その21律、カータシキ魔法塔国に捕らわれる。
ボーッとしてても
時間の無駄なので取り合えず情報収集することにした。
「やっぱり、塔かな?」
金属格子とガラスのはまった窓の外には塔が沢山空に向かってそびえている。
部屋は最上階では無いけど。
そこそこ高い位置に有るらしい。
翼人の私はこのくらい飛べる。
だから金属格子のはまった部屋なのだろう。
「血の臭いはしない、変なシミもなし...高さもピッタリ?...なんかいやだ。」
この世界の家具やまあその他は基本的に大きい。
小柄じゃ無いけど日本人な私に大変な時もある。
よく、ウェティウス様を台がわりに使ったなぁ。
そのあとキスされまくったり、なめられたり離してくれない事多々ありました。
でも、ウェティウス様以外に抱き上げられる選択は私にはなかったし。
この部屋は多分私の監禁部屋として整備されたのだろう。
無機質で病院のようで飾りもなく。
自分を害するものは全て取り除かれている。
監視カメラも有りそうだな。
「さて、どうするかね。」
ピンチは自力でなるべく切り抜けようが異世界生活想定訓練で言われた事だ。
異世界に影響をおよぼしてはいけないから。
「どうしようもありませんよ♪」
例の異世界人研究家マルクが部屋に降ってわいた。
転移魔法かな。
「捕らわれの黒ウサギはどんな男性がお好みですか?」
いきなりそれかい。
「...ハア。」
ため息しか出ないって本当にあるんだな。
「グーレラーシャの獅子のような美形じゃないと嫌ですか?」
ウェティウス様バリなんてそうそう居ないよ。
「グーレラーシャの牙ごときワイル系美男子?」
あのね、それ黒歴史だから。
新年祭の時もなんかいいたげだったけどさ。
「あの、繁殖実験の相手ですよね。」
はっきり聞いておこう。
「バリジナグから聞いていましたね。」
やっぱりあるんだ監視カメラ。
気を付けよう。
「私は、嫌です。」
子どもは好きな人と作ります。
ウェティウス様と
あー、でも万に1つ女である可能性が捨てきれない。
その時はゆりカップルでいいかな?
「決定事項ですが、女性はデリケートですからね、少しまちましょう。」
やる気だこの男。
「グーレラーシャの獅子のような美形は準備出来ませんが、そのような方向性でいきますかね。」
マルクが言った。
「だから、嫌です。」
やなもんはいやだ。
「...あなたの口は駄々をこねるとはこの事ですか?ふさいで上げましょうか?寂しいでしょう?」
マルクが顔を近づけてきた。
「結構です。」
私が言うとマルクは笑った。
「おや、残念です、どれだけ甘いか試して見たかったのに。」
情報どんだけ駄々漏れしてるんだろう。
「あなたがグーレラーシャの王妃になる前に確保出来て良かったですよ、さすがに他国の王妃には手は出せませんからね。」
そんな王妃になる話したなんか一片たりとも出てないけどね。
私はウェティウス様のお世話係に過ぎない。
ウェティウス様はいずれどこか高貴な人と結婚するんだろう。
その時は身をひこう。
ドーリュム家の領地にでもこもろう。
「検査を受けてもらいますよ。」
マルクがそう言うと扉から入ってきた。
例のローブの筋肉男に抱えられた。
「歩けます。」
私の主張は無視された。
「ああ、彼も繁殖相手候補者です、淫乱なあなたを満足させると思いますよ。」
淫乱じゃないもん、情報なんか変じゃない?
私が淫乱ならウェティウス様とそういう関係に落ちた朝からなってたよ。
あの人やる気満々だったし。
「殿下、異世界の賢い黒ウサギの相手はぜひ、それがしに。」
渋い声で男が言った。
さっきより体の密着率が高いし
背中を撫でられてる。
気持ち悪いよ。
「考えておくよ、煽られたかい?私もぜひその口に口付けてみたいね。」
嫌だよ、この変態ども。
なんか死にたくなってきたよ。
もしもこのカータシキ魔法塔国で私が死んじゃったら、
私、あの世でもウェティウス様に会えないんたよね。
ウチの世界は魂が足りないから死んだら明正和次元の冥界だよ。
絶対に死ねない、生きて
グーレラーシャに。
ウェティウス様の腕の中に帰る。
どんな目にあっても。




