禁忌の双子 共通①
――大国フィラムスの隣にある小国“フルーテア”に双子の姉弟が生まれた。
姉はルリナー、弟はシェディム。二人は正反対に成長する。
姉は奔放ながら明るく人好きのする性格で民から慕われる。
弟は思慮深く勤勉ではあるが人を好まない性格になった。
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今日は城を抜け出して森へやってきた。
ここは高い塀がドームになっていて外界から隔離され他国からの襲撃もなく地産地消の平和な国だから問題はない。あるだろうけどないと思いたい。
いつもは市場でお菓子を買ったり、そこらの子供と遊んだりしている。
「らーんらららららーん」
私が歌うと果物、薬草など何かしらのアイテムが落ちてくるので小腹が空いても大丈夫。
「やれやれ、こんなところにいましたか……」
遠方に出ていた筈の大臣の息子ヴェダースマ。
苦虫を噛み潰した顔をしてため息まじりにやってきた。
「久しぶりね」
昔馴染みだというのに堅苦しい話し方をするようになったものだ。
「貴女は次代女王となられる方なんですから、いい加減このような真似は止めて頂きたい」
「だったらシェディムが王になればいいのよ」
弟は優秀なのにどうして彼を差し置いて私が次の王になるのかわからない。
「フィラムス女王陛下がお決めになられたことですから」
私達の国はフィラムス王国の下にあたり、女王は私達の伯母である。
両親でありこの国の王と妃は魔王を封じたことで亡くなった。
「それにシェディム殿下が王座につけば恐怖政治が始まりますね」
「貴方が冗談を言うなんて今日は槍が降るわね」
「さあ城へ帰還しましょう」
「わかったわ」
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「姉上お帰り、ついでに……誰だっけ」
シェディムは高速で雑務を済ませている。小さな国なのにずいぶん色々と問題があるものだ。
「ヴェダースマ=ザックスです」
「ああ、久しぶりだね幼馴染くん」