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森の、中。  作者: ゆらゆらさん
第1章 エルフの故郷(さと)
7/19

父の心配

朝食を終えると、外出の用意をする。

子どもが少ない為、学校のように集まって学ぶ

場所はないが、2日おきに違う内容を教える

エルフのもとで勉強する。

教わりにいく日以外は魔力コントロールなどの

自主鍛錬をする。


今日は無詠唱魔法の勉強の日だ。

父が狩りのついでに送ってくれた。


里の中心部にある塔まで父と並んで歩く。


「シーヤもあと2年で15かあ・・・

 運命がジジイの誰かだったら嫌だなあ。

 何人かいればお前が選べるんだけど・・・

 今から警戒しておかないとな。」


寿命が長く、ゆっくりとだがエルフも老いる。

老いたエルフ程伴侶との別れを経験しており、

旅にも出ず里で隠居暮らしするものもいるが、

一部はエルフの女の子が生まれると年甲斐もなく

伴侶の座を狙う。


父の言うジジイとはその一部の者達だ。


老いたエルフがエルフの伴侶を得ると限界はあるが

寿命が延びる。

若い相手との婚姻で、魔力共鳴をすると

やや見た目も若返る。伴侶になるエルフが

若ければ若いほど寿命が延びるとされる。

エルフの寿命にばらつきがあるのはそのためだ。


15歳になる女の子目当てに戻ったエルフよりも

先に、老いたエルフが共鳴を起こし、同意なく

女の子をさらってしまったことも幾度となくある。

当然許されることではないのだが・・・


あくまで15歳は目安であり、

いつ共鳴を起こすかはわからないのだ。


人間の運命を落とすためのテクニック教育が

仇となり、さらわれたが最後、共鳴で若返った

しぶい百戦錬磨相手にお子ちゃまな15歳が

敵うはずもない。


嫌がってもその手管に籠絡され、ほかの運命が

気づいた時にはすでに遅し。

もう身ごもっていて、身も心もメロメロにされて

いるのだ。

惚れさせてしまえば、こっちのもの、ということだ。


まあ、それも年寄りの寿命がくるまでで、

共に生き、見送った後は運命を探す旅にも出られる。


しかし、次を狙うものたちは少なくない。

運命たちは他の相手と結ばれていても、

後を追ったりと常にチャンスを狙っている。

伴侶は同意があれば複数持てる。

年寄りほど独占欲が強いものだが・・・


また、女のエルフは人間よりは身ごもりやすく、

女の子を産む比率も高い。最高記録は2000年の

うちに10人産んで、うち3人が女の子だった。


身体の見た目に比例して妊娠率は落ちていくが、

寿命の延びた人間の妊娠可能な期間が50年程しか

ないのに比べればはるかに長い。


一生に1人産むか産まないかの人間の運命より、

確実に自分の子を産む女のエルフ

永遠の別れを繰り返して、長い時を一緒に過ごせる

相手を求める気持ちもわからなくはないが・・・


女の子を持った父親は、常に気を配って、

年頃に近くなる14歳になる頃には常に

さらわれないよう対策が必要になる。

父の心配は尽きない。


父の母はエルフだったそうだ。だから父の姉弟は

エルフにしては多い。亡くなるまで狙われる母親も目にしていたらしい。

今日魔法を教わるのも父の同じ母をもつ弟だ。


ちなみに運命でも血が近すぎると子供が産まれ

にくいとされている。

よって親子など近しい身内が運命だった場合は

成人前でもできるだけ離れて暮らす。

子供を別の者に託し、両親が里を出ることもある。


昔は逆に近親婚が多かったらしく、その為に

子供が生まれづらくなったという説があり、

少子化に歯止めをかけようとそのようにするのが

一般的なのだが、そのまま伴侶となった者も

いるにはいる。


血が近いと引き合うこともあるらしく、

親子ほど共にいるため他のものよりも運命と

近くにいるためか、早くに共鳴を起こしてしまう

ようだ。


共鳴を起こした相手とは離れがたいものらしい。

そういった夫婦は子供を持つために複数の伴侶と

共に暮らしていたりする。


私は父が運命じゃないことを切実に願う。

生まれ変わった今、父も母も大事な家族なのだ。


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