Act.2 選択
「別れてほしいんです。」
その言葉に私は、ようやく目の前に座る女性を見た。自分の見せ方が分かっている隙のない見た目をしている印象を受ける。緩く巻いた髪、さりげないほど小さなモチーフで彩られた爪、はやりのデザインの服。そして、綺麗に引かれたアイラインに、彼女の意思の強さを感じた。
雰囲気の違う二人が向かい合っている。周りは何事だと思っているだろうなと目の前のコーヒーに口をつけながら考える。
「話きいてます?」
この殺伐とした場面で、のんびりとコーヒーを楽しんでいる私に、目の前の彼女は思うところがあったのか、少し口調を強めて聞いてくる。
「ええ。聞いてます。」
殺伐としているのは、目の前の彼女だけだけど、私は自分が考えていたよりも落ち着いていた。いつか、そんな日がくることを前々から覚悟していたからかもしれない。
「主人と話してみます。それでよろしいかしら。」
「ええ。よろしくお願いします。」
妻と愛人の会話、本当に周りの人間によい話のネタだ。心なしか周りが様子をうかがっているのがわかるのが、心地悪かった。
伝票を掴んで、目の前の彼女は注文したコーヒーに一口も口をつけずに足早に去っていく。
それを目で追いながら、私は一度だけ小さく息を吐いた。
夫とは結婚して4年になる、子どもが一人いる。その子どもができたことが理由で結婚した。夫は、私と付き合い始めた時には既に不特定多数の女性の影があった。悪い人間ではない、優しいし気遣いもできる性格で言えばできた人間だ。しかし、こと女性にもその性格がゆえに誘われれば断らない、ある意味では不誠実な人間であった。
本命といえる女性を作らず、いつでもその場限り楽しく、割り切れる女性関係を築いていた。
それは、私自身理解していたし、それを知ったうえで付き合っていた。私もあまり深い人間関係は苦手で、それで丁度よかった。一人でいることが苦痛ではない性格で、一人でいることがむしろ好んでいたから、人と会う気分でないとき誘われても断れる、断られても気にしない夫との付き合いを好んでいた。
一般的な恋人とは違う関係だった言える。
そういう関係の女性がいる夫は、行為に及んでも避妊をする、ある意味誠実な男性だった。
だから、子どもができたと分かったとき、夫と結婚できると思っていなかったし、望んでもいなかった。ただ、出来れば産みたいと思っただけだった。
自分ももうよい年だったし、なにより両親が自分に子どもができることを望んでいたからだ。私には二人の兄がいるのだが、既に結婚していて、子どもがいるが遠く離れて暮らしており、孫には年二回ほどしか会えない両親は、近くにいる娘の子どもがいればと思っていたようだった。
私も産むならば、両親の傍がいいと思っていたから、地元を離れなかったし、離れたくもなかった。
だから、私は子どもができたと分かったとき、夫にこう告げたのだ。
「出来れば、認知して養育費をもらえれれば、それでいい。
産みたいの。認知してくれなくても、産むつもり。おろしたほうがいい?」
夫に求めた回答は三つのうち、一つを選んでもらうことだった。
一つは、夫が子供を認知して、養育費を払う。
一つは、認知しない、でも、私の希望通り産むか。
一つは、認知しない、産まない。
夫は二週間考えた。私は、夫の連絡を待った。そのまま、連絡さえ来ないことも覚悟していた。
でも、彼は連絡をくれた。
そうして、夫が選んだのは私が提示した三つの答えの中にはない、結婚して二人で子どもを育てるという答えだった。
その答えに私は戸惑った。その答えは望んでいなかった。
自分のテリトリーを持つ同志で、一緒に住んでもうまくやれる自信がなかったし、夫もそれを望まないと思っていた。だから、初めから結婚という考えはなかった。
よく二人で訪れた喫茶店で、そう告げた彼に、私は思わず、首を振った。それでも、彼は考えを変えなかった。その態度に私の方が折れた。
