その11 律、仕事に出る。
律・ドーリュムです、職業、ウェティウス・グーレラーシャ陛下の世話係です...なにすりゃいいんですかね?
「律、何をしてる。」
ウェティウス様に聞かれました、何ってする事ないから環境調整の基本、整理ですよ。
「サリュウス秘書官、ここは終わりました。」
昔の資料整理は面白いです。
「ありがとう、ドーちゃん、面白い資料あった?」
ドーちゃんはアッヴィーザ・サリュウス秘書官さんがつけた呼び名です、サリュウスさんはキリッとしたお姉さまですがやさしくしてくれます、子ども扱いかな。
「これ、陛下の即位式の写真ですか?」
いつもの暗色系の衣装と違って、華やかな衣装を着たウェティウス様が写ってました、いつもは、たて襟、長袖、足さばきの良いように真ん中にスリットの入った膝たけの長衣、ズボンにマントだよね...美人なのに...頭にサークレットって言うか、幅広の一応、浮き彫りのすこし入った銀の輪、髪も編んでるし昼間触ると固いです、何か入ってる?大きな剣、腰に下げてるし。
「...そうだが、なんだ、律、名前で呼んでくれないのか?」
寂しそうに言われました、でも仕事中だしね。
「わー、陛下、若いですね。」
ゲミギューダ・ニノミ内務担当官(男)が写真を見ながら言いました、うん、若いよね。
「まだ、6年前なのだが。」
ウェティウス様が言いました、へー、ちょうど50才で即位したんだ。
「陛下、普段も、もっと綺麗な格好すれば良いのに...そんだけ綺麗なんだから、観光客よせに。」
綺麗な王族、観光の客よせパンダにぴったりです、甘いお菓子は...もう少し甘味控え目で、料理ももう少し薄味がいいかな。
「...良い案ですな♪」
モッローファ・ガナリス内務担当官長が執務室に入ってきました。
「来月は、陛下の御生誕祭が有りますから、
そこから、いかがですか?」
サリュウス秘書官さんが予定を見ながら言った...生誕祭...誕生日なのか、来月。
「私は、そう言うのは、苦手だ、律と一緒ならいいが。」
ウェティウス様が言った、ええ?嫌だよ、美人の引き立て役じゃん。
「良いですぞ、律様の衣装も作りましょう、良いですな♪」
ガナリス内務担当官長さんが言った、何がいいのさ、無駄遣いしない。
「陛下のだけで良いですよ。」
美人の引き立て役は、いくら私でも嫌だよ、目立たないに限るし。
「律、名前で呼べと言った。」
...仕事中に抱き締めて顎に手をかけないでほしい。
「今、仕事中だし、公私は分けましょうよ。」
仕事中は陛下とみんなみたいに呼びたいよ、目立つし。
「ウェティウスだ、律。」
..........キスするなよ、仕事中だし、公私分けて、お願い。
「わかりました、名前でもなんでも呼ぶから仕事に戻ってください。」
わーん、みんなにガン見されてるよ~。
「わかった。」
嬉しそうに微笑んでウェティウス様は仕事に戻った。
「すみません、仕事の効率下がるようなら、私、辞めますね。」
昔読んだ物語で謎のお妃様に王様が溺れて国が滅んだってのあったよ、怖いよ。
「いえ、むしろ、効率は上がっておりますぞ。」
ガナリス内務担当官長さんが言った。
「そうよね、陛下、デスクワーク苦手で、前は良く脱走してました、いないなって、庭見ると剣もって素振りしてたりするのよね。」
サリュウス秘書官さんが言いました。
「あー、警護官と手合わせしてた事もありましたね。」
ニノミ内務担当官が遠い目をした。
....キスくらい大したことないわけね、わーん、嫌だよ。
「頑張ってるんですけど、基本的に武人だからね、先王陛下も陛下が50才になるの待って位譲って、身分隠して、武者修行してるですよね、伝統的につぎの代の孫に教える為にしてるとか。」
