その12 律、地球人の菓子職人に会う
ニョビサト博士がうるさいので、本日は博士の異世界人研究所に来てます...もちろんウェティウス様も一緒ですよ....ハア。
「律と同じく黒い髪だが、目の色は茶色だな。」
ウェティウス様、あんまり好奇心まんまんで観察しないでやってよ...というか私の手を離して下さい。
「こんにちは、栗落花 律と申します、地球の日本人さんですよね。」
グーレラーシャとはまた違う蓮っぽい螺鈿細工のソファーに座った、髪の長い女性はどうみても日本人だったよ。
「に、日本語?あなた、日本人ですか?」
その女性は、ビックリしたように言った、ごめんね、日本人なんだけどさ~。
「日本人だけど、地球に住んでるけど、私、明正和次元人なんですよ。」
私がそうに言うと女性は小首をかしげた...ああ、戸惑ってるよ、一応言っておかないと、ギャップが出るって異世界生活想定訓練で聞いたしな。
「律とは違う世界の人なのか?」
ウェティウス様が私の手を撫でながら言った、いい加減離して下さい。
「凄く近い世界なんですよって、この人の言葉わかるんですか?」
ウェティウス様に聞いた。
「律の言葉しかわからん、だか推測するとそうかと思った。」
...凄い、ちゃんとやれば出来るんだね、この人。
「あの、きわめて近い世界ってどうゆうことですか?」
そうだよね、私も説明出来るか不安だけど...。
「ま、紙の表とその繊維の中くらい似てて、下手すると同じ人がいます、あんまりいませんけど。」
だから、あの世界、ソウトントンが唯一来ちゃった異世界人を帰せない世界なんだよね、確認されてるのに。
「...同じ日本人だけど違うのね、でも日本人ですよね、ああ、日本語~。」
日本語に餓えてたんだね...。
「あ、名乗り忘れてました、石川 知美です、ああ、栗落花さんと一緒にいたいわ。」
...ごめん、無理、絶対無理、石川さんにウェティウス様の所業は見られたくない、同じ日本人だけに嫌...な、何?お願い、かじりたそうな顔で見ないでよ、指。
「律、話はすんだか?」
もう、限界ですか?ウェティウス様?
「もう少しです。」
早くしないと甘噛みされてしまう。
「........そうだ、確かここに。」
自動翻訳符が異世界遭難緊急セットに入っていたはず、私は体質的にいらなかったから忘れてたよ。
「離して下さい。」
石川さんに近づこうと立ち上がろうとしたらだきよせられた、なんでさ~。
「離したくない。」
...王宮から、テリトリーから出したから逃げそうで不安なのかな、でもさ、ある意味この国、ウェティウス様のテリトリーじゃん...この獣陛下め~。
「逃げませんから大丈夫です。」
逃げられる気がしない。
「異世界の賢い黒ウサギが陛下に囲われてると言う話は本当だったんだね。」
今まで、私と石川さんの会話を観察してたニョビサト博士がニヤニヤしながら言った...いったいどこでそのアダ名仕入れたの?
「栗落花さんその人誰ですか?」
石川さんが聞いた。
「石川さん、本人に自己紹介させるのでこの符貼らせて下さい。」
じたばた、何とか陛下から逃れようとしてるのについに膝の上に抱き上げられたよ、何で私非力なのさ。
「律、何をするつもりだ。」
符を貼るためにちょっと離れようとしただけなのに、わーん。
「私がそばにいくわ。」
石川さんが来てくれたので額に自動翻訳符を貼らせてもらった。
虹色のような乳白色の光を帯びて、自動翻訳符はとけて、額に吸い込まれていった、これでよしっと。
「ウェティウス様、石川さんに自己紹介してあげてください。」
...私の首筋にキスしてないで、さっさとしてください、恥ずかしいよ~。
「...律の首は細いな...私は、この国グーレラーシャ傭兵国の王、ウェティウス・グーレラーシャだ。」
さっきまで、人の首にキスしてたと思えないほど、高貴な雰囲気あったよ、膝に私、抱いてて台無しだけどさ...あれ?王国じゃなかったっけ?傭兵国?
