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森の、中。  作者: ゆらゆらさん
第1章 エルフの故郷(さと)
8/19

塔の中

里の中心にある塔に着き、狩りに向かう父を見送った。

「いいか、何かあったらこの守護石を投げるんだよ。

 すぐ転移してくるからね。」


守護石を投げると魔力を込めた人に一瞬で知らせる。

防犯ブザーみたいなものだ。


カルバの木の防壁の外へ出る転移陣から姿が消える

まで、ずっと笑顔で手を振っていた。


塔の中には大きな転移陣と、小さな転移陣が

いくつかある。転移陣はエルフの技術だ。

世界中の町や国を繋いでいるが、エルフと一部の

人間を除き、通常は隣の転移陣までしか移動

出来なくなっている。


成人のエルフと高位ランカー冒険者は、転移陣を

利用して好きな場所に転移できる。


転移陣はエルフの成人の儀とも深く関わっている。

というのも、成人の儀とは自分の魔力を

コントロールし、出来るだけ遠くの転移陣に転移

することなのだ。


行き先の固定された転移陣の魔力に干渉し、

ネットワークのように広がった、里から離れた

転移陣への転移が旅のはじまりになるのだ。

里の外に転移できなかった場合、固定された

室内の別の転移陣に転移するだけだ。


これはみんなで送り出したのに、後ろから現れて

かっこ悪い状況を起こすためだ。

そのもの凄く恥ずかしい状況を避ける為、

100歳まで必死にコントロールを学ぶ。

まだ見ぬ運命の為に、それだけコントロールに

重きを置いているのだ。


転移の間を通り抜け、中庭を通り、昇降陣に乗る。

魔力を流し、おじのいる階へ浮上した。

通いなれた場所だ。


ホテルのように部屋の並んだ廊下の最奥のドアを

ノックする。おじの仕事部屋だ。


この塔は結界の管理や維持、転移陣の管理などを

行っており、当番のエルフがそれぞれの仕事部屋に

待機し、異変の時の対処をする。


転移陣当番に関しては1Fに端末陣があり、

通常はそこで操作すれば事足りるが、

結界に異変があった時は集中が必要なため

結界当番には個室が与えられる。


結界の待機は特に魔力が強く、感知と操作に

長けた者に任せられる。

おじはエルフの両親持ちゆえ、魔力も強いが

特に感知と魔力感応性が強い。


感応性が強いと他人の魔力に同調させ干渉する

ことができ、他のエルフに魔法を体感させる

なんてこともできる。コントロールを学ぶ子どもの

師としては最適の人物だ。


ただ、彼を一言で表すならば、「残念な人」であった。


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