とサリュウス秘書官さんが言いました、わー、武人ってそう言う伝統もあるんだ、ウェティウス様の師匠はお祖父ちゃんなんだね。
「やっぱり、ドーちゃんがいる方がやる気出るのかな?侍女にお茶用意させるからもっていって、癒してやって。」
サリュウスお姉さまは言いました、逆らえないよ、執務室の影の実力者だもん。
「律、この案件はどう思う?」
あのさ、私、素人よ...あ、ビエギエルの豆の生育が悪いんだ。
「土地の精霊に聞いたらどうですか?」
私の手を握って離さなかった、ウェティウス様はびっくりしたようだ。
「それは...そんな事ができるのか?」
うん、本業だよ。
「できますよ。」
ここいるよりやくにたつよ、多分。
「ムリュフ精霊国の術者のようだな、律は。」
さあ、私は環境系しかわからないけどね。
「まあ、近い内に律を伴って視察しようか。」
うん、行くよ、楽しみだな♪
「さて、少し、やすむか。」
...膝の上に抱き上げないでください。
「律、料理人がそなたの為に甘さ控え目で作った、焼き菓子だ。」
陛下、いや、ウェティウス様が可愛い細工の焼き菓子を手に取った...今日は自分でたべるんだ...っておい...............ついにやりやがった、口移し、お菓子は美味しいけど、まだ私には甘過ぎる....って感想じゃなくて、あ、見られてるよ...侍女さんに生暖かい目で。
「律、美味しかったか。」
何がそんなに嬉しいんだ、その妖しい微笑みはなにさ。
「...甘いです。」
それしか言えん。
「私も甘かったぞ、律の唇がな。」
この獣系女王陛下め....そんな時でも綺麗って思える自分が変だ。
「さて、今度は律に食べさせてもらおうか。」
く、口移しは、勘弁してください。
「...癒されてるみたいね、良かった、ドーちゃんありがとう、尊い犠牲は忘れないわ。」
サリュウスお姉さまが物陰から見てるよ。
「陛下、頑張れ、押して、押して押しまくるのですぞ。」
ガナリス内務担当官長も見てる。
「陛下、色気駄々もれですね、ドーリュムさん、このまま、食べられそうですよ。」
ニノミ内務担当官さんが冷静に言った。
食べられたくないよ~。
「律、たべさせくれないのか?」
ウェティウス様は私の顎をもって自分に顔を向けさせた。
「口移しは、嫌です。」
そういって高級そうなお皿からウェティウス様の好きな駄々甘い菓子を手に取り食べさせようとした。
「律は可愛いな♪」
え、あの、指ごと食べないでください...甘噛みですか?...なんかいたくないけど、嫌だ。
「仕事に戻りましょう。」
もう、仕事中もエロエロ続行中なんだね。
「少しだけまて。」
...........またキスされたよ。
「律は、どこもかしこも甘いな。」
私はお菓子じゃありません。
「整理して心を落ち着けよう。」
もう一度、昔の資料の整理に戻りました。
「律は働き者だな。」
ウェティウス様の声がしますが集中です。
「律は可愛いな。」
おい、仕事しろよな。
「ウェティウス様、私が仕事の邪魔なら、今すぐ、ここから出ていきますよ。」
少しははっきり言っておかないと。
「...すまなかった、真面目に仕事するから出ていかないでくれ。」
そう言うとウェティウス様は仕事を再開した。
「やっぱり、効率上がってるわね、ドーちゃん効果ね。」
サリュウス秘書官さんはそういってくれたけど、陛下、ウェティウス様は本来出来る人なんですよ、ただ、デスクワークが苦手なだけで...って致命的じゃん、頼むよ、ウェティウス様、なるべくそばにいるからしっかり仕事してくれよ、世話係って何していいのかいまいちわからないけどさ。