プロローグ
「ふぅー、」
小学校最後のコンクールという緊張からの解放と疲労から隼人は弓を緩めながら椅子に座り込んだ。演奏順が遅かったため、結果発表に遅れないように急いで片付けをしなければならない。隣では智明が小さな体でチェロをケースに閉まっている
「日本一になれたかなぁ」
「俺達は全力を出し切ったからあとは祈るだけだよ」
「そうだね、結果発表が始まるから急いで戻らないと」
「俺トイレ行ってから戻るから先に戻ってて!」
ホールに戻ると既に沢山の生徒が落ち着きがない様子で座っている
「遅いよ! もうみんな集まってる!」
「ごめん 緊張しちゃって……」
「ワァー!!」
ステージに審査員が出てくると開場中が一斉に盛り上がった
「本日は……」
司会の人から審査員の紹介などがあったが頭には全く入ってこなかった。隣では智昭と祐介がそわそわしている
「それでは審査結果の発表に移ります」
「まずは優秀賞の発表です。第51回全国管弦楽コンクール小学校の部、優秀賞は…… 千葉南小学校です!」
会場が静まった。優秀賞は2番目に点数の高い学校に送られる賞である。ここで呼ばれたということは全国2位だったという事だ
「…………」
誰も声を発することが出来なかった。
会場がどのくらいの間静かになっていたのかは分からない。気づいた時には全ての結果発表が終わっていた。こうして南小学校弦楽部での活動は悔いを残したまま終わった
読んでいただきありがとうございました。初めて書いたものですのでアドバイスなどがあれば頂けると嬉しいです。
自分のペースで連載を続けていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。