表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森の、中。  作者: ゆらゆらさん
第1章 エルフの故郷(さと)
14/19

練習場

練習場は学校の体育館くらいの高さと広さがある

部屋だ。壁や天井、床には強化魔法陣が何重にも

施されており、シェルター並の頑丈さがある。

その床に、はさまざまな色の転移陣が描かれている。


シーヤは青い陣の上に乗って、魔力を流し始めた。

青い陣が淡く光り始める。

陣に干渉し、ペアの青い陣の隣にある同じ大きさの

黄色の陣へ転移しようとコントロールする。


行き先を司る部分から流れる魔力に自分の魔力を流し、

黄色の陣へ転移する魔力の流れへ変化させるよう

集中する。


長い時間そうしていたがうまくいかなかった。

陣の魔力と自分の魔力が反発し、転移は発動せず

陣の発光が止まり、ごっそりと魔力が引き抜かれる

ような感覚に陥った。


やっぱりまだ駄目か・・・

同じ大きさだからいけると思ったのに。


思わずため息が出てしまう。かなりの魔力を持って

行かれて、疲れて座り込んだ。


この練習用の陣は全ての色ごとに大きさが何種類かあり、

同じ大きさは2つ1組で描かれている。

通常の魔力を流すと流した同じ色の、同じ大きさの

陣に転移する。

子どものエルフは、通常の転移の練習から始まり、

どの大きさの陣も転移できるようになったら、

次は同じ色で違う大きさの陣に転移する練習、と

1つずつステップアップする。


シーヤは最近同じ色の別の大きさの陣に転移

できるようになったばかりだ。本来であれば

どの大きさの陣にも転移できるようになってから

違う色に挑む。


沢山練習した後では魔力も集中力も足りず、

失敗する確率の方が高い。試してみたい気持ちが

勝った結果、失敗に終わった。


同じ色への転移と違い、違う色の陣への転移は

ぐっと難しくなる。

魔力量だけではなく、陣の行き先の部分に

干渉するのだ。魔法陣の魔力構成を崩さずに

行き先を誤認させてネットワークにつなげるという

風に、

書き換えるのではなく自分の魔力コントロール

のみで行うのだ。


失敗すると魔法陣の魔力が霧散する。その際

繋げていた自分の魔力が引き抜かれるように

かなりの量を持って行かれるので、

大人より魔力の少ない子どもは倒れてしまうことも

ある。人間だったら眩暈どころではないのだが・・・


シーヤはよろけながらも立ち、練習場の端に移動し、

壁にもたれかかって座る。

ぼんやりと陣を眺めていると、そのうちの1つが

光り、師の一人と里にいる子どもの1人が転移してきた。


「あれ?シーヤも練習?の割には・・・

あ、チャレンジしたとか?」


シーヤは返事するのも億劫かのように首を縦に

振った。転移してきたのはあと7年で成人の儀を

迎えるラニと師のアンリだ。


「俺も昔試したくて失敗してぶっ倒れたな~。

1回で懲りなくて同じ日に2度やって立てなく

なって怒られたな~。」


ラニは成人の儀が近い年齢になってきたので、

転移陣の距離を広げる訓練をしている。


勉強の日は大人同伴で戦闘訓練も兼ねて里のすぐ

外側の森へ転移し、獲物が狩れたら外の陣から

練習場に戻ってくる。


「シーヤ、大丈夫かい?これを食べなさい。」


アンリがポーションキャンディを差し出した。

魔力ポーションは回復に効果的だが、子どもは魔力

ギリギリまで使ったら自己回復のほうが魔力容量が

増やせる。

師を担当する者は自己回復を妨げない程度の回復に

ポーションキャンディを常備している。


ありがたくいただき、キャンディを口に入れた。

蜂蜜のやさしい味がする。


「アンリ先生ありがとうございます。」


「いいんだよ。医務室へ運ぼう。少し寝ていた方が

回復が早い。アードに迎えに来るよう知らせよう。」


「少し休んだら自分で行きます。今日は二人とも

買い出しに行っているので・・・」


「医務室で横になった方がいい。顔色が真っ青だ。

アードが迎えに来るまで寝ているといい。

アード達が戻ったら伝えるよう転移室の当番に

頼んでおこう。ラニ。」


アンリがラニに声を掛けると、


「世話が焼けるぜー」


と嬉しそうにおんぶしてくれた。

お姫様抱っこじゃなくて良かった・・・


すぐそばの練習転移陣から転移室の陣へ転移し、

医務室へ連れていってもらった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