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「ああ、そうですね。それが1番良いと思います」
すると暁が笑顔で賛同してきた。
「なっ何でライバルにそんな助言を…」
したって、自分に不利になるだけなのに!
「さっきの礼だ。うるさいのを黙らせてくれたからな」
そう言ってニヤっと笑うが…。
今のアタシにとっちゃ、その助言はありがたくない!
「ちなみに昶は何番?」
「えっえっと…じゅっ10番台だったから、もう終わってるかも」
つーか終わっててくれ!
「あっ、なら大丈夫だ。オレ、16番だから」
翔が笑顔で自分のナンバープレートを指さす。
…別の意味で、終わった…。
「なら翔くん、一緒に行ってくれますか? 私は33番なので」
「分かった、暁さん。昶、一緒に行こう!」
そう言って翔はアタシの手を掴んだ。
「まあ頑張れよ」
「気を楽に、ね」
「いつもの調子で…頑張ってください」
「2人とも、全力を尽くせば大丈夫です。頑張ってください!」
「おうよ!」
「あっ…うん」
そのままズルズルと翔に連れてかれる。
オーディションは舞台の上で行われる。
5人1組にされ、舞台に上がる。
アタシの両親を含め、10人の審査員との質疑応答が行われる。
そして歌と演技、自分の得意技のパフォーマンスを行う。
それで終了―。
…何度かやったことのあるオーディション内容だ。
でも! アタシの場合、当然のことながら何にも準備していない。
それに舞台に上がる前に、スタッフの確認が入る。
そこで引っ掛かって、終わりだろう。
…すぐさま、奥に引っ込まなきゃ。
舞台袖では、すでに確認が始まっていた。
ナンバープレートと顔を確認しながら、スタッフが手元の書類と見合わせる。
翔に連れてかれ、スタッフと正面から向き合った。
…この顔は見覚えがない。
つまり、相手もアタシのことを知らない。
……だけどこのことは幸いではなく、不幸だった。
「あれ、あなたのナンバープレートは?」
「実は失くしちゃいまして…」
「…困りますねぇ。番号、覚えていますか?」
まだ若い男性スタッフは、書類をパラパラと捲る。
「すみません、分かりません」
…本当は無い。
苦笑を浮かべていると、スタッフは無線を入れた。
「あなたの名前は?」
「あっ昶。星河昶です」
スタッフはアタシから少し離れて、小声で話をした。
「―はい、星河昶です。…はい、あっ、そうですか」
少しして、スタッフは戻って来た。
「確認取れました。星河さん、舞台に上がっても良いですよ」
「えっ!?」
「良かったな! 昶」
笑顔で翔が手を掴むも、よくない!