シーヤ
サュエリラルクシーヤ
舌でもかみそうな名前だ。皆にはシーヤと
呼ばれている。
ここはエルフの故郷
めんどくさいから以後、里と呼ぶ。
私はここに生まれて13年。エルフの女の子だ。
見た目はいわゆる一般的に想像するエルフ、
で合っていると思う。
私には、前世の記憶がある。思い出したのは
5歳の時だった。といっても、この世界ではさほど珍しいことではないらしいが。
死んだときの記憶は曖昧で、いつ死んだのか、
どんな風だったのかは覚えていない。
ただ、地球という所の、日本という国にいて、
夫も子供もいるごく平凡な主婦だったのは
覚えている。子供もそこそこ大きく、高校受験
だとか、そんなことがあった記憶もある。
だからこの世界で、それが記憶として思い出されたときは大変混乱した。
ただこの世界では、さほど珍しくないこともあり、エルフの両親にも色々教えられた。
二人の人生が突然ひとつになったような感覚で
とまどいはあったものの、ひとまずいまの自分に
落ち着いた。
子供や夫の事を思い出すと悲しくなるが、
優しい両親たちに慰められ、少しずつ寂しさを
まぎらわせるよう努力した。
もうここで生を受けてしまっている以上、
戻れないのだ。
そんな風に自分を納得させるしかなかった。