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FLASH!  作者: mimuka
5/7

3

「オレも…モデルなので、知ってます」


「えっと、戒司くんだっけ? 実はモデルを仕事にしてるワケじゃなくて…」


「CMとか、エキストラ活動もしていますよね?」


急にイキイキとした声をかけてきたのは、年上そうな青年。


穏やかな雰囲気と、柔らかな口調が、逆に目立っている。


「ああ、急に失礼。私は暁と言います。今までは声優業や俳優業をしていました」


爽やかな笑顔で握手を求めてくるので、再び手を差し出す。


「昶さんとは実は何度か同じ現場でお会いしているんですよ」


「えっ? どっどこでですか?」


「多いのは撮影現場ですね。私もエキストラ活動をしていた時がありまして、その時に」


…目の前が一瞬、暗くなった。


あえてこの業界で目立とうとは思わなかった。


思わなかったけど!


…CMやエキストラ、モデル活動をしていたのは事実だった。


CMでも大勢の人数が必要な時だけ、出ていた。


大勢の人の中にいれば、目立たないだろうと思っていたのに…。


「このオーディションでお会いできるなんて、光栄です。お互い、頑張りましょう!」


げっ!


もっもしかしなくても、やっぱり男と見られている!?


それだけじゃなく、オーディションに出るとまで思われてる!


「あっあの…」


慌ててアタシは口を開いた。


「すっげぇ…。昶って、有名人だったんだ!」


今まで黙って聞いていた翔が、頬を赤くして、アタシを見ていた。


「えっ、いやっ、ちがっ…」


「よぉし! 昶がライバルでも、オレ、負けないからな!」


ちっがーう!


声を大にして言いたかった。


でも…聞いちゃいない。


だからアタシは別の方向から、逃げようと思った。


「でっでも、アタ…いっいや、オレ、ナンバープレート無くしちゃってさ。もう帰るとこなんだ!」


本当はそんなもの、無い。


でも言い逃れには1番良い。


大事なナンバープレートを失くすことは、オーディションを受ける資格を失くすことと一緒だから。


「えっ!?」


「ああ、ホントだ」


翔と颯がアタシの胸元を見る。


「あきれたものだな」


「どこで失くしたか、覚えていますか?」


ため息をついた雅人と、慌て出す暁。


戒司は青い顔で、アタフタしている。


「わっ分かんないんだ。だからもう帰るから…」


「ダメだよ! そんなの!」


翔がいきなり声を荒げたものだから、周囲の視線が一気にこっちに向けられる。


「もったいないよ! 今まで頑張ってきたんだろう? オレも探すから、諦めるなよ!」


…探したって、無いものは無いんだけど…。


「そうですよ。私も一緒に探します」


「オレも…付き合います」


なっ何かどんどん話が大きくなっていくような…。


「探している時間があるのか?」


しかしそこで、雅人の冷たい声がかかる。


「翔とやら、もうすぐ出番じゃないのか?」


翔は壁にかけてある時計を見て、目を大きく見開いた。


「あっ…!」


「探している時間なんて無いだろう?」


「でっでも、このままじゃ昶が不合格になっちゃうし…」


「…本来なら、自業自得だと切り捨てるんだがな」


雅人は壁から背を離し、こっちに歩いてきた。


「舞台で自己紹介の時に、素直に言うしかないな。マイナスポイントにはなるだろうが、それでも何もしないで帰るよりはマシだろう」


…もしかしなくても、助け舟を出してくれている?


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