グーレラーシャの獅子6
最近律が素直に身を任せる率が高くなってきた。
可愛いな♪
「ウェティウス様、この間の畑生育戻ったって本当ですか?」
律が資料室から飛び込んできた。
「ああ、律に礼状が来てるぞ。」
律を抱き寄せるとやっぱり静かに抱き寄せられた。
そろそろ、次の段階に進みたいのだが....。
スザナがな、夜は律をドーリュム家の部屋に帰せとうるさいし。
ダファヤ師ももう少し待った方がよろしいです。
と言って、最近の房中術の授業の相手はあからさまに、律タイプを送ってくる。
律のような小柄な身体つきに暗色系の短い髪の女など、単なる律の代用品に過ぎない。
「ウェティウス様、仕事に成果が出るとうれしいですね。」
微笑んだ律が可愛すぎて私は口づけをした。
「なれちゃったよ~、私ヤバすぎだよ~。」
律が呟いてるのが聞こえた。
慣れてどこが悪い?
これからもっと可愛がりたいと思ってるのに。
「仕事戻りますね。」
律は私の腕の中から離れて言った。
寂しい、いつも一緒にいたい。
何かあれば納得するのか?スザナ?
「えー、今度は外国の森の立ち枯れ....魔王さんの仕事だよ~。」
律が言った。
ケレス森人国から、協力要請が来ている。
まだ、外交官のみだがその内国王も来るらしい。
「魔王の仕事なのか?」
魔王はそんな仕事をしているのか?
「明正和次元ではそうなんです、この世界は知りませんが。」
そうなのか?
まあ、律を国外に出すつもりはないが。
膝の上に抱き上げた律があまりにも可愛くて胸元に口づけてしるしをつけた。
他のものに盗られたくないからな。
「ウェティウス様、恥ずかしいよ。」
律は少し身もだえた。
「今は二人だけだ、律。」
そう、本当に珍しく二人だけだ。
いっそこのまま...。
邪魔が入った。
サリュウス秘書官が入ってきた。
「陛下、ラーガラース烈王国の先代国王陛下がベルティウス様のところにおいでになっていて、お会いになりたいそうです。」
ラース様が...珍しいな祖父上様のところにおいでなのか。
「今は大丈夫か?」
仕事をサボると律が怒るからな。
「はい、予定より速く進んでおりますので。」
とサリュウス秘書官が答えた。
最近は余裕があるな。
律効果だな...やはりこの腕の中より離せない。
「律も連れていく、いいな。」
ラース様も多分、異世界の賢い黒ウサギに会いたいはずだ。
ただ単に私が離しがたいだけだが。
「はい、ドーちゃんよろしくね。」
サリュウス秘書官が答えた。
「...頑張ります。」
律はため息を付きながら言った。
律は私の世話係だから連れてのは当然の権利だと思うが。
「ラース様。」
ラーガラース烈王国の先代国王。
ラーガラースの初代国王は祖父上様と同世代だ。
ラース様の結婚が遅かった為に今の女王陛下は私より20才ほど上の70才代のはずだ。
祖父上様とは戦友らしいな。
「おお、ウェット、相変わらず綺麗だな。」
ラース様は私を小さい時からしっていてウェットと呼ぶ。
「お久しぶりでございます。」
律を下ろして丁寧に礼をして、また律を抱えた。
「...お前それじゃ、ベルと同じだろう。」
ため息をついてラース様が言った。
祖父上様もやはり、今は亡き祖母上様を腕の中から離せなかったようだな♪
「ウェティウス様、下ろしてください。」
律が可愛らしく言った。
何をする気だ?
仕方なく下ろすと律は丁寧にグーレラーシャの礼をした。
「律・ドーリュムです、ウェティウス様のお世話係をしてます、よろしくお願いいたします。」
やはり律は礼儀正しいな♪
「おー、オレはラーガラースの先代国王ラースだ、嬢ちゃんが噂の異世界の賢い黒ウサギかい?」
ラース様が言った。
「はい、あの~今、そこに置いてある、黒い液体はもしかして大豆...豆で作ったのですか?」
律、何を言っている?
確かに酒盛り(ラース様だけだが、祖父上様は茶だな)中のテーブルに黒い液体が置いてあるが...。
「嬢ちゃん、醤油を知ってるのかい?」
その言葉を聞いた律はテーブルに駆け寄った。
こちらへ戻らないのか?律?
「本当に醤油だ、もしかしてこの世界、明正和次元と近いのかな?...欲しいな醤油。」
ショウユとはなんだ?
「いいぞ、ムリュフ精霊国の魚醤を元にうちの国特産の豆で作ったんだが、なかなか売れなくてな、商品のアイデアが有ったら教えてくれ。」
ラース様は律に黒い液体の入った小瓶を渡した。
「知ちゃんと相談してみます♪」
石川嬢は今、出店準備中だったな。
「おー、もう一人の異世界人か、頼んだぞ。」
ラース様が言った。
「律。」
そなたをこれ以上腕の中から出すのは限界だ。
私は律を抱き上げ椅子に座った。
「ウェット、もう少し離してやれよ。」
ラース様が言った。
「無理です。」
律をこれ以上離して置けない。
「無理じゃな。」
祖父上様も分かってくださっているようだな♪
「わー、本当にベルそっくり、嬢ちゃん苦労するなぁ。」
ため息をついてラース様が言った。
「なれてますから...。」
わー、なれちゃったよ、私。
と律がつぶやいた。
いい傾向だな。
「律。」
律の唇をむさぼった。
「ラース様や陛下のお祖父様がいるのに恥ずかしいよ。」
律はいつも通り恥じらった。
何を今更...。
もう一度律に口づけた。
律、そなたは誰にも渡さない。
いつも私の腕の中にいるが良い。




