹奏楽部部長の深海朱音です。これから歓迎の気持ちを込めて演奏をします。今日は楽しんでいってください!」


部長の挨拶が終わると演奏が始まった。1曲目は『星条旗よ永遠なれ』だ。この曲は元アメリカ海兵隊音楽隊隊長のジョン・フィリップ・スーザが作曲した行進曲であり、吹奏楽の演奏会では定番曲である。隼人は初めて聞く吹奏楽の合奏に圧倒されていた


「すごい…… 上手い……」




「……今日は演奏を聞いて下さりありがとうございました。明日からは体験も始まるのでぜひ来てください!」






帰り道、頭の中では最後の演奏曲の宝島のサックスソロが流れ続けていた。

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