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プロローグ 雨の平和の森に来てしまいました。

ナツ様とのコラボ作品です。


雨がふってるよ…おかしいな…さっきまでにはファモウラの戦場にいたはずなのに…。


木々の間に座り込んであたりを見渡した。

空間術にでも飛ばされてケレス森国にきたのかな?


濡れそぼる長衣に気持ち悪さを覚えながら黒い髪から顔に滴り落ちる雫をぬぐった。


「大丈夫か?」

誰かが私に声をかけた。

とっさに武器(エモノ)のブーメランをいつでも飛ばせるように握った。


戦場が染み付き過ぎてることにため息をついて静かに視線を声の方に向ける。


「風読みの民?」

私は思わず武器をはなして呟いた。

美しい民族衣装を着た緑の髪の翼人の男性がたっていた。


「かぜよみのたみ?」

怪訝そうに彼はいった。

風読みの民は地方出身の私はあまり見たことがない。

見つめ合ってニヘラと笑った。

少しおかしくなってるんだと思う。


そのまま傭兵にあるまじき失態…彼が敵なら間違いなく殺されかねない失態…気絶をしたのは…いつもと違う綺麗なものを見すぎたせいだと思いたい。



「大丈夫かな?母さん?ダメにならないかな?」

少しずつ意識が戻ってきて聞こえてきた。

「どうだろうねぇ…このお嬢さんはだいぶ場数を踏んできたみたいだけどね…いつものたたびとと少し毛色が違うけど、本人次第だしね。」

優しそうな女性の声がした。

「最初から言葉が通じたのが不思議だけど…早くよくなってもらいたいよ、オレの嫁さんだし。」

「嫁!」

私は男性の声がしたところで起き上がった。

「あ、元気そうでよかったよ。」

最初にあった男性が笑った。


周囲を見回すと木造の素朴な作りの部屋でそこに心配そうに見つめるさっきの男性と年配の女性の風読みの民(仮)がいた。


「あ、あの…嫁って。」

しばらく寝てない柔らかい布団を握りしめて聞いた。

平和すぎてしんじられない。

「あ~、まあたたびとは嫁にしないとダメに…。」

男性がいいかけたところで女性が男性の肩を叩いて黙らせた。

「起きられてよかったよ、本当に言葉が解るんだね、であんたは誰だい?」

女性がニコニコと言った。

「グーレラーシャ傭兵国、傭兵ギルド所属、高等棍士(コウトウコンシ)、蒼天のナリディア…ナリディア・カザフです。」

思わずこたえた

「傭兵?あんたみたいなお嬢さんがかい?」

女性が驚いた顔をした。


グーレラーシャ傭兵国人なら…パーウェーナ世界人ならよっぽど辺境じゃない限りこの反応はない。


ここは…異世界なのかな?


「…オレはセリック、あんたは異世界から来たんだろう?」

男性がズバリ言った。

「そういうことになると思います。」

つまり…助けは来るか来ないか半々かな?

「雨季に落ちてよかったな、もうすぐ…。」

男性が言ったとたん女性が頭をどついた。

「ショックだろう、もう少し休んだらどうだい、私はアルダとよんどくれ、セリックの母親だよ、さあ、お休み。」

優しく女性…アルダさんが私をふかふかの布団に寝かせてくれた。


ああ、平和だ…実家に帰ったみたいだ。

もし、ここから帰れたら…しばらく仕事は受けないで実家に帰ろうか。



「なんで本当の事言わないんだよ、オレは嫁にする気満々だぜ。」

オレは艶やかな黒髪の乙女を見ながら言った。

「あんたはガツガツしすぎてるよ、だいたいきたての女性にそれはないだろう?」

母さんが起きたらスープでもと立ち上がった。

「オレが見つけたんだ、他のやつになんか見せない。」

オレは呟いた。

「父さんが帰ってきたら口説きかたでも聞いておきな…まあ、傭兵なんていってるだけあってあんたにかなうかどうか。」

母さんが手を出すんじゃないよといいおいて部屋をでる。


…雨の日なのになにかに呼ばれるように出ていった。

木々の間に倒れこむように座り込んだ黒い髪を髪飾りでまとめた女性が青い瞳を開けた。


水を含んだ髪から滴る雫をうっとおしそうに拭う見たこともない服の女性…。

あたりを見回しながらも緊張している様子が見てとれて思わず声をかけた。


かぜよみのたみ?と言った声に聞き惚れた。

そしてあの笑顔…オレは確信した。

タリム様がオレのためにつれてきてくれたただびとだ。


近所のラス兄ちゃんとミカ姉ちゃんみたいな運命の出会いに決まってる。


そう思ってる間に彼女気絶した。

あわてて背負ってうちに連れて帰った。


こんこんと眠る彼女をみてダメになるかもしれないと恐怖を覚えて母さんに聞いているところで青い目が開いた。

しっかりした意思のある瞳にオレは嫁にすると心に決めた。


なのになぜ邪魔するんだ、母さん。


「いないよな…すこしくらい…。」

安らかに眠る彼女ナリディアに唇をよせた。


その瞬間オレ視界を反転させた。

気がつくとオレはナリディアにくみしかれていた。



「…あれ?敵じゃない?」

私は反射でくみしいたセリックさんに驚いた。

「離してくれ、オレが悪かった!キス許可を取ってからする!」

セリックさんうめいた。

「すみません、どうも戦場と勘違いしてて…。」

まあ、さっきまで?ファモウラの戦場にいたんだけどね。


「セリック!このバカ息子!」

アルダさんがスープをサイドテーブルにおいてお盆を振り上げた。

「ごめんなさい。」

私はあわててセリックを解放した。


アルダさんはそのままセリックをお盆バシバシ叩いた。


「わー、母さん!やめてくれ!」

セリックさん頭かばう。

「お嬢さんに不埒な事をしたんだろう!」

アルダさんがますます叩いているので起き上がってお盆を押さえる。

「すみません、私がのぞきこんでくれたのを押さえつけてしまっただけです。」

私はお盆を押さえながら謝った。


「本当に傭兵なんだね。」

アルダさん感心したようにいった。

「感心されるような事じゃありませんよ。」

私は苦笑いをした。


戦場生活が長くて身体反応するだけで。


「まあ、バカ息子はほっておいてスープでも飲みな。」

アルダさんが手にスープカップを持たせてくれた。

「ありがとうございます。」

故郷より薄味のそのスープは戦場で味わうよりよっぽど美味しかった。

「母さん、人をバカバカ言わないでくれよ。」

セリックさんが頭を撫でながら言った。

「バカだろう?少し待ちな。」

アルダさんがセリックさんを睨み付けたところをみて故郷の母親を思い出したよ。


やっぱり口うるさくて心配症で…でも優しい母親…。

パーウェーナ世界に帰れたら故郷に帰ろう。


しばらく休んだ方がいいかもしれない。


なんて思ってたのにまだまだ帰れないようです。

それはまた別の話。

駄文を読んでいただきありがとうございます♪

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