その18 律、森国の王と面会する。
ケレス森国の王様は耳がとがっててどこからどう見てもエルフ…。
ハイエルフっていうのかな?…だった。
「はじめまして、異世界の賢い黒ウサギ。」
長身の茶色の長い髪と翠の瞳の美人な王様がいった。
うーん、ウェティウス様と同じで性別判断に困るな…でも男かな。
喉仏出てるし…。
ウェティウス様いつも立襟で開けてる所見たことないから確認できないんだよね。
襟開けたら誘ってるのかとか言われて食べられちゃうかもしれないし。
「はじめまして、律・ドーリュムです。」
今日は外国の王様に公式に合ってるのでおめかししてます。
ちゃんと薄紫の足首丈長衣にひらひらの桜色のズボンなのに。
ウェティウス様の腕の中だよ~。
挨拶ぐらい普通にさせてほしい。
「ゼキフィーラ国王、私としては律を国外に出したくないとお伝えしたが。」
ウェティウス様が先制攻撃をかました。
私はケレスいっても役にたたないからいいけどさ。
「カータシキ魔法塔国のバリジナグ外交官の言うように、異世界人の知識を独占していると言う感じではないですね。」
ゼキフェーラ国王は微笑んだ。
そんな噂流してるんだ。
「異世界人の知識は公開している。」
ウェティウス様が言った。
たいしてこの進んだ世界で役に立つかわからないけどね。
「異世界の賢い黒ウサギは出したくないのですね。」
ゼキフェーラ国王が笑いながら言った。
「私の宝物なので。」
ウェティウス様は臆面なく言った。
は、恥ずかしいよ。
「そうですか、そう言う方がいるのはいいですね。」
ゼキフェーラ国王が言った。
「しかし、ケレス森国は森から恵みをもらって生活している国です...ぜひ、異世界の賢い黒ウサギには、樹木の様子を見ていただきたい。」
ゼキフェーラ国王は表情を硬くしていった。
そうだよね、森の立ち枯れか...。
「樹木の精霊の言葉が分かる人はいますか?」
絶対いると思うけど。
「精霊術師がいます、今回も何名か連れて来ていますが。」
ゼキフェーラ国王が言った。
「多分、普通に聴くと『私はもうだめだ、死ぬ』とか言っちゃって樹木の精霊は枯れるとおもうのですが。」
昨夜、昔の精霊学の教科書ひっくり返して見直したよ。
「何故それが分かるのですか?」
驚いたようにゼキフェーラ国王が言った。
報告書に上がってるよね。
「教科書に書いてありました...樹木の精霊は諦めが良いので声かけは慎重にと。」
風の精霊とえらい違いだな。
「では、なんと言えばいいのですか?」
え~と、教科書通りにすると。
「あなたはいままで私を支えてくれた、大変感謝している、私はあなたともっと居たい、だからどうしたらよいのか教えて欲しい。とか心に訴えかけ続けるといいそうです。」
私は樹木の精霊は専門外なんだよね。
「そうですか、一緒に来て話してくれませんか?」
ゼキフェーラ国王が言った。
「あの、あと、人見知りなのでよく知った術師さんじゃないとダメなそうなので、私が行っても無駄骨です。」
ウェティウス様の限界試したくないし。
ウェティウス様は今は国外でるの無理だし。
「...まことに異世界の賢い黒ウサギの名にはじぬ、賢者ですね。」
ゼキフェーラ国王が言った。
「私は、賢くありません。」
賢ければ、ウェティウス様の腕の中にいないよ。
今頃平穏無事な異世界生活送ってるよ。
...でも、いいや別に、ウェティウス様と別れるの最近寂しいし。
あの人が女でも男でもいいや。
「律殿、連れて来ている術師達に話し方を教えてくれないですか?」
ゼキフェーラ国王が言った。
「どうする?律。」
ウェティウス様はやっぱり優しい人だね。
私は世話になってるんだから。
やれって言われればやるのに。
「できる範囲でよければやります。」
きっと、グーレラーシャとケレスが今より仲良くなれるよね、少しは。
「ありがとう、律殿。」
ゼキフェーラ国王は
満面の笑みを浮かべた。
「律が行くと言うのではないかと思った。」
ウェティウス様はゼキフェーラ国王が部屋から出るとより強く私を膝の上で抱き締めた。
「...行くとウェティウス様が切れそうだし。」
帰った時が怖い。
......キスされたよ早速。
ヒフィゼ外務担当官長さんも。
ヒフィゼ外務担当官...ジャスミナ様も。
いるのに~。
「相変わらず、異世界の賢い黒ウサギは頭がいいですね。」
ヒフィゼ外務担当官長は感心したように言った。
「確かにお見事ですわ。」
少し不機嫌そうにジャスミナ様が言った。
「律は賢い黒ウサギだからな。」
ウェティウス様が嬉しそうに微笑んだ。
「早く、グーレラーシャの賢い黒ウサギになるといいですね、スザナさんが折れるといいんですがね。」
スザナお母様が何か反対しているらしい。
「まあ、いずれ折れざる得まい。」
そう言うとウェティウス様は私の首筋にキスをして印をつけた。
「陛下を煽ってらっしゃるのね。」
ジャスミナ様がつぶやいた、暗く。
「ジャスミナ、いい加減納得しなさい、陛下は律様のものです。」
は?あー、その逆転の発想はじめて聞いたよ。
「そうだな♪私は律のものだ。」
ウェティウス様は嬉しそうにそういってキスをした。
そうか、ウェティウス様は私のものなのか。
返品期間過ぎてるよね。
仕方ないから。
ウェティウス様は私のものと言うことにしておきます。
やっぱりウェティウス様に毒されてるな。
良いけどさ。