ただ一つ条件をつけて、私は彼の答えを受け入れた。
「彼方くん、お迎えだよ。」
彼女が出て行ったあと、私はしっかりコーヒーを飲みほして、店を出た。あの興味深々の店でよく長居できるのかと自分でも思うが、それが私だ。
そうして、息子を迎えに行く時間になり、こうして幼稚園にやってきた。
「ママ!」
保育室の中から、走って入口に向かってくる息子を小さく笑って迎えた。
そのまま私の手の中に飛び込んだ息子を、軽く抱きしめて、
「さあ、帰るよ。」
そう声をかける。息子は大きく頷いて、私の右手を握った。
「さおり先生、さようなら。」
もう片方の手で、見送ってくれる保育士に手を振る。今日も楽しく一日過ごせたようだ。
その様子に私は安心する。うまくどうにか息子を育てられていることに日々安堵するばかり。自分以外のことに煩わされることが嫌いな私が、息子を煩わしく思わず、どうにか育てられているのはやはり自分が苦労して産んだ息子だからだろうか。
子どもが欲しいと思っていても、なかなか結婚や出産を望まなかったことは、自分のペースを乱されることを私が許せるかと自問自答していた結果だった。それも、今のところは杞憂に終わっている。
息が詰まりそうになるとき、近くにいる両親の存在、そして、思ったよりも子ども好きであった夫の存在、その二つが今私が息子を育てられている上で、重要な存在だった。
この小さくて暖かい手を離すことは、考えていない。
苦労しても、もし夫と別れるときは私が引き取ろうと思っている。今ほど、うまくやれないかもしれないけど、この息子なら大丈夫だと思える。
「今日のごはんはなに?」
「そうねぇ。」
にこにこと笑って私を見上げるその瞳。それが、今の私の宝物。それだけあればいいと思った。
「ねえ、彼方。今日は、お外に食べに行こうか。どこがいい?」
「パパも一緒?」
自宅に向かうあゆみを止めて、息子の前にしゃがみ込んだ。そうして、息子と目を合わせ、私はそう提案した。
「パパは、お仕事で遅いもの。ママと二人で美味しいもの食べに行こう。」
「う~ん、パパかわいそうじゃない?」
夫のことが好きな息子は、少し渋ったがでもめったにない外食の誘惑に負けたようで、しばらくしたら頷いた。夫は高給取りであったが、私はあまり贅沢を望まないタイプだったのでもっぱら食事は家でとることが多い。料理をすることが嫌いでなかったし、自分の作った食事を息子が喜んで食べるのがうれしかった。だから、外で食べるのは年に数回ほど、それを息子は楽しみにしている。
「どこがいい?」
「黒いエプロンのおじちゃんのとこ!」
息子の答えに、私は笑った。一度しか行っていないのに、よく覚えている。そこで食べた食事がよっぽど印象に残っていたのだろう。あの時は、今までにないくらいのにこにこ笑っていたもんなとその時のことを思い出す。
もともとは夫の行きつけの喫茶店、でも食事もデザートも、そして雰囲気もよくて今では私が夫よりも気に入っている。独身時代はよく夫と食事や休憩のために訪れたが、息子ができてからは足が遠のいていた。
久々に行きたいといったのは、私の方だった。それに夫も頷いて、今日は店が開いているか電話で確認してくれた。
滅多にない外食で、息子が店につく前から上機嫌だった。私と夫の手を握りながら、スキップして歩いていた。
夫がこけるぞと窘めるが、息子のスキップは止まらない。私は息子が転んでもけがをしないように、手をしっかりと支えながら、そんな息子を見つめて店までの道を歩いた。
住んでいる家からは少し距離があるので、近くまで車で向かい、駐車場がない小さな店なので、コインパーキングに車は停めた。
店までの五分ほどの徒歩の道のりは、はしゃいでいる息子のおかげでとても短く感じた。
重い木の扉を開け、息子と私を先に店の中に入れた夫は、
