番外編 赤熊親父の里帰り。1
「息子が結婚することになった、家に帰るがお前らもくるか?」
傭兵仲間の赤熊におやっさんが言った。
「グーレラーシャ傭兵国にか?」
おやっさんがグーレラーシャ傭兵国出身なのは明白だ。
赤茶色の長髪は編み込んでる特殊な髪型だし。
第一酒を呑まない。
モテる癖に女遊びもしない。
...あの国の男は女房を溺愛するらしいからな。
「神無月、来ないか?」
声もいい声だよな。この美中年め。
花街にいくとデボネアちゃんに
赤熊さんはこないの~。
って言われるんだぞ。
どうやって知り合ったんだ。
「行きますよ。」
おやっさんの息子興味あるし。
さぞかしいい男なんだろうよ。
おやっさんはのまないくせに
沢山酒を買い込んでた。
飛行挺の荷物のオレらの
予備分まで計算して買ってたな、
あんなにどうするんだ?
グーレラーシャ傭兵国は賑わいを見せていた。
そういえば、国王が異世界の賢い黒ウサギと婚約したって新聞で読んだな。
もうすぐ結婚とか。
「ここが私の家だ。」
家?屋敷の間違えじゃないか?
グーレラーシャ特有の中庭を内包しているらしい平屋の家屋は屋敷と言うのにふさわしい。
「遠慮するな、入れ。」
おやっさんはそういって
すたすたと入って言った。
「お帰りなさいませ、旦那様。」
上品な使用人とエキゾチックな豪華で上品な内装に茫然自失だ。
おやっさん、あんた何者?
「ラシティウス!お帰り~。」
綺麗な熟女がおやっさんに飛び付いた。
「アンネ。」
おやっさんは抱きしめて長々と熟女にキスをした。
「うん、もうラシティウスったら、お客がいる前でやらないでよ。」
熟女はおやっさんを軽くにらんだ。
「...何を今さら、飛びついて来たくせに。」
おやっさんが男のオレからみても色気のある顔で微笑んだ。
「この淫乱中年!」
い、淫乱中年?この熟女すげー。
「どちらさまで?」
多分、奥方だろうが。
「妻のアンネだ。」
おやっさんは奥方を抱き締めたま言った。
「ラシティウス、いい加減離してそれじゃ息子と同じよ。」
奥方が言った。
「あの堅物がよく結婚する気になった。」
おやっさんはやっと奥方を離した。
「だって、りっちゃん可愛いものメロメロのアマアマよ。」
おやっさんと奥方も大分そうだと思うが。
もっと上がいるのか?
「求愛中の男なんてそんなもんだろう。」
そうなのか?オレの想像もつかん。
「土産だ。」
おやっさんは買い込んだ大量の酒を出した。
「キャー、ラシティウス!ありがとう♪」
アンネさんは大喜びだ。
「ワインよー、嬉しい。」
また、おやっさんに抱きついてキスされてるよ。
甘過ぎる。
「もう、ラシティウスったら!」
アンネさんが確実に煽ってると思います。
「あー、菓子があまー。」
気が遠くなるほど甘い。
...お茶も駄々アマだし。
「あー、外国人だもんね、砂糖抜きでお茶いれてちょうだい。」
アンネさんが言ってくれた。
「私はもう少し甘いほうがよいな。」
おやっさんが言った。
「明日息子を訪問するから磨いてやってくれ。」
おやっさんがアンネさんに言った。
「わかったわ、かかりなさい。」
アンネさんが使用人に命じた。
「かしこまりました。」
「皮むかれるかと思ったぜ。」
斧使いのベギターテが言った。
「お湯使い放題凄いよね。」
湯あたりした弓使いでエルフのネイレアが言った。
「豪華すぎだろう。」
オレも言った。
故郷ですらあのでかい風呂桶は
個人の家では見たことがない。
「おやっさんは?」
出るとおやっさんとアンネさんが居なかった。
「休まれました。」
おい、昼間っからかよ。
おやっさん、涼しい顔した獣だな。
「夕飯、ボリュームあったね。」
ネイレアが言った。
「そうだな。」
夕飯にはおやっさんは顔を出したが
アンネさんは居なかったな。
「少し暑いぜ。」
ベギターテは北の出身だからな。
ベッドも半端なくフカフカだった。
「立派に仕上がったな。」
おやっさんは微笑んだ。
アンネさんはおやっさんに
抱き抱えられてなんかだるそうだ。
「こんな立派なのきたのはじめて~。」
ネイレアがニコニコした。
女の子だよ、こうみるとこいつも。
「落ち着かねー。」
ベギターテが言った。
「神無月は着られてる感がないな。」
ま、オレは諸事情によりですから。
.......でも今回一番ビックリしたのはここじゃなかったよ。