「ああ、わかります、この国の国王陛下、ウェティウス・グーレラーシャ様ですね。」
成功したよ、地球人にも効くんだね、石川さん、凄いや、よく、ウェティウス様の名前呼べるよ、噛まずに。
「デュカス・ニョビサトです、オズペナ知識国出身の異世界人研究者です。」
ニョビサト博士ってこの国の人じゃないんだ...ウェティウス様、お願いだから今キスしない.......しやがった、もう、恥ずかしいよ、石川さんの前で。
「ひどいよ、少し自重してくださいよ。」
私が抗議すると、ウェティウス様は妖しく笑って言った。
「律の唇が目の前にあるのにか?」
何か、エロエロしすぎるよ、その発言。
「...御二人も甘いけど、こっちの御菓子もやっぱり、甘すぎるわ。」
私、甘くありません、陛下がエロ過ぎるだけです。
「オズペナの御菓子より甘いね。」
ニョビサト博士がそういいながらもぱくぱく食べながら言った。
「私、パテェシエなんです、味覚破壊されそう。」
...パテェシエさん。
「栗ようかん食べたいです、作って下さい!」
大好きなんですよ、甘さ控えめの栗ようかん。
「栗落花さん、私、パテェシエだから、洋菓子専門なのよ。」
ああ、そうだった...和菓子職人さんだったらなぁ。
「律は甘いものは苦手かと思っていたが。」
ウェティウス様が言った。
「駄々甘がだめなだけで、日本人一般女子並みには甘味好きです。」
ああ、温泉饅頭、華湯亭のがおいしいよね...チーズケーキでもいいや。
「チーズケーキとかどうですか?」
私がそう言うと石川さんはうなずいた。
「材料、ありそうだからできるわよ。」
そう言う視点で食材みるんだね♪
「石川さん、よろしくお願いします、あ、でも、いつこられるんだろう。」
私を抱えてる人、絶対に一人じゃ出してくれないよね。
「パテェシエとは、菓子職人か。」
あ、ウェティウス様、やっとつながったんだ。
「ええ、そうです。」
石川さんが言った。
「...では、一度、その菓子をだべさせてくれないか?」
ウェティウス様、甘いもの好きだもんね。
「はい!」
石川さんが嬉しそうに言った。
「ニョビサト博士、必要な物品を聞き出してくれないか?王宮料理人に手配させよう。」
あ、そうしてくれるんだ、もしかしたら近々駄々甘じゃない御菓子が食べられるかも!
「石川嬢できたら連絡してくれ、迎えをよこす。」
わーい、陛下、ありがとう♪独り占めしないよね、ウェティウス様の性格的に...あ、私は独占欲出されてますが。
「はい、よろしくお願いします。」
石川さんの目がキラキラしてるよ。
「律と楽しみにしている。」
うれしいな、ありがとう♪チーズケーキ♪
.........その良いこと言った直後にキスですか。
「本当に甘甘なんですね。」
石川さんに言われたよ...。
「異世界の賢い黒ウサギ、あの紙まだありますか?」
ニョビサト博士がキラキラした目で言った。
「自動翻訳符は一枚しか持ってません。」
私に必要無いものだし、補充しなかったよ。
「残念です、また、お話聞かせて下さいね。」
ニョビサト博士がキラキラした目持続で言った。
「機会があればな、律、帰るぞ、石川嬢、ではまた。」
ウェティウス様は最後まで私を下ろさず、赤ちゃん抱っこしやがりました。
「陛下、ウェティウス様、歩けるから下ろして下さい。」
本当にこの人はもう。
「嫌だ、このまま帰るぞ。」
何で、抱え込み続行中なのさ、カータシキ魔法塔国のバリジナグ外交官帰ったよ、一応。
「何、この人はもう。」
困ったよ、石川さんに生暖かい目でみられてるよ。
「王都見学させてやる。」
ええ、それはうれしいな♪
「だから、おとなしく抱かれてろ。」
ええ、はずかしいよ。
だから、サルティーアス兄ちゃんとか、警護官の人、私服で来てたんだね。
陛下、ウェティウス様、王都見学させてくれるのは嬉しいけど頼むから、赤ちゃん抱っこはやめてください、絶対に逃げられない自信があるからさ、せめて、手をつなぐくらいでいこうよ、ね。
ソウトントン→空飛ぶ人参です、紫世界の魔王様にも出ています、一ヶ所出演しています。