「さっき電話した並木です、テーブル席いいですか?」
扉を閉めながら、いつも通りカウンターの中にいたマスターに声をかけた。
「いらっしゃいませ。ええ、どうぞ。」
昔から変わらないほっこりとした笑顔で、マスターは私達を迎えてくれた。その笑顔に私はここが変わっていないことに安心する。
店内を見回せば、相変わらず、お客さんは私達の他には数名、これでも多い方かもしれない。
小さな話声と食事をする音、静かな店内だった。
四つあるうちの一つのテーブル席に座った私達は、まずメニューから息子に選ばせる。
「何にする?オムライス?から揚げもあるよ。」
写真のついていない文字だけの簡単なメニュー、息子は悩んでいた。
そんなところにマスターが水とおしぼりを運んできた。
「お子さんができたんですね。
なにか特別に作りましょうか?お好きなものはなにですか?」
この店にお子様メニューはない。比較的年配のお客さんが多いし、店の雰囲気からも子連れでは入りにくい。需要がなかったのだろう、それでも、私がこの店を選んだのは、このマスターの存在があったからだ。マスターは望めば特別メニューを作ってくれる、だから、なにか子どもの好きそうな食事を作ってくれるかもしれないと期待した結果だった。
案の定、マスターは子連れの私達にそう提案してくれた。
マスターの言葉を聞いて、夫を見ると小さく頷いてくれたので、私はマスターに甘えることにした。
「お願いできますか?人参が苦手です。好きなものは・・・彼方、何が好き?」
「から揚げ!」
「だ、そうです。あまり量は食べません。」
にこにこと好物を告げる息子に、こっちがほっこりした気分になる。幸いあまり嫌いなものはなかったがが、どうしても人参は苦手なようなので、それだけは伝えた。
マスターはかしこまりましたとにっこりと笑って請け負って、
「おいくらおだしされますか?」
と特別メニューを頼む際に告げる言葉を私達に告げる。私は、息子の誕生日だったので、奮発の意味も込めて、800円と伝えた。
マスターは少し考えこんだが、その後了解しましたと告げ、私達夫婦の注文も聞いて去って行った。
私は、ビーフシチューにした。夫は、味噌かつ定食。ちなみにとんかつ定食はメニューにあるが、味噌かつはない。これもまた特別メニューだった。でもこの特別メニューは、以前から夫が頼むメニューなので、マスターと夫とで料金設定がすでに決まっており、特に値段を告げることはなかった。
「何がくるかしら?」
「マスターだ、面白いもの作ってくるさ。」
息子の手をおしぼりで拭きながら、夫と視線をかわすと夫が笑ってそう答えた。わくわくするだけで確かに心配はしていない。
この店はそういう店だ。
「しかし、ここは変わらないな。」
周りを見回した夫がそう言うから、私はそうねと同意を示した。私が初めて来たときから、この店はどこも変わらない。この雰囲気もお客さんも何一つとっても変わっていないように見える。
「結婚してお前、来たか?」
「いいえ、最後にあなたと来て以来よ。あなたは?」
ここは、実は私と夫が結婚を決めた時、訪れていた場所だった。少しだけ気恥ずかしさもあり、来るのを止めていた。夫はその後一度昼食に訪れたそうだ。
「彼方もおとなしく座って食べるようになったし、たまにはここで外食もいいかもな。」
そんな夫に言葉にそれもいいわねと私も答えた。
料理はそんなにかからずに来た。私のビーフシチューには、スープと手のひらほどのパンが二つ、一緒に運ばれてきた。夫には定食なので味噌汁と小さな小鉢、おしんこ、大盛りの白ごはんがついていた。
「すごい!!」
そして、息子にはおおきなプレートに様々な料理が少しずつ盛られたものと、ちいさなカップに入ったコンソメスープ、オレンジジュースが提供された。
