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9/9

追い出されたけどドラゴン公爵の妻になれるので勝ち組でした 1


気がつけば土砂降りの中で、私は家のドアから突き飛ばされる。

びちゃびちゃの地面に腕と膝をついて、何が起きたのかわからないまま。



「そういうことだ。もうお前を養う義務はないのさ!」


成人の誕生日にいきなりだった。

自分の両親が生まれたばかりの私を伯母夫婦に預け、死んだということを告げられたのだ。

今まで普通だったのに、女性が好きなドロドロの劇の悪役ばりの表情。

いきなりの変貌ぶりに何も頭に入ってこないまま、この状態である。


「母さん! なんでこんなことをするんだ!」


騒ぎを聞きつけ、二階から降りてきた兄が元母……伯母に詰め寄る。


「フン! 家長のあたしに文句を言うんじゃないよ! とっとと金持ちの娘を嫁に貰って楽させとくれ」


この国では女が家長として家を継承するから、彼の妻が家を継ぐのよね。

なんて、私こんな状態なのに案外冷静だわ。



「ルエット!」


彼は引き留めているけど、返事をすることができない。


「いかないでくれ……母さんはどうかしているんだ」


そんなことを言われても、帰れないものは帰れない。

鬼の形相で睨まれているのに、私なにか恨まれるようなことした?

今まで育てられた分こきつかわれるならわかるけど、追い出されるとは思わなかった。

それほど私がいるのが嫌になって? 


私も兄が大好きだった。でも、本当の兄ではなく従兄だったのだと知った。

けれど、嫌いなわけでもない。何が変わるわけでもないのだ。


「ネフェルは知ってた?」

「俺は……君が妹じゃないことは知ってたよ」


「……でも、妹も従妹も大差ないわ」


イトコと結婚するのは東くらいで、西では禁じられている。


「……ルエット」

「さよなら」




手ぶらで森をさまよっていると雨が止み、泥だらけの服が乾いたころになると空が赤くなる。

人が家に帰っていく頃合いになった。私に帰る場所などもうない。


黄昏ていると、霧の向こうに門が見えてくる。

そこまで走っていくと、立派なお屋敷が場違いな立地の場所に聳え立っていた。


「見慣れない屋敷……」


どんな女性が住んでいるかと思えば、窓から姿が見えたのは男。

ここの当主の夫か、それとも他所から来た変わりものか?




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