その9 律、異世界召喚した国が判明する
女王陛下、陛下、ダメ、やめ...重いよ~、陛下。
「律様、着衣の乱れはありませんの?」
ダファヤ師さんの声がする。
「全く、ありませんので早く、入って、助けてください。」
今日は何故かやる気満々だった獣系女王陛下がキスしまくって、私をベッドに運んで押し倒したところで昏倒いたしました、もう、今日は終わりだと思ってたから助かったけど、この見事な意識不明は心配です...と言うか重いよ~誰か~助けて~。
「陛下も、詰めが甘いですわね。」
ダファヤ師さんは房中術の人材さん(男)にお願いして私を陛下の下から出してくれたました...陛下がやる気満々だったから待機していたそうで、今回のような不測の事態にも対応してくれました。
「本当は、色事に免疫のない、律様対応の予定でしたのに...。」
ダファヤ師さんは、手配してくれた医師の診察を受ける陛下を見ながら言った。
「さっきの陛下の言動も見られてたんだ、恥ずかしいよ。」
甘い唇ってなにさ、ハチミツ塗ってないよ。
「何を、いまさら、色事は私の...ダファヤ家の担当です、いずれカギュレヒムも引き継ぎますのに。」
カギュレヒムさんの方が友達だけに恥ずかしいよ。
「寝ているだけです、お疲れなんですね。」
そうなんだ、昏倒するほどの疲労ってなにさ、この体力だけはある陛下が、昼間の仕事なんだったんだろう?
「ビハシェリムさん!陛下がお倒れになったと聞いたのですが。」
スザナお母様が急ぎ足で入って来た。
「スザナータさん、静かになさいませ、寝ているだけだそうですわ。」
ダファヤ師さんはスザナお母様に言った。
「そうですか。」
スザナお母様はホッとした顔をした。
「...ねぇ、スザナお母様、陛下、昼間にいつもと違う行動したかな?」
多分、頭使ったり、気を使ったりする方向だよね。
「律、いたのですね、ええ、カータシキ魔法塔国の外交官と昼食を共にしたはずです。」
カータシキ魔法塔国の外交官か、何しに来たんだろう、地図で見ると遠い国だよね。
「カータシキ魔法塔国の外交官は何しに来たのかな?」
教えてくれると判断できるんだけどね、陛下の昏倒原因。
「ヒフィゼ外務担当官長ならば分かると思いますよ、律。」
ヒフィゼ外務担当官長か...。
「話、聞きたいな、スザナお母様。」
素人な私に話してくれるかな。
「呼びますよ、律。」
手のひらサイズで四角いけど端末っぽい機械で通話出来るらしい、ジャスミナ様関係者っぽいんだけど、話してくれるかな。
「ドーリュム王室管理官長、何の用ですか?」
ヒフィゼ外務担当官長は、どう見ても、ジャスミナ様のお母様っぽい人だった。
「律が今日の陛下の業務内容を確認したいそうです。」
それで納得してくれるかな。
「カータシキ魔法塔国の外交官とどのようなやり取りがあったか教えていただけますか?」
さて、素直に言ってくれるかな...ま、言わなくてもいい相手なんだけどね、私は。
「......良いでしょう、律様にも関係あることですし、お話しましょう。」
........そんな、嫌そうに言わなくても。
「カータシキ魔法塔国の外交官は、自国の技術で異世界人、つまり、律様とニョビサト博士が保護している、イシカワ・トモミさんを召喚したので権利はこちらにあると、引き渡し要求をしております。」
わー、誘拐犯なのに、厚顔無恥だな、嫌だよ、そんな国いかないよ。
「陛下は、説明を聴かれた後、お二人の身柄を渡さないと先方にお伝えしました。」
とヒフィゼ外務担当官長は続けていった...基本的に陛下の苦手そうな方面じゃないか...ハア。
「昼食時もピリピリとした緊張感が漂っていたそうです。」
スザナお母様が担当した人に確認したらしい...外交か、これまた、陛下...苦手そうだな武人だしな。
「まだ、王宮内に滞在されてるんですね。」
この様子だと...ハア。
「何故、その様に思いますか?」
ヒフィゼ外務担当官長に聞かれた。
「まず、いつもはついている中庭の魔法灯がついてないです、つまり、魔法使い対策が強化されていると言うことです。」
今も、ちょっと魔力練ってみてるけど反応ないし。
「警護官、そうなのですか?」
スザナお母様が警護官さんに聞いているよ。
「はい、魔法使い対策強化に付き灯りは機械式を使うように指示されました。」
警護官さんが答えた。
「部屋は機械式が多いので気がつきませんでした。」
スザナお母様が言った、うん、調整がしやすい機械式が室内はメインだよね、こう言う事もあるし。
「後は、何に気付かれたのですか?」
ニコニコしながらも笑ってない目でヒフィゼ外務担当官長が言った。
「...陛下が...自制心を保てなかったからです、所有欲?保護欲?ですか、抱えこまれ感ありまくりでした、お、押し倒されたの初めてですし。」
最初の日は押し付け、抱え込みだったしね...恥ずかしいよ~。
「......確かに、カータシキ魔法塔国の外交官は王宮に滞在しております。」
ヒフィゼ外務担当官長が言った。
「それで、ピリピリして、宝物を抱え込んだのですわね、陛下は。」
ダファヤ師さんが言った...た、宝物?
「律がやはり、陛下の宝物なのですね。」
ス、スザナお母様、それ、何か嫌だ。
「律様、カータシキ魔法塔国の外交官はどのように対応すればよろしいと思いますか?」
ヒフィゼ外務担当官長が言った。
「ヒフィゼ外務担当官長さんにお任せします、私は専門家ではないので、ただし、私と石川さんはこの国に残留の方向でお願いします、誘拐犯なんて信用しません。」
使える力はつかえだよね、専門家に任せるのが一番いいよ。
「......お任せください、律様必ずや、カータシキ魔法塔国の外交官は黙らせて見せます、どうか、いつまでも、グーレラーシャ王国に御滞在ください、『異世界の賢い黒ウサギ』」
...前半はいいけどさ、異世界の賢い黒ウサギって何?私、翼人よ?なんで二つ名がよりによって黒ウサギ?それ以前にこの3か月でいつ、ついた?ゆるキャラですか~。
「ロザリシェラさん、そのあだ名、律様にぴったりですわ。」
ニコニコしながらダファヤ師さんが言った。
「律様、私は、陛下の面倒を見るのは姪のジャスミナが良いと思っておりました。」
ヒフィゼ外務担当官長が言った...ああ、お母様じゃなくておば様なのか、ジャスミナ様で良いと思うよ。
「考えを改めました、律様、どうか、陛下の面倒を見てあげてください、私は『グーレラーシャの賢い黒ウサギ』と律様が呼ばれる日が来ることを望みます。」
なんで、グーレラーシャがつく?しかも、陛下の面倒を見ろってなにさ。
満面の笑み浮かべながらヒフィゼ外務担当官長は帰って行った...ジャスミナ様は何とかしてくれるそうです、ぜひ、陛下とくっ付けてください。
「ともかく、カータシキ魔法塔国の問題が片付くまで当分、律は部屋からでないほうがいいですね。」
とスザナお母様が言った、ますます、平穏無事な異世界生活から遠ざかるよ。
「ところで、陛下、明日、起きられるのかな?」
本当に眠りこけてるよ、こんだけさわいでるのに。
「ええ、大丈夫ですよ、熱もありませんし、麻痺の出現も見られません、看護師がつく予定ですが、律様が付いてくれるなら、呼びませんよ。」
専門家の方がいいのわかってるけど、起き抜けに看護師さんじゃ寂しいよね...私のために頑張ってくれたんだし。
「つきます、全然、役たたないでしょうけど。」
宝物っておもってくれてるのかな?
「律、押し倒されたそうじゃないですか、大丈夫ですか?」
あ、スザナお母様、ちょっと怒ってる?
「大丈夫ですよ。」
正気に戻れば、陛下は優しいから自制心が戻るよ...でも、徹夜慣れてないから寝てたらごめんね。
「スザナータさん、律様におまかせして、私達は帰りましょう。」
ダファヤ師さんが、スザナお母様をうながして出ていった。
「律様、何かありましたら、警護官に言ってください。」
医者も出ていった。
「オレも扉の前で待機します。」
そういって警護の人も出ていった。
ねぇ、陛下、みんな、心配するから無理しちゃダメだよ...私も心配したよ.......相変わらず美人だなぁ…睫毛長いし、やっぱり、女性だよね...でも、本当は男性なのかな?...ま、今はどっちでもいいや疲れている人むいて見るわけにいかないし。
私もちょっと眠いや..........。