から揚げ二つ、小さなオムライス、たこさんウインナー、半分に切られたブロッコリー二かけら、これまた小さなデミグラスソースのかかったハンバーグ、数本のフライドポテト、マカロニサラダなど盛りだくさんで、彩もとても綺麗にもられ、オムライスには小さな手書きの国旗が刺さってきた。
「デザートも用意していますので、よろしいときに声をかけてください。」
「ありがとうございます。」
とても満足な内容だった、息子はどれから食べようかと目を輝かせている。去っていくマスターにお礼の意味も込め、会釈をするとにっこりと笑っていた。
「彼方、食べきれないときは言うんだぞ。」
「食べきれるもん。」
量は控えてもらったが、全体的には息子には多いように思えた。夫が心配して声をかけるが息子は楽しそうに、小さなフォークでから揚げを刺し口いっぱいに頬張って答えた。
夫はその息子の答えに苦笑していた。
「好きなものを先に食べなさい。」
「うん。」
普段は嫌いなものから攻略していく息子に、食べきれないことを想定してそう指示を出す。マスターのデザートをせっかくなら食べさせてあげたい。私は料理は作れても、お菓子はうまく作れない方だったので、息子に一度手作りのおいしいお菓子を食べさせてあげたいと思っていた。
市販のケーキは、比較的小食の息子には大きくて、あまり買わないから、うまく作れなくても息子のおやつは手作りすることが多い。だからこそ、無理も聞いてくれるこの店なら息子用に少量のお菓子を提供してくれるかもとこれまた期待している。
料理もおいしいが、この店はデザートが特においしい。
「ママ、卵がとろとろだよ。」
「本当ね、とろとろだねぇ。」
半熟卵のオムライスは、家では出てこないから息子は驚いて、おいしいよと笑い、少し私に分けてくれた。さすが、マスターという味だった。その上、気を使ってくれたのか、少し薄味で子どもにはちょうどよいように思えた。
「パパはハンバーグがいいなぁ。」
マスターのハンバーグも絶品だと知っている夫は、ちゃっかり息子にねだっている。やさしい子なので、嫌がらずにおすそ分けしていた。
にこにこと嬉しそうに食べる息子に、私は連れてきてよかったなと感じた。マスターの美味しい料理にいつもより量も食べれているように思えたし、車型に型どりされた人参のグラッセを息子が少し顔をしかめながらも、進んで食べたことも大きかった。
「人参さん、食べれたねぇ。えらい、えらい。」
息子は私と夫に頭を撫でられて、とても嬉しそうだった。マスターならどうにか人参を食べさせてくれるかもと期待して、息子の嫌いなものを伝えたが、本当に出してくるとは思わなかった。
私達に少しずつおすそ分けすることで、息子は綺麗に料理を食べきった。夫は息子が自分でお皿を空にさせようと、おすそ分けをねだっていたように思えた。
「デザート、お願いします。」
私のその声に、マスターは片手を挙げて答えた。私と夫は、一緒に食後のコーヒーを注文した。ここは喫茶店、コーヒーは言わなくてもわかる通り、とても美味しい。
息子の口元を紙ナプキンで拭いていると、マスターがデザートを持ってやってきた。相変わらず早い。
「お待たせしました。お誕生日ケーキと、並木さん用の抹茶アイスです。」
さっき、お手洗いに行ったときに頼んでおいた。誕生日なので、デザートはケーキにしてくださいと、でも量は抑えて、小さくていいですと、マスターはそれをちゃんと守ってくれた。
丸い手のひらに載るほど小さなケーキ、大きな苺が上にのっている。白いお皿に『3さいおめでとう』とチョコペンで書かれ、その横には星型にくりぬかれた一口サイズのゼリーが二つ。
ケーキがちいさいから、細い蝋燭三本は、お皿の空きスペースに少しだけ置かれた綿あめに刺されていた。
マスターが蝋燭に火をつけた。
「彼方、三歳おめでとう。」
「ハッピーバースディ、彼方。」
他のお客さんのじゃまにならないように小さな声で、お誕生日の歌を歌う。マスターも歌ってくれた。
ふ~と息子が蝋燭の火を消すと、夫と二人で拍手をする。いや、店内のお客さんも私達の席を振り返って、小さく拍手してくれていた。私は、頭を下げて、その行為にお礼をした。
「コーヒー、お持ちしますね。」
「お願いします。彼方、美味しい?」
役目を終えたマスターが私達のコーヒーを取りに一度下がる。それを見送りながら、夫が蝋燭を取り除いてくれるのを待ちきれず、嬉々としてケーキをほおばっている息子に尋ねる。
「美味しいよ。これ、あの黒いエプロンのおじちゃんが作ったの?」
「そうだよ。おのおじちゃん、上手でしょう?」
にこにことほっぺにクリームをつけながら、息子が聞くので私は笑って答えた。そんな私達を夫も笑ってみていた。ちなみに、夫の特別メニュー用のデザート、抹茶アイスは夫が譲ってくれたので私が頂いた。
あの日の私は、この幸せがいつまでも続けばいいなと思っていた。願っていた。
「いらっしゃいませ。」
一度、家に戻り、息子を着替えさせ、私達親子は思い出の喫茶店にやってきた。まだ、夕食には早い時間なので、他にお客さんはいないようだ。
「テーブル席いいですか?」
いつも通り笑顔で私達を迎えてくれたマスターに、そう告げて壁際がソファのテーブル席に座った。
あえて、あの日とは違う、窓際にテーブルを選んだ。なんとなく、そうしたかったのだ。
メニューを開くと、あの日はなかったお子様ランチが増えていた。値段は350円。
「彼方は、これにする?カレーとから揚げついているってよ。」
この店には珍しく、お子様ランチには文章で内容がついていた。ごはんはカレー、オムライス、ピラフから選べるようだ。
カレーも好きな息子だから、今日はそれがいいかもと思って勧めるとうなずいたので、カレーのお子様ランチと、自分用のきのこパスタを注文した。きのこパスタは、この店では定番のメニューで、マスターの気分次第で、クリームだったり、和風だったりその時によってアレンジが変わる他の店では考えられないメニューだ。よく昔、頼んでいた。
手際のいいマスターは、すぐに料理を運んできた。今日のきのこパスタは、ペペロンチーノ風のようだ。
よくニンニクが効いていて、安定のマスター品質のお味だった。
息子が頼んだカレーのお子様ランチは、山型のごはんと子ども用であろう通常より黄色いカレーが添えられ、子どもの好きそうなから揚げやウインナーなどがその横に並んでいた。日の丸の旗は今回はなかったが、その替わりか、から揚げなどおかずには星や車などの色とりどりのピックが食べやすいように刺さっている。
お子様用のデザートはお出ししておきますかと尋ねられたので、全体の量を見たかった私は、一緒に出してもらうことにした。今回は、息子を驚かせる必要もなかったのもそうした理由だった。
にこにこと嬉しそうに食べる息子に、私は少しささくれ立っていた心を癒しながら、食事を進める。今日の子ども用デザートはプリンだった。息子は小食であることを覚えていたのか、通常サイズなのかわからないが、小さめのサイズでほっと胸の撫で下ろす。
これなら息子も食べきれそうだと安心する。私も比較的小食の部類で、息子が食べきれないものを食べきる自信がない。この店の料理は値段のわりに量は通常サイズ、私には少し多い。自身の頼んだ料理さえ食べきれるかどうかというところ。
よく夫に手伝ってもらっていたなと、独身時代を懐かしく思う。懐かしく思うだけ、時間はあれから過ぎている。私も、夫も、少しずつあの頃とは変わったんだろうと息子を見ながら考えた。
家に帰ったら、夫とどんな答えを私達は出すだろうか。
その喫茶店は、選択の場所、思い出の場所。
美味しいコーヒーを飲みながら、少しだけ考えに耽る場所。
私にとって、この小さな喫茶店は人生とともにある。
誤字脱字は、見逃してくださると幸いです。