その22律、ウェティウス様の腕の中に帰る。
ああ、夢なら覚めないで欲しい。
ウェティウス様にお姫さま抱っこされてる。
夢かな?
「律、大丈夫か?」
いつかみた初陣の時の写真みたいに
装備を固めたウェティウス様の腕の中に
私はいる。
「夢じゃないんだ。」
嬉しくてしがみついたよ。
恐怖の1週間だった。
細胞組織を採られたり。
採血されたり。
透視されたり。
医学的なのはいいんだけど。
あのマルクって男にキスされそうな事が何度もあったし。
ローブの筋肉男の撫でる位置はどんどん下がっていくし。
いつ、繁殖実験されるか戦々恐々としてたよ。
「遅くなってすまない。」
少数精鋭でこのカータシキ魔法塔国に潜入したらしい。
傷がそこかしこに見えるけど擦り傷くらいだ。
久しぶりにウェティウス様にキスされた。
「ウェット、イチャツクのは脱出してからにしろ!」
ラース様も来てくれたんだ。
「わかりました。」
ウェティウス様が答えた。
「逃がしません、グーレラーシャの獅子共々実験して差し上げます。」
あ、変態が出た。
「ち、めんどくせーな。」
ラース様が動くより先にサルティーデス兄ちゃんが動いた。
「陛下も律もお前の好きにはさせん!」
サルティーデス兄ちゃん強いの分かってたけど魔法跳ね返すってなにさ。
と言うわけで逃げ切りました。
カータシキ魔法塔国のバリジナグ外交官が暗躍してくれたお陰で戦争にはなりませんでした。
カータシキ魔法塔国の塔王は王弟の暴走を知らなかったふりをして謝罪したそうです。
知ってるよ、一度、マルクとよくにた少し成熟度の高い男性が覗いてたもん。
どうでもいいけどさ。
「律。」
ウェティウス様がキスをしました。
ウェティウス様の部屋に今います。
帰ってここに直行ってなにさ。
「ウェティウス様、私、ウェティウス様の事が好きです。」
言うって決めたから言うね。
「そうか。」
すごく嬉しそうに微笑まれた。
「ウェティウス様...確認何ですけど...男性ですよね、女王陛下じゃないですよね。」
重要なんです。
「...だから、たまに微妙な反応をしていたのか...。」
ええ、ま...まさか女?
「私は生まれた時から男だ。」
そうなんだ、よか...........キスされたよ。
「今から証明して見せよう。」
妖しい微笑みをウェティウス様は浮かべた。
え?ええ?食べられちゃうの?
「疲れてるんでしょ?わかったからいいよ。」
まだ、そこまで決心がつかないよ。
「...まあ、散々待ち続けたのだからまてと言われればまつが。」
あー、待っててくれたんだ。
「あのさ、ウェティウス様が結婚する時はちゃんと身をひくから、それまで一番近くにいてもいいかな?」
この人と一緒にいたい。
「...何を今さら、そなたは私の伴侶となり、生涯を共にする事になっている。」
....はい?
「あのー、私、庶民なので身分的に不味いんじゃ...。」
あれ?なんか忘れてる?
「そなた、スザナが何のために養子縁組したと思ってる、名家ドーリュム家の息女はグーレラーシャの国王の伴侶に不足ない。」
あー、そうだったよ。
私、今、律・ドーリュムだったよ。
「じゃ、ずーと一緒にいられるんだね。」
嬉しくて涙が出た。
「律、煽るでない、我慢が効かなくなったらどうする。」
ええ?煽る?今のどこに煽る要素が?
ウェティウス様の腕の中で沢山キスしました。
私、もう明正和次元に帰りません。
親不孝な娘でゴメンね。
私、グーレラーシャの獅子と幸せになります。
まだ、終わりません。
よろしければもう少しおつきあいくださいませ。




