4/9
女竜主・共通part 記憶喪失の人間を拾う
私は竜、しかし人の国の領地を持った存在。
つまるところの領主である。
小さな村ではあるが、そこに私と傍に仕える竜の女とただ過ぎ去る永き日を退屈に暮らしていた。
私達の見た目は人と変わらない。
私や竜女は高位の竜族で、人形のとれる竜。
本来の姿は大きすぎて村を破壊してしまう。
やはり、木が崩れればかゆいので、これでいいのだ。
「主竜樣、人間ですよ珍しいですわね」
「フム…」
この村の外にはごまんといる人間、しかし我々は村を出たことがない為、とても珍妙でならない。
必要最低限の使用人を除き、人間などほとんど目にしない。
「拾っていこうか」
「ええ!?」
屋敷に連れてきたは良いが、以下にして人の男は目を覚ますのだ。
「う…ここは…」
「人よ、何ゆえ倒れていたのだ」
「わかりません」
「なんだと」
「名は?」
「わかりません」
「あなたもしや、記憶がないのでは?」
「はい」
「なんなのだそれは」
「人間の書物なるものに、キオクソウシツというものがありまして」
「人間とは理解しがたいな」
私は人間を暫く屋敷に置くことにした